| ゴンっ!! いきなり頭を叩かれた。 「ってぇぇ・・」 頭を抱えてしゃがみこむ。 「なに、ぼーっとしてんのよ。もう行くわよ。」 真上でいつもの声がした。 “ぼーっと”ってのはヒドイよな。そう、いつもオイラの扱いはヒドイ。 「んだよぉ・・相変わらず暴力的だなぁ。」 そのまま上を見上げた。 こうやってあの蒼い瞳を見上げるのは久しぶりかも。 すでに、買い物は終わったみたいだ。両手に紙袋を二つずつさげてる。 いつの間にそんなに買ったんだろ。 立ち上がって、オイラはその紙袋を手に取った。 「!?」 アルフィンが驚いたようにキョトンとしている。 「何だよ?」 「ん?・・・ちょっとびっくり。」 「だから何が?」 「何も言わないで、荷物持ってくれちゃうのって、男の人みたいじゃない。」 「あのさぁ!」 思わず声が大きくなった。まったく――。 「きゃんっ!ごめん、ごめんっ!」 楽しそうにアルフィンは笑って、店を飛び出していった。 軽やかに金髪がなびく。 その後姿を見送って、オイラはわずかに肩をすくめた。さっきの店員と目が合って、お互いに笑顔を返す。 「素敵なお姉さん≠ナすね。」 「そう思う?」 「はい!」 屈託ない笑顔。 「・・・そうだね。」 納得したオイラは、その姉さんを追って店を出た。 通りの向こうで大きく手を振る『姉さん』の姿。すぐに見つけられる。たぶん、これからもずーっと・・・・アルフィンがお婆ちゃんになって、 オイラがお爺さんになっても、こうやっているんだろうな。 なんとなく、そんなことを思った。
そして気が付いた。 やばい。あれから何分経ったんだろう。 兄貴とタロス・・・・待ってるだろうなぁぁ・・・ ゾクリと背筋が寒くなった。 ああ、神様。 こんな姉さんを持ったオイラにどうかお慈悲を。
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