| ジョウがプールサイドのデッキチェアで昼寝から目覚めたとたん目に飛び込んで 来たのは、ビキニのホックをはずしタオルの上にうつ伏せになっているアルフィンと、その彼女の素肌に手を滑らせているリッキーの姿。リッキーの手が彼女の背中を上下左右に動き回っている。ジョウの頬がピクリと動く。サングラス越しの眼光が鋭くなる・・気配を察したのかリッキーが顔を上げた。リッキーの背中に悪寒が走ったのは果たして気のせいだろうか。
「あ・・兄貴お目覚めかい」一瞬手が止まった。 「リッキーってばぁ、ムラなく塗ってくれたぁ?」うつ伏せのままアルフィンが声をかける。 「うん、終わったよアルフィン」 「二人してなにやってんだよ」不機嫌さが見え隠れする声。 「リッキーに日焼け止め塗ってもらってたのよ。朝に塗ったきりだったんだもん」 悪びれもせずアルフィンが答える。 「ジョウにお願いしようと思って起こしたのに・・。ぐっすり眠っているんだもん。リッキーに頼んじゃった。」依然うつ伏せになったまま後ろ手にビキニのホックを止めながら無邪気に答える。
「俺らだって寝てたのになぁ」ぶつぶつ言いながらテーブルに置いておいたジュースにリッキーが手を伸ばす。ホテルの人が運んできてくれたランチをプールサイドで食べた後、いい気分で昼寝に突入したはずだったのだ。アルフィンに起こされるまでは。それに。出来ればジョウにはばれたくなかったりもした。アルフィンとリッキーの間にはどう見ても「姉と弟」程度の関係にしか傍目には見えない事は重々承知しているが、リッキーとてれっきとした「性少年」違う!!「青少年」というお年頃。恋愛感情など無くてもこれだけ綺麗な女性の肌に触れるなんてドキドキものだ。ミミーという彼女が居るとはいえ遠距離恋愛。よからぬ妄想が頭を掠めたとて誰が文句を言えようか!!アルフィンからはその表情が見えなかったとしても、ジョウに見られたら命の危険に晒されるのは必須。だから出きれば事が終わるまではジョウに寝ていてもらいたかったリッキーだったりする・・。上目遣いにジョウの方を伺うと・・。「ひぃっ!!」思いっきり睨んでる。「お・・おいら少し泳いでくるぅ」ジョウから逃げるようにプールに飛び込んだ。
「ジョウってば何怒ってんのぉ?」不穏な雰囲気にアルフィンが覗き込むように近づいていく。アルフィンにしてみればジョウが起きてくれない以上リッキーかタロスにお願いするしかなかったのだ。そうなれば「言う事を聞いてくれそうな」リッキーに白羽の矢が立ったのは仕方ない。リッキーならば何の「危険」も無いのだから。これが彼女の言い分。 「アルフィン、リッキーだってもう子供じゃないんだぜ」 一瞬きょとんとした表情をするアルフィン。 「ちょ・・・・。やだ・・ジョウってば・・。」 「何がおかしいんだよ」 「だってぇ・・。相手はチームメイトのリッキーよぉ?何を今更」そう言ってクスクス笑ってる。 「笑うなよ」ジョウはアルフィンの腕を引き寄せた。 「きゃう」ジョウの上に覆いかぶさる形となったアルフィン。そのままジョウの体に身をゆだね目を閉じる。ジョウは彼女の金髪に指をくぐらせやっと表情を和ませた。暫くの間、アルフィンの重みを心地よく感じ自分のペースを取り戻したジョウには新たな気持ちが沸き起こっていた。 (二人には俺の感情をかき乱した罰を考えなくっちゃぁな。) 「くっ♪」思わず引き締めたつもりの口元から笑みがこぼれた。 「ジョウってば、何か変よぉ?」訝しげにアルフィンが尋ねるがジョウは知らん振りだ。 「さて、泳ぐか」アルフィンの体ごと上半身を起こしプールに視線を移した。 「うん♪ 泳ごう泳ごう」二人は手を取り合ってリッキーの居る水中へダイブした。
(若いって・・・いやぁ。暑い暑い。)少しだけ離れたところに陣取っていたタロスは一通りやりとりを見ていた。 (今夜はちびを連れて一晩中カジノででも遊んできるとしやすかね)
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