| 「うう…」 徐々に、意識が戻る。
吐き気と、腹部の重み。
「つわりが…」 呟いて、はっとした。 視界に入るのは、ホテルの寝室だ。 ミネルバのメディカルルームではない。
身を起こすと。 ジョウの腹部に折り重なるようにして、アルフィンが眠っていた。 重いはずだ。苦しいはずだ。 「どんな寝相だよ…」 どっこらしょと、アルフィンを自分の上から下ろす。 ふと目に入った床には、酒瓶と衣類が散乱していた。
そうか、夢だ。
二日酔いで頭痛と吐き気の残る頭が、思い出した。 昨日は自分の誕生日で、散々皆で飲み交わした後、ほとんど正体もなくなってアルフィンと部屋に戻り、そこでまた飲んで、それから…以下略。
夢だった。 ほっとすると同時に、少しだけ残念な気もした。
ちょっと待て。
略された部分だ。 恐ろしく「ヨカッタ」感があるだけで、ほとんど記憶は無い。 特に、最後の記憶が無い。
…ちょっと待て…。
3週間後、例の「白いスティック」が置かれたテーブルを挟んでジョウとアルフィンが向かい合うのも、 その時ジョウが一切の動揺を見せずに男らしくアルフィンにプロポーズするのも、 翌年8月初旬、男の子が生まれるのも、 また後の話。
おわり^^
|