| なつさま、皆様はじめまして! この度投稿勇気を出して初めてさせていただきます、ぷらむと申します。 昔からクラッシャージョウが好きで、いつかお話を書いてみたいと思っていました。 本当にたどたどしくて拙いお話ですが、お読みいただければ嬉しいです。 どうぞよろしくお願いいたします。
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「嫌ったら嫌!絶対に嫌よ!!私もジョウと一緒に行くんだからっっ!!!」 「駄目だ、アルフィン!今度の任務は今まで以上に危険なケースなんだ。リッキーと一緒にミネルバで待機しているんだ!」 「いいえ!私もジョウと一緒に行くって決めたの!!ねぇお願い!一緒に・・・一緒に連れていって・・・」
言い争う二人の声がミネルバのコックピット内で鈍く響く。 自分を見上げる紺碧の瞳にみるみるうちに透明な滴が溜まっていく。 アルフィンが本当に真剣な想いで自分と一緒に行動を共にしたいという気持ちは痛いほど分かっていた。しかしその一方で任務を完璧にこなす為には情に流されてはいけないと骨身に染みて実感している自分を分かっていた。 任務を完璧にこなしてこそ、一流のクラッシャーとして認められるこの厳しい世界。 情にほだされて命を落していったクラッシャー仲間を見続けてきた彼の心はチームリーダーとしての冷徹な判断を下した。
「アルフィン、チームリーダー命令だ!リッキーと一緒にミネルバで待機!!」
感情を一切排除した厳しい目付きで言葉を放ったジョウの凛とした声が鋭く空気を切り裂いた。シンと静まり返ったコックピットに計器類の微かな電子音だけが漂う。
「・・・!!!」
ジョウの言葉を聞いたまま押し黙っていたアルフィンが唇をキュッと噛み締めながら踵を返してコックピットから脱兎の如く飛び出していく。彼女が必死に堪えていた涙は、走り去ろうとするコックピット内に透明な涙の華となって散っていった。
「アルフィン!待ってよ!!」
急いで彼女の後を追いかけようと飛び出したリッキーの足音が徐々に小さくなっていく。 ジョウはアルフィンが去っていた方角を黙って見つめたまま、心の中で呪文のように言葉を繰り返すだけだった。気持ちを落ち着けようと足掻いている自分に薄々気付きながら。
これで・・・これで良かったんだ・・・
・・・しかし、後から後から込み上げる言いようのない焦燥感と後悔が彼の心に少なからず影を落しているのも隠せない真実であった。
「ジョウ・・・」 低く響く低音がジョウの耳に届いた。今までずっと事の成り行きを黙って見ているだけだったタロスが呼びかける。ハッとしてタロスの顔に視線を戻すと彼はいつもの恐持ての顔に似合わない驚くほど柔和な表情で自分を見つめていた。
「タロス・・・俺の、俺の判断は間違ってなかったと自負している。でも、心のどこかで『それでいいのか?』と問いただしているもう一人の自分がいるがいるんだ。・・・俺は・・・俺は前よりも弱くなっちまったんだろうか?」
広げていた両の拳をギュッと固く握り締めたまま、顔に苦渋の表情を浮かべるジョウの姿に若い頃の自分の姿が重なった錯覚にとらわれながら、タロスは静かに口を開いた。
「ジョウ・・・チームリーダーとしてのあんたの判断は間違ってないと私も思っていますぜ。・・・それはそうなんだが、アルフィンの気持ちを考えたら躊躇ってしまうあんたの気持ちも分かります・・・」 「タロス・・・」 「ジョウ・・・命を懸けても守りたいものがあるっていうのは、それにとらわれて自分の判断を鈍らせてしまう要因に時としてなってしまうものなんでしょうが、反面、守りたいものがあるっていうのは何にも増していつも以上に強い力を発揮できる原動力になるんじゃないかとあっしは思いやすぜ」 「タロス・・・お前・・・!」
訥訥と語るタロスの口調の中に込められた想いがジョウの心に小さな灯火を灯す。 それは小さく儚い炎だったが、どんなに大きな心の波を受けても消えない強い炎に違いなかった。
「ジョウ・・・守りたいものがあるってことは弱くなってしまいそうな自分の心を奮い立たせる何かがあるとあっしは信じてます。・・・守りたくても守れないことは何より辛いですから・・・」 「タロス・・・」 「・・・アルフィンもきっとジョウの気持ちを分かってくれますぜ!」
軽くポンと自分の肩を叩くタロスの温かい眼差しにジョウの口に微かな笑みが浮かぶ。
「・・・俺は駄目なチームリーダーだな・・・」 「ふふ・・・。完璧な人間なんて面白味がありませんよ!第一、完璧なチームリーダだったら、ジョウの教育係としてミネルバに乗り込んでいるあっしの仕事がなくなっちまう!」 「それも言えてるな!タロス!!」
言いながら笑いあう二人の瞳を通して絶大な信頼と揺るぎ無い絆に覆われた気持ちがお互いの心を行き交う。 クラッシャーとしての誇りを胸に難事件に立ち向かおうとしているジョウの心にまた新たな絆が刻み込まれた。
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