| 「ねえ、リッキー。ちょっと聞いててくれない?」
「なにを?」
「いくつかパターンがあるんだけど」
「なんの」
「雄叫びよ。お・た・け・び」
「はあ?」
「いくわよ。悲鳴その1。きゃあああ!!」
「何の真似さ、一体」
「いいから。次いくわよ。悲鳴その2。いやああん」
「あのさ、アルフィン」
「どっちがかわいいと思う?」
「意味がわかんない」
「さっきね」
「さっき?」
「ジョウとファイターで出たのよね」
「うん」
「ジョウったら、またしなくてもいい急降下とかしたじゃない?もう、胃袋がひっくり返りそうだったわよ」
「お気の毒」
「その時、つい叫んじゃったの」
「なんて」
「うぁおおおお!って」
「・・・はあ」
「これってかわいくないと思わない?」
「っていうか、そういう場合、かわいいとかかわいくないという事は、あまり求められてないと思うけど」
「なんだか、だんだん女の子らしさというものから、かけ離れたところに追いやられているような気がするのよ」
「初めからありましたっけ」
「やっぱりこういう仕事じゃない?あまりナヨナヨしてる馬鹿オンナにはなりたくないけど、そこそこの線は保っていたいって言うか、潤いをみんなにも与えられるような女性でいたいって言うか」
「・・みんなに?兄貴だけじゃなくて?」
「せめて昔のように、かわいらしい叫びをあげれるようにしたいのよ」
「昔のように」
「そう。みんなに初めて会ったときのように」
「・・・あのさあ」
「このままじゃ、もともとニブチンのジョウに気持ちが伝わらないばかりか、女の子としても意識してもらえなくなっちゃうと思うのよ」
「ありえないと思うよ、それは。見ててわかんないかな」
「だから、叫び声を練習しとこうと思って。いざって時にすぐ口に出てくるようにね。ねえ、どっちがかわいいと思う?きゃああ、といやあん、と。ねえ、リッキーったら。あれ?ちょっと、どこ行くのよ。まだ話は終わってないんだってば。ねえ、リッキー!リッキーってばーーーーーー!!!!」
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