| その手には小さな青い花のついた鉢植えがのっていた。 アルフィンは体を支えてもらっているのも忘れて聞いた 「何?コレ・・・・ジョウが買って来たの?」 「うっ・・・・・悪いか・・・」 「悪くないけど、似合わない。」 あまりにもきっぱりとアルフィンに言われたジョウは 〔買って来なきゃ良かった〕と後悔した。 「コレ、私に買ってきてくれたの?だから今日は来るのが遅かったの? 用事ってコレのこと?」 「・・・・そうだよ」 ちょっと拗ねたようにジョウが答えた。 「ありがとう。嬉しい」 アルフィンがジョウに抱きつく ジョウは耳まで真っ赤になりながら慌ててアルフィンを引き離した。 リッキーがニヤニヤしながら聞いた 「ところでこの花、なんて名前なんだい?随分、地味な花だね お見舞いに買う花ってもっと派手なイメージがあるんだけど」 「勿忘草よ」 アルフィンが答えた 「へぇ〜そういう名前なんだ・・・」 ジョウがまじまじと見ながら言った 「嫌ね、知らないで買ってきたの。 昔、岸辺に咲くこの花を恋人に取ってあげようとした男が 足を滑らせて急流に流されながらも、(私を忘れないで) と叫んで水中に没したという話から、この名前がついたって言われてる 花なんだから。ちなみにこの色の花言葉は<真実の愛>っていうのよ」 「ふーん、だってさ。ア・ニ・キ」 リッキーが意味ありげな顔をして、ジョウの顔を見た。 「うっー」 ジョウがうなる。 「それと、嬉しいんだけど・・・・ジョウ。 普通お見舞いに鉢植えって買ってくるものじゃ無いのよ」 アルフィンがジョウを上目使いに見ながら言った 「うっー。俺は今後一切、何があっても花なんか買わないぞ!!!!!」
そんなやり取りをしながら、ジョウは思った。 ・・・生きていてくれて良かった・・・・・ アルフィンを失う、それは絶え難い恐怖だった。 俺にとってアルフィンがどんな存在か、痛切に思い知らされた。 だから・・・今、こうやって一緒にいる事が嬉しかった・・・・ これからも、ずっとこの笑顔を見続けていたい。
けれど、ジョウは知らなかった。 この幸せの向こうに自分を見つめ続ける存在がまだ居た事を・・・・
〔ごめんね ジョウ。私 やっぱり貴方を諦めきれない〕
END
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