| 流石に今日はほとほと疲れてしまい、「忍耐」という言葉を呪いの言葉のように頭の中で何度もリバースしてはここに至ったが、どうやら骨折り損ということではなさそうだ。心の中でホッと一息つきながら、ジョウはアルフィンを見た。
「ねえ?」 アイスコーヒーをキレイに飲み干したアルフィンが満面の笑みで話しかける。 「なに」 ジョウはコーヒーを飲みながらそれに答える。 「今日はほんとにいい買い物をしたと思わない?」 チラ、とアルフィンを横目で見ながら 「全くだ。・・・見ていてほんとに気の毒だった」 とジョウは答える。その瞳には少しいたずらな輝きが宿る。 「ちょっと。誰の話よ」 憮然とするアルフィンを尻目に、ジョウは薄い笑いを唇に浮かべながら 「いや別に」 と、両手を頭の後ろで組み澄み切った秋の空を見上げた。
澄み切った青が目に眩しい。 一途で勝気で負けず嫌い。弱って泣いたりすることもあるが、決して泣くことを恐れない。そして、その碧い瞳にはいつも澄み切った彼女の強い意思がある。 ・・・たいしたもんだぜ 高い秋空に浮かび上がった白いバルーンを目で追いながら、ジョウはのんびりと人に沸くマルシェの喧騒に耳を傾けた。
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