| 仕事と仕事の合間にぽっかりとれた二日間のオフ。ミネルバのリビング。 オフと言っても、ジョウはアラミスに送るべきレポートを作成中で昨晩も徹夜。ソファからテーブルに足を投げ出してうたた寝している。疲労の色が濃い。 タロスはミネルバの調整等もあり外出はせず、結局リッキーだけがアルフィンのショッピングのお供をつとめた。 アルフィンは帰ってシャワーに直行している。
「タロス、兄貴のレポートまだかかりそうなのかい?」 「ああ、今日はそこそこにして明日続きをするって言ってたぜ。ちったあ休まないとな」 疲れきったチームリーダーを思いやって二人はひそひそ声で話し合う。 「相当疲れているみたいだもんな。結局昨日も寝てないんだろ?」 腕組みをし、しかめっ面で眠っているジョウを見ながらリッキーが言った。 「しかし明日もジョウが仕事なるとお姫さんはご機嫌斜めだろうなあ」 タロスがため息混じりに言う。 「それなんだよ。アルフィン今回もうあきらめてるみたいでさ。『あたし明日は一人ででかけるわ。早くに戻るしリッキーも好きにしていいわよ!』って!」 「へえー珍しいこともあるもんだなあ」
「しっかしさあ、ここ結構ガラ悪くてさ。アルフィンすっげー声かけられてて。それだけならいつものコトだけど、強引な奴が多くて、肩抱いたり腕ひっぱったりさ、髪までさわったり。最初はアルフィンもやんわり断ってたんだけど、途中からぶちきれて啖呵きってたよ」 「あんな美人そうそういないからなあ・・・・。黙ってりゃ」 「ヒヒヒ、まあ、あの調子だから寄ってきた奴らも早々に尻尾まいて退散してたよ」 「ちげえねえ」 リッキーとタロスが声をそろえて笑ったとき、アルフィンがやってきた。
「タロス、ただいま!リッキー今日はありがとうね」 そこまで言って、ソファで眠るジョウに気づいてアルフィンの顔がほころぶ。 何せ今日は部屋にこもって顔も見ることができないと思っていたのだ。 「ジョウ、寝てるの?」二人に囁く。 「ああ、相当へばっているらしいぜ」
と、ジョウの眼がパチリと開いた。大あくびを一つ。 「アルフィン、コーヒーくれ」 「うん!」 アルフィンは嬉しそうにキッチンへ向かう。
コーヒーを飲み終わるとジョウはぐんと伸びをして立ち上がった。 「さて、もう一仕事するかな」 タロスがびっくりして顔をあげる。 「え?今日はもう休むんじゃないんですかい?」 「ああ、まあな。もう少しで終わりそうだし」 ボソボソとつぶやきドアへ向かうジョウにアルフィンが飛びついた。
「ホント?じゃあ明日一緒に出かけられる?」 「ん?ああ・・・」 「あたしね。ジョウと一緒に行ってみたいお店みつけたの!」 弾むアルフィンの声が遠ざかっていく・・・
リッキーがポツリと言った。 「なあ、オイラのせいか?」 タロスもポツリと返した。 「おめえ・・・ジョウのいる前であんなコト言うなよ・・・」 「だって、寝てると思ったんだよ」 「あれ、今日も徹夜じゃねえか?」 「兄貴、アルフィンのことになると無茶もいいとこだから・・・。」 二人のため息が重なった。
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