Sweet Time
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■227 / inTopicNo.1)  あなざーへぶん
  
□投稿者/ 柊里音 -(2004/06/02(Wed) 01:21:37)
    見えそうで見えない、チラリズムって裸体を見るより、どきっとしませんか。
    いつもと違う空間にいる。たとえばホテルとかで、隣から聞こえる声なんて
    以外にどきどきしてしまうんですが・・・。
    そんな時、素直に「抱いて」と言える相手って、そういう関係って憬れます。



    つけっぱなしのテレビから、そんなどーでもいい台詞が流れてると理解した事で、意識が戻ってきたのがわかった。
    遠くからシャワーの音が聞こえる。
    ぽすん。
    一度持ち上げた頭をもう一度羽根枕に顔をうずめて、さっきのテレビの台詞とちょっとばかりオトメな気持ちを思い出した。




    ブランケットに包まっても少しはみでた肩が冷たくなってきた。
    頭をずらして薄く眼をあける。
    ベッドの上にある天窓からはまんまるなお月様。
    温度調節をしていたはずなのに、なんでこんなにさむいんだろう。
    ぼんやりとしていた意識が鈍い痛みと共にだんだん覚醒してきた。


    シャワーの音が止む。
    石鹸のニオイがする。
    ふわりと泣きたいくらい大好きなニオイに混じって。
    ほわほわとした空気がまわりを包む。
    気がつかないふりをして、ブランケットの中にもぐりこんだ。

    暖かな手が冷えた肩を触った。

    あたしの体がびくりと震え−狸寝入り−と声が聞こえた。
    背中にすべる掌はとても暖かく、幸せな気持ちを満たすよう。
    すっかり冷えちまったな
    耳に優しく響くのは、大好きな声。
    「一人にして悪かった」
    狸寝入りをしたのが、一人でシャワーを浴びに行ってしまった自分に怒ってるんだと勘違いしたらしく、素直にあやまられてなんだかおかしい。
    ふるふると首を振り、違うという意思表示をしてみたら、くしゃりと髪をなでられた。




    「アルフィンもシャワー浴びてくるか?」
    ぷしゅり、と缶ビールを開ける音がする。
    本当は私もそうしたい。んだけど。
    もぞもぞブランケットから頭をだして、すぐ脇のベッドの端に腰を下ろすジョウをみつめた。
    「・・・・・・・・」
    「どした?」
    「・・・・たてない」
    飲みかけたビールを噴出しそうになって、慌てて飲み込んだ。そして、大笑いする。
    全く、だれのせいよ。

    すっかり眼が覚めた私は、一度ならず二度までもベッドから降りようと試みてみたけれど、徒労に終わっていた。
    そう、すっかりいじめられたせいで、腰がいうことをきかず、下腹部には鈍痛が残ってるし、けだるさが肢体全部を支配していた。
    「・・・・・・・・・ずるいずるいずるい!もう!だいきらい!!!」
    「おいおい」
    手近にある羽根枕を投げつけてやった。
    「一人だけすっきりした顔しちゃって!なによ!一人だけさっぱりシャワー浴びちゃったりして!」
    慌てて缶ビールを手に逃げ出して、離れた机の上に腰をもたれさせてにやにやしながらこっちをみてる。
    −むかむかしてきた!−
    「ジョウのエッチ!ばか!色情魔!底なし!」
    思いつく限りの罵詈雑言をプレゼントしているのに、ジョウのにやにや顔がおさまらない。
    「う〜〜〜!!!」
    次はなんていってやろうかと睨み付けているのに!
    ジョウったら・・・
    「そそられるなぁ」
    間が抜けたような気になった。
    「はあ?」
    「そのカッコは」
    はっっ。と気がついたら、すっかりブランケットがずり落ち、胸元において隠そうとおもっていた枕を全て投げつけたせいで胸が顕わになっていた。
    慌てて手繰り寄せてかくした。
    「ばばばばばかっっ!っっもっと早くいいなさいよっ!」
    「いやだね」
    足音が、ブランケットを肌蹴けようとする手が近づいてくることが、空気でわかった。
    もう一度潜ろうとする私より、一歩早く肩をつかまれてしまい、ぐいと腕の中に閉じ込められた。

    「もっかいあったまろうか」

    悪魔の囁きが私をとらえた。

    まさぐられる熱い掌が乳房をすべり、幾度となく絶頂を味わった体は私の意思に関係なく敏感に反応する。
    突起に触れるたび、体のなかから蜜が溢れ出してくるのが、自分でわかる。
    「も・・・もう・・・あっ・・・」
    「なに?」
    「っっくっ・・あああっっ!!」
    とろりと流れ出す蜜でシーツを汚してしまう私の体
    ジョウはくくくと笑いながら蜜壷を指先でつるりとぬぐい、下腹部に喰らいついてきた。

    無防備なのは俺の前だけな

    そんなことをいう。意地悪な人。

    こうして、受け入れるのも、快楽を興じるのも、ジョウしかいないのに。
    なにかいってやりたい、と思っても、言葉にはならない。
    与えられる快感を、声で表現してしまう。
    ずぶりと音をたてて、ジョウの指が蜜壷に分け入る。
    また、腰がびくりと跳ね上がった。
    何度も、幾度ともなく。
    繰り返される愛の行為は、厭きる事はなく益々貪欲になる。
    快楽を、快感を、求めて自分で場所に導く。
    初めて、自分でそれに気がついた時、恥ずかしかった。
    嫌なおんなだとおもった。
    きっと、ジョウも嫌いになってしまうんじゃないか、なんて思った。
    あまりにも真面目に考えすぎて、濡れなくなってしまって受け入れることが苦痛になった。

    泣き出した私を一晩中抱きしめてくれた。
    そうして、じっくりと愛撫を繰り返して、私を愛してくれた。
    そのとき、たぶんはじめて、私はジョウ自身をくちづけた。
    どうしていいかわからなかったけれど、いつも、ジョウがしてくれたように。
    やさしく口に含み、キスを繰り返した。
    初めてみる、切なく、快楽に溺れていくジョウは。
    とても愛しかった。

    ジョウの指が奥深く進入し、中を弄られる。きゅっと締め付け絡み付く襞が奥へ奥へと導いていく。
    鈍痛の続いていたはず下腹部が快楽の痛みに変わり、すべるようにながれおちるように、愛液を流す私の体。
    今は、この体を愛しく思う。
    ジョウに愛されて、反応して、そして、もっともっと近づきたいと貪欲に求める自分の体を。
    楔を付立てられ、突落され、喉の奥からほとばしる絶叫も甘く。
    「あああっっ!」
    「ちか・・ら・・ぬ・・いて」
    息をあげながら、それでもしかし優しく踏み込むジョウを、包み込めるようになりたい。
    私のなかいっぱいに。
    大きく膨らんでいくジョウを、全てを。
    それだけじゃない。
    抱きしめて、愛して、くちづけをかわして、それだけじゃたりない想い。
    どうしたら伝えられる?

    こんなにも愛しいと。






    ぼんやりとした意識で、まあるい月をみていた。
    ああ、さっきより高い場所にあるんだ。
    思考回路はついてこないみたいで、何も考えられない。

    そして、一層からだは重くなった。


    汗ばむジョウの身体に包まれていることに気がついて。
    それに気がついたジョウはぐっと肩の掌に力をいれた。
    一瞬の浮遊感のあと、間近にみる榛色の瞳で抱き上げられた事がわかった。


    「いつもより瞳が明るい感じがするけど、お部屋が暗くておつきさまの灯りが映えるせい?」
    汗で濡れた前髪を指で掬い上げて、瞳の中を覗きこみながら尋ねてみたら、あまりにも近い距離のせいでその瞳のなかの私が見えて。
    照れ隠しにどうでもいい事を言ってみた。
    なんだか舌がまわってなかったのは、きっと気のせいじゃないと思う。
    気だるさは一層に支配して、口をひらくさえ、本当はおっくうだった。

    たてる?
    にやりと意地悪く笑いながら、どこかへ運ぶ。
    行き先はどうやらバスルームのようだとわかって、慌てて身じろいだ。
    「暴れると落ちるぞ」
    冷たく聞こえる声も、どこかおもしろげで。
    そして、やさしくて。
    ・・・・・さっきは悪かった
    ちょっと、きまりが悪そうに小声で耳元で囁かれた。
    それが、また、ぞくり、と背中に電気を走らせた。



    一人にしたら、今度は月につれていかれそうだしな。

    そんな気障な台詞はきっと一生かかっても何度もきけないと思うので、しっかりと耳に焼き付けようとそればかりを気にしていた。
    バスルームに連れて行ってもらいながら。
    立てないかもしれない。ちょっとだけ、心配になったけど、やっぱりシャワーは浴びて眠りたいから。




    今日は、特別にジョウに洗ってもらおうと思った。














fin.
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■228 / inTopicNo.2)  あなざーへぶん  あとがき
□投稿者/ 柊里音 -(2004/06/02(Wed) 01:24:58)
    えーーー・・・。

    裏ウェディングを目指していたんですが、思った通りにいかずどんどん思惑からはなれ、やみくもにやってるだけっちゅうのを書いてしまいました。
    お面汚しで申し訳ありませんが、ひとまず・・・・。


fin.
引用返信 削除キー/



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