| ベッドサイドの小さな灯りが、眠るアルフィンの美しい横顔を照らしている。
乱れた髪を、そっと直して、 何度もこうやって彼女の髪を直してきたことを思い出した。 それが精一杯だった。が、全ての想いが、この指にあった。
うん、と小さく言ってアルフィンがジョウのほうに寝返りを打った。 寒そうな白い細い肩を抱いて、ジョウは横になった。 胸にことりと小さな頭を置いて、無意識に足を絡ませて、手をジョウの身体に回して、愛らしく抱きつくようにアルフィンは眠っている。
恐怖も、 焦燥感も、 苦しさも、 もうどこにも、無かった。 見失いそうな自分はいなかった。いるのは、ただ、揺ぎ無い自分だけだった。
喪いはしない、絶対に。必ず守ると。 この先もずっと、この奇跡を抱いて生きるのだと。
ジョウは言った。
あの夜と同じ、奇跡を抱いて。 金髪の、美しい、蒼い目の、酒乱で、気の強い、泣き虫の、天使のような彼女を胸に抱いて。
「…おやすみ、アルフィン…」
出逢ってから初めて、 心から。
FIN
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