| クライアントから招待されたパーティーへの出席を終えあたしとジョウは ホテルの自室に戻ってきた。相変わらずジョウはこの手の事は大の苦手。 部屋に入るなりせっかく着こなしていたスーツのタイを解き放り投げ・・ シャツのボタンまではずしちゃうという・・何と言うか・・
「ジョウったらだらしない格好ねぇ。これが銀河系に名を知られている クラッシャー・ジョウなのかしら。」 ひとまず落ち着こうとあたしはコーヒーを入れてリビングのテーブルに置いた。ソファーに腰掛け、一つを隣のジョウに手渡す。 「俺にお上品な場所は似合わねぇよ」不機嫌なままカップに口をつけている。 正直、クラッシャーの生活に慣れきっちゃったあたしだってあぁいう場所は 疲れちゃう。でも、ジョウだけ一人行かせる訳には行かないのよねぇ。 何故かって・・
正装したジョウは凄く見栄えがするんだもの。ただでさえ有名人なのよ。 会場にいる女共の視線はジョウに注がれる。あたしがジョウから離れた隙に メールアドレスを手渡している女だっている位だ。知らないとでも思ってる? きっちり見えてるわよ。女性には弱い(特に年上にはね)ジョウ。きっぱり断ったり出来ないのよね。だから、必ずあたしが同伴して目を光らせておかなくっちゃ。
「ちょっ・・。服がしわになっちゃうわよぉ」のんびりとコーヒーを飲んでいたらジョウの頭があたしの膝の上に移動している。 「気の進まない場所に行って疲れたんだ。休憩したって良いだろう?」下からあたしの目を覗き込むジョウ。ズルイ・・。そんな目で見られたら嫌なんて言えないじゃない。それにあたしの髪を少しだけつまんで指に絡めて遊んでる。こういう時のジョウは凄く子供じみた感じににも、色っぽくも見えるから困っちゃう。 普段から甘い言葉なんて言ってくれないけれど、こうやっていつもあたしをドキドキさせる困った人。他の女に目が行かないよう今夜はこっそり毒を仕込んだ。
気がついたかしら。ジョウが「ん??」と言うような顔をした。 「アルフィン・・。」 「うん?」 「香りが・・ いつもと違うよな・・・?」 あたしはとびっきりの笑顔で答えてあげた。 「毒を使ったのよ、ジョウ」
そしてジョウの唇にあたしの唇を落とした・・
あたしがあなたにとっていつも一番の女で居られる様に。ほんの数滴の毒を・・ 「タンドゥール・プワゾン」 やさしい毒という名の香水を・・。
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