| 「どんなとこ?あるでしょホラいろいろと」
「あぁ?」
「もう、じれったいなあ。例えば、明るくて常に前向きなところとか」
「はぁ」
「料理がうまくて、殊のほか気が回るところとか」
「…へえ。そうだったっけか?」
「んもう!元王女なのに割としっかりしてて堅実なところとか」
「ああ!確かに。この前行ったレストランの割引クーポンは何で見つけたんだ?」
「あ・の・ねー!!なんかないわけ?ジョウのあたしに対する評価って一体なによ?」
「ふむ」
目の前で鼻息も荒くわめき散らす金髪の彼女に向かって、彼はそうだなあ、という視線を投げた。
「んー…。例えばだがな」
「うんうん」
「こりゃまずいだろ、ということなら結構言えるんだが」
「はぁ?」
「例えば、存外に気が強いところとか」
「え、ちょっと、」
「例えば、酒が入るととてつもなく危険なところとか」
「ちょっと!!」
「たまに、びっくりするような見当違いを起こすところとか」
「…ジョウ!!」
「ああ、それからそんな風に、すぐムキになって怒りまくるところとか」
「……!!!」
顔を真っ赤にさせて震える彼女に
「まぁ、そんなとこだ」
とジョウは言った。 そして、キッチンのフリーザーからミネラルウォーターを取り出して、笑いながらリビングを出る。 ジョウの背後からは、ばか!意地悪!とわめき散らすアルフィンの声。ジョウはその唇に微かな笑みを乗せながらブリッジに向かった。
でも実は
そんなとこが
一番好きだとは、口が裂けても言わない。
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