| 「じゃぁ着替えてくるわね」 アルフィンがにこやかに自室へと戻っていった。
今、ジョウのチームは休暇初日。リゾートホテルのリビングルームに居るところだ。ジョウがアラミスへの報告書作成が若干残っていたためにアルフィンはリッキーをお供に買い物へ。明日ビーチへ着ていく水着を購入し、お披露目した所。コバルトブルーの色が白い肌に良く映えるビキニタイプの物だった。こういったタイプの物を好んで着るが、生まれ持った彼女の立ち居振る舞いから嫌らしさを感じることは無い。チームメイトから褒められていい気分で着替えに戻っていった。 しかし・・
ジョウの眉がピクリと跳ね上がった。「リッキー。」「なんだい兄貴」 「アルフィンの買い物に付き合ったとき、一緒にいたんだよな」 「へ??」 「水着を買ったときだよ。」 「あぁ、一緒だったよ。だって荷物持ちさせられてたしさぁ。」 リッキーは荷物の多さを思い出しため息を吐いた。ズズーっと音を立ててジュースを飲み干した時、只ならぬ気配を感じジョウを伺って見る。
「ひっ・・」思わず息をのんだ。ジョウから恐ろしげなオーラが見えたような気がしたからだ。 「あ・・兄貴、何か・・・?」 「・・んで・・」 「え???」 「何であの水着を買わせたんだ」 「えーーーーーっ。だ・・だって・アルフィンがあれが良いって言ったし、良く似合ってるジャン」おろおろと話し出すリッキー。 「気にいらねえな。」フンとばかりに吐き出すジョウのけんまくにリッキーは身を縮こませた。それまで傍観者と化していたタロスがジョウに向かって面白そうにつぶやいた。 「ジョウのやきもちもアルフィンに負けませんやねぇ」 「うるさいぞ、タロス」不機嫌丸出しのジョウである。
ジョウにしてみればあれ程に美しく、愛しい恋人がビーチとはいえ露出度の多い水着姿で他の輩の目に触れるのが気に入らなかったのだ。そもそも、ヴィラタイプのホテルなのだ。プライベートプールも付いている。なのに「せっかくビーチがあるんだから皆で行きましょうよ」と言い出したのはアルフィン。
「何だ、そういうことかぁ。兄貴もアルフィンに文句言え無いじゃん」リッキーも理解できたようだ。
確かにあの水着は彼女に良く似合っていたとジョウも思っては居るのだ。そこで・・「ビーチに出なきゃいいんだよな」とつぶやき・・・ニヤリと微笑んだ。
「いやぁぁぁぁぁ・・。ジョウの馬鹿ぁぁ」翌朝、アルフィンの絶叫が響いた。それに反してご機嫌なジョウ。「今日はビーチじゃなく、目の前のプールで泳ぐぞ」鼻歌など出てきそうなくらいにこやかに、絶叫に驚いて部屋から顔を出したリッキーとタロスに声をかけた。
自室の鏡の前で怒りの形相のアルフィン。鏡に映った自身の白い肌には数箇所、ジョウの愛情の証である赤い花が咲いていた・・。「これじゃぁ、ビーチに出られないわよぉ」
宇宙一と謳われているクラッシャー 実は宇宙一のやきもち焼きでもある・・。
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