| 「ところでさ」 腕の中で少し落ち着いた様子のミミーに、訊いてみる。 「ミミーは、兄貴じゃなかったのかい?」 「ジョウ?そうねえ」 鼻を赤くして、ミミーはくすりと笑った。 「ステキだと思うわよ。そう思わない女の子はいないんじゃないの?でもあたしが好きになったのは、背が低くて力も弱くて、それでも必死になってあたしを守ろうとしてくれたリッキーよ。ジョウじゃない。そんなの理屈じゃないわ」 ミミーが、背伸びして頬にキスをしてきた。 「宇宙一、カッコいい。リッキー」
このやろう、とリッキーは思う。 俺が先にキスするんだ。 それに、それは俺の台詞だ。
ミス・ギャラクシーよりも、どんなスーパーモデルよりも、大女優よりも、
そして、アルフィンよりも。
きみが一番綺麗だ、ミミー。
キスをする二人の向こうに、また宇宙船が光を輝かせて離陸していく。 地上と宇宙は果てしなく遠いけれど、見つめるものが同じなら、きっと距離は縮んでいく。 未来は君と重なっているだろうか。 望めば叶う、そんな未来を君と作っていけるだろうか。 ローデスの子供たちが見上げる空にも、未来を映せるだろうか。
リッキーは、ミミーを腕に抱いて、夜空を見上げて思った。
上ったのは、最後の一段。 そこに拡がるのは、新しい宇宙。
ミミー、いつか、必ず。
FIN
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