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■1489 / inTopicNo.1)  Please accept
  
□投稿者/ とむ -(2007/05/22(Tue) 16:11:06)
    …不思議だ。
    あくまで今まで生きてきた中での統計でしかないのだが、大抵自分のタイプじゃない男に限って、下手にメールアドレスなどを交換しようものなら、やたらめったらにコンタクトを取ろうとしてくる。それは<ナイトクイーン>の通信用回線であったり(大体が、この時点であたしの相手としてはアウトだが)携帯メールであったりもして、そのマメさ加減にはほとほと頭が下がる。想像するに、こういう男はどこに行くにも携帯をしっかりと持参をし、仕事の合間にチラリ、レストランでもチラリ、トイレに入ってもチラリとやっていることだろう。


    「そんな必要ないわよ。無用な心配などしなくても、あなたにあるとすれば仕事の取引先からの業務連絡、利用している通販サイトの広告メールで、あたしからメールを送るなど有り得ない。1着信1メール、ワン切りさえしないので、きれいさっぱり忘れていただいてもう結構」


    度重なるお誘いに辟易し、何度こういう台詞を口走ろうとしたことか。
    あたしにも多少の非があることは自覚済み(一応)。つい、休暇に入ると緊張の糸が切れるというか、羽を伸ばすというか、やたらと気が大きくなって流行のクラブなどに行ってしまう。そして、久しぶりの陸で出会う男を「いい男」と錯覚してしまうからいけないんだ。普段なら気にも留めないタイプなのに、きっと疲れた脳が勘違いをするんだわ。「休暇」という言葉がもたらす開放感とは、本当に恐るべきものだ。とにかく、こういう面倒なことが起こる度に「いけないいけない」と自戒をするのだが、あたしもまだまだ修行が足りない。


    が。


    もともとは自分が撒いた種だしな、とうっかり同情心を起こしてメールを返信したるすると、途端に「どうしたの」メール攻撃がやってくる。


    男からのメールに返事を返さないと
    『どうした?なにか嫌なことでもあったのか?』

    それでも返さないと
    『どうしたんだ。今日はもう寝てしまったのか』

    それでも返さないと
    『どうしたんだ。どうして返事をくれないんだ。なにか俺に嫌なところがあるなら遠慮せずに言ってくれ』

    それでも返さないと
    『一体どうしたんだ。なにか事故にでも巻き込まれたんじゃないかと心配で眠れない。頼む、いつでもいいから連絡をくれ』

    メールの到着時刻。今から5分前の午前3時24分。
    (−−−−−−−−3時??????)


    バッカじゃない。普通だったら寝ていると思うのが当たり前の時間だろうに。とちくるって自分の気持ちだけで精一杯。相手の都合などお構いなしだ。
    まったくどうかしている。だからこういう男は、女にも電波にも嫌われるのだ。
引用投稿 削除キー/
■1490 / inTopicNo.2)  Re[1]: Please accept
□投稿者/ とむ -(2007/05/22(Tue) 16:29:50)
    「まったく、信じられないと思わない?夜中の3時よ?!一体どういう神経してるのよ」

    「………」

    「ああいう奴が女にモテるっていう世の中もおかしいわね。まあ、これはヤツの自己申告だから、どこまで本当なんだか分からないけど」

    「………」

    「やっぱり、男はあんたみたいなのが一番よ。下手に自分に自信のある男なんて信用ならない」

    「………」

    「ねえ、やっぱりあんた、うちのチームに来なさいよ。いいチームになるわ絶対。一緒に、このどこまでも大きな宇宙の海を疾走するの」

    「………」

    「あの金髪で貧弱体型のバカ女なんて放ちゃってさ。スマートでクールに仕事とプライベートに駆け回ろうよ」

    「………」

    「ちょっと、ジョウ聞いてるの」

    <ミネルバ>の立体正面スクリーンに大写しになったクラッシャー・ルーは真剣な顔つきで鼻息も荒くまくし立てた。一向に会話に乗ってこないジョウに痺れを切らし、目を剥いて食って掛かる。
    「…無理だと思うよ。なんせ、兄貴ったらさっきまで前の仕事のレポートにかかりきりでさ。あんたからの通信が入る30分前にやっとこさ寝たとこだもん」
    リッキーは、朦朧とした頭で意識を失いそうになっているチームリーダーをやっとのことで支えながら、ルーに言葉を返した。
    「お黙り。このチビ。あたしが話してるのはジョウよ。余計なトコで茶々入れて会話の腰を折るんじゃない。ねえ、ジョウ。いい加減に起きなさいよ。せっかく通信が繋がったと思ったらこんなのないわ」
    ルーは、その鮮やかなオレンジに包まれた身体をスクリーンに目一杯寄せながら、媚びるようにジョウに話しかける。
    「もう何日も前からメールをしてるのに、全然返事をよこさないでさ。あたしがどれだけあんたと話したかったと思ってるの」
    「………」
    リッキーは、思わず溜息をつく。
    睡魔の中でぐだぐだになっているジョウを支えながら、ただただ<ミネルバ>の金髪碧眼の航宙士が、ここを通りかからないことを祈るのみ。
    「ねえジョウ。起きなさいよ。子供の頃からの幼馴染にこういう仕打ちは無礼じゃない」
    「………」
    「ジョーウ!昨日も一昨日もメールを無視したくせに。ちょっとは起きなさーい!起きろーーーーー!!!」


    現在、標準時間で朝の4時30分。


    一向に目を覚まそうとしないチームリーダーと、メインスクリーンの中で吼えまくっているクラッシャー・ルーを交互に眺めながら宙を仰ぐ。
    こりゃ、当分は自分も眠れそうにない。


    ジョウを支える陰で観念したように肩を落とし

    「…どこもかしこも、すっげえ迷惑…」

    と、リッキーは誰にも聞こえない程の小さな声で呟いた。
引用投稿 削除キー/
■1491 / inTopicNo.3)  Re[2]: Please accept
□投稿者/ とむ -(2007/05/22(Tue) 16:33:35)
    A「ちょっと、あんたほんとにいい加減にしなさいよ!」
    L「五月蝿い!あんたこそ関係ないのにしゃしゃり出てくるな。邪魔な女はひっこんでなさい」
    A「なあんですってぇ〜?ちょっとジョウ!ルーといつからこういう関係になってるのよ!」
    J「関係って…。俺だって何がなんだか…。何がどうなってるのかを聞きたいのはこっちの方だぜ!」



    R「…ですから、皆さん仲良くすっげえ迷惑なんですけど!!」



                                                                                            「Please accept」
fin.
引用投稿 削除キー/



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