| ジョウのチームは一仕事終え補給のため宇宙港へ停泊中。 次の仕事がすぐに控えているため今回まともな休暇は望めない状況にあった。 今日も物資の補給が終わり次第ここから発つ予定になっている。 ジョウとリッキーは荷物の点検中。タロスは各種機器の点検。 そんな中アルフィンがジョウに遠慮しながら声をかけた。一応、彼女の担当分の仕事は終えてあるのだ。 「ねぇ、出発までに後どれくらい時間あるの?」 「そうだな、90分ってとこかな」 「じゃ、少し出かけてきていいかしら。ピザンに送っておきたい荷物があるの」 「構わないが・・。一人で平気か?」 「ん。大きいものじゃないから大丈夫よ。すぐに戻るわね。」チームリーダーの許可を得てアルフィンは船外へ急いで出て行った。 「そういやアルフィンって時々あぁやって荷物出しに行ってるね、兄貴。俺ら荷物持ち手伝わされる事ある。何送ってるんだろ。」リッキーが手元のリストと物資を見比べながら不思議そうに言った。リッキーの言うとおりアルフィンは時々自国へ荷物を送っていた。そのつど大きさや数はばらばらだった。今までは気にもしなかったがあらためて言われると気になってしまうのが人間な訳で・・。
アルフィンは遅れる事無くミネルバに戻り、予定通りジョウたちは次の仕事先へと向かった。操縦を自動航行へ切り替えメンバー全員がリビングルームでくつろいでいた。リッキーとアルフィンは雑誌を眺め、タロスとジョウはニュースを見ていた。そんな中、リッキーが出港前から気になっていたアルフィンの荷物について質問してみた。 「アルフィンさぁ、時々今日みたいに荷物送ってるけど・・中味ってなんなのさ。俺らも運ぶの手伝ってるけど。大きいのあるときもあるし。何か気になっちゃった」ニュースを見ていた二人組みもアルフィンの方へ視線を移す。アルフィンはテーブルの上のクッキーをつまみながら「あれねぇ・・」と切り出す。 「あたしが送っているのは洋服とかアクセサリーなんかの身に着けるものよ。」 「一杯買いすぎてミネルバにおいて置けないからかぁ。アルフィン買い物しすぎなんだよ」確かに休暇ともなればショッピングモールへ出かけては新しい物を買いこんではいる。それを知っている男三人組はあっさりと納得した。ところが・・。
「売りに出してるのよ。」アルフィンから意外な返答が返ってきた。 「売りにって・・洋服とかをかい?」 「そうよ。ん〜〜〜〜っとね。今は私も国を離れてるからこんな事しか出来ないんだけど。王族とか著名人なんかの私物をネットオークションに出して、その売上金を国民のために使って貰ってるってわけなの。ピザンだって国民全員が裕福な暮らしをしているわけでは決して無いのよ。学校へ行きたくても行けない人だって居るわ。だから少しでも役に立てるよう国を通じてでネットオークションに出して貰ってるの。まぁ、国を挙げてのリサイクルショップって感じかしらね。」 「んじゃ、アルフィンが事あるごとに買い物に行ってるってのは、ある意味商品の仕入れって事になってるんですな」タロスがコーヒーを流し込みつつ口を挟んだ。 「そんな感じね。結構売れ行き良いのよぉ。私の品物♪あ・一応このことはアラミスにも通してあるからジョウに迷惑はかからないはずよ。目的が私益のためじゃないって事で許可してもらったわ。」 「それって誰でも買えちゃうのかい?」 「もちろんよリッキー。普通の通信販売と同じよぉ。色んな人が出してるから掘り出し物があるかもよぉ」 「へぇ・・後で見てみよっかなぁ。」 「私もいくらで売れたかチェックしてみなくっちゃね。出来るだけ高く売れて欲しいもん。この前はかなりいい値段がついたのよぉ。そうそう、お父様推薦のお酒類も出てるから良かったらタロスものぞいて見て。」 「そいつは楽しみですな。」 「ねぇ、今日送ったやつの目玉商品ってあるのかい?」 「あるわよぉ♪4ヶ月前の休暇の時に着てた『ブルーの水着』。あれ可愛いかったでしょう?色を合わせたミュールも一緒に送ったからセットで売れるといいなぁ」アルフィンはにこやかに話をしている。リッキーも今までに売れたものをあれやこれやと聞いていたりする。
(水着だってぇぇぇぇぇぇ!!???)約一名。黒いオーラを発するジョウに気づく者は居なかった。(どこのどいつが買って行ってるんだ。まさか・・・変なヤローじゃないだろうな。服はまだしも、水着はやめとけって・・。後で言っておくか。)
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