| 『そういや』 画面の中のテリーが言った。 『この前、誕生日だったんだって? プレゼント・・ってのも変だが、特別にサービスだ。我ながらイイ出来だと思う。後でじっくり見てくれよ。』 何やら楽しそうでもある。 『写真ってのはな、自分の姿を見ることが出来る。鏡とは違う姿をな。それで分かることってのがあるんだよ、ジョウ。』 一体、このデザイナーは何が言いたいのだろう。さっぱり分からない。 これがメールで良かったと思う。通信であれば、おそらく自分は相手に言葉を返せないのではないか。 『それじゃ、また会おう。いつか。姫によろしくな。』 そう言って、テリー・ヤンの画像は切れた。
メッセージは終わったが、テリーの言葉通り、さらに添付されたファイルがある。 ジョウは黙ってそれを開いた。 「!?」 一枚の写真。 あの洋館での撮影の合間であることは分かった。いつの間に撮ったのだろう。 向き合う二人の姿。 蒼色のドレスを身にまとい、自分の前に立つアルフィン。 いつもの角度で自分を見上げ、合わされた手の平は口元にあり、微笑んでいる。 そう。彼女はいつもこの笑顔を自分に向ける。
そして。 俺は――。
こんな表情をしているのか?彼女の前では? 自然と顔が赤くなった。 思わずファイルを閉じる。 しかし。 「・・・」 もう一度それを開いた。確認するかのように。
確かに、テリーの言うことは正しい。 自分がこんな表情(かお)をしているなんて思ってもみなかった。
この一枚は、アルフィンには見せないでおこう。 俺だけの秘密にしておく。 テリー・ヤンが自分にくれたバースデイプレゼントなのだから。
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