| 美しい満天の星空の下、誰もいない砂浜、恋人達は互いの飽きることなく瞳を見つめ続ける。 「ねえ。このまま朝までここにいる?」 アルフィンがジョウの耳にそっと囁く。 「いや・・・それは遠慮したい」 ジョウがお返しとばかりにアルフィンの耳元で囁く。 「じゃ、どうするの。これから?」 「さてどうしようか?」 不意に立ち上がったジョウに手をひかれアルフィンも立ち上がると身体に付く砂を手で払った。 「あん、髪が砂塗れ。痛んじゃう」 急に思い出したように乱れた金髪に手をやる。 「ホテルに戻るか?」 そんな彼女の仕草にジョウは少し安堵した。 時折見せる純粋な仕草と誘惑するような淫靡な仕草、女は不思議な生き物だ。 旨く両面を使い分ける。 男はいつもそんな女に振り回される運命なのか。 それでもいいとジョウは思った。 アルフィンさえ傍にいてくれるのなら。 「うん。お風呂に入りたい!」 アルフィンの屈託のない笑顔にジョウは砂浜に落としたジャケットを拾ってくるとアルフィンの肩にかけ、そのまま腕に抱き上げた。 「きゃあ」 突然の行為にアルフィンは驚いて声を上げた。 ジョウにお姫様だっこされて嬉しいやら恥ずかしいやら、アルフィンは思わず顔を赤らめる。 「んっとに、びっくりするじゃない」 「靴がないんだろ。おとなしくしてろよ」 ジョウはアルフィンの重さを気にせずに砂浜を元来た道に戻ってゆく。 「もう、さっきのジョウはどこにいったのよお」 拗ねてみせたものアルフィンはジョウの首に腕を回した。 「このままここに置いて帰ってもいいんだぜ」 「ジョウの意地悪!」 アルフィンは悔しくてジョウの耳朶を軽く噛んでやった。 その行為にジョウは少しだけ笑顔を浮かべてクスリと笑った。
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