| ( ̄Д ̄;) えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!????? 自分の鼓動の早さに驚いて目が覚める。 ・・・・・・・覚める?覚めるですって? ぐるり。と見渡すと見覚えのない部屋。 自分が横たわっているのは木製のありふれたベット。スプリングは悪くない。 壁も木製。って言うか、小さなチェストに椅子も木製。何処かの山小屋風?な部屋。 とりあえず起きる。着衣を確認。クラッシュジャケットを着てる。 小さな窓からは日の光が差し込んでいる。 薄手のカーテンを少し開け、外を伺う。 不穏な空気はない。ならば、室外の様子を。と思っているとドアの向こうに人の気配。 気取られぬよう急いでベットに戻りブランケットを掛けなおす。 カチャリ。ドアの開く音。 入ってきたのはジョウ。 ・・・・・うぅぅぅぅ。“本物”のジョウでしょうね?(汗) コツコツと近づいてくる足音。 覗き込んでくる気配。 先手必勝!なんだか分からないけど、とにかくこのモヤモヤな無限ループから抜け出さなきゃ! ばちっ!と音がしそうな勢いで目を開ける。そこには驚いたジョウの顔。 「気が付いてたのか。」 驚きの後に、安堵した顔。凄く嬉しいんだけど、とりあえずそれは置いておく! 「ねぇ、ジョウ。ちょっとあたしのほっぺつまんで。」 「は?」 「良いから!つ・ま・ん・で!!!」 「?????こ、これで良いのか?」 何が何やら。きっとジョウの頭の中は疑問符だらけなんだと思う。けど!あたしの今の頭の中の疑問符の方が比べ物にならないくらい多いの!!! ふにっ。 ・・・痛くない。なんで痛くないのっ!?(TT(それはジョウが痛いくらいにしかつままなかったから。まで頭が回らないアルフィン<^^;) 「うにゃぁぁぁぁぁーーーーー!!!!痛くないぃぃぃぃーーーーー!!!!!<泣」 「ど、どうしたんだ!?」 わたわた慌てふためくジョウ。 あたしは混乱中。何がなんだかもぉ・・・ので、勢いに任せてジョウをベットに引きずり倒す。 「なっ!?」 ボスン!倒れこんできたジョウの下敷きになるも、わーわー叫びながらジョウにしがみつく。 「お、落ち着け!アルフィン!おいっ!?」 ぐっと引き剥がされ、両手首を固定される。覗き込んでくるジョウが近い。 「またなんだわ!また夢なのよぉぉぉーーーー!!!<号泣」 別に怖い夢ではない。害があるわけでもない。それは分かってるんだけど、本物のジョウに逢いたい。 ジタバタ暴れ倒すあたしに業を煮やしたジョウは、身体全体で覆いかぶさり 「アルフィン!落ち着け!」 そう一括され、びくんっと固まった後。 「!?」 あれ?掴まれている手首が痛い。覆いかぶさってるジョウの重さも感じる。そしてなにより唇に感じる温かさ・・・ どれくらいそうしていただろう。。。 あたしの身体から力が抜けたのを確認したかのように、ジョウの重さが引いていく。 唇の温みも一緒に。 「・・・落ち着いたか?」 心配そうにあたしの瞳を覗き込み、髪をなぜてくれるこの感じは現実。ならこれは本物のジョウ? 「ねぇ、あたしどうしちゃったの?どうなってるの?ジョウは本物のジョウよね?ね?本物よね?」 ぐるぐるする頭で必死に考える。今度はちゃんと感覚はある。つねられた頬の痛みはなかったけど、掴まれた手首の痛さにジョウの身体の重さ、それに重なった唇の温かさは本物・・・本物・・・本物って!?重ねた唇!?そ、そんなぁ・・・・・ 「あ゛―ん!また本物のジョウじゃなぁぁぁーーーーいっ!!!」 嬉しい筈なのに嬉しくない。ファーストキスは苺味なのよ〜!(混乱の極<^^;) あたしは再びジタバタと暴れる。もぉ知らない。何なのよ!これは何なのよ!ヽ(`Д´)ノ 「だから落ち着け!俺が本物でなくて誰が本物なんだよ!」 離れていたジョウの身体が再び圧し掛かってくる。負けじと足掻く。 「本物のジョウはこんな事しなぁぁぁーーーーいっ!」 「何言ってんだ!?」 「ジョウは・・・ジョウはあたしにキスなんかしてくれないのよおぉぉぉーーーー!<号泣」 「はぁ?????」 素っ頓狂なジョウの呆れ声が聞こえたがそんな事はどーでもいい。 思考を放棄して、泣いて暴れて叫んで。息も絶え絶え、疲れ果てて身体に力が入らなくなったころのあたしに。 「アルフィン、大丈夫か?」 相変わらず押さえ込まれてる状態だけど、柔らかくジョウの言葉が聞こえてくる。 「・・・大丈夫じゃない。」 ひっく。。。身体に力は入らないけど、涙だけは流れる。 ジョウはベットの端に追いやられたブランケットを手繰り寄せ、あろう事かそのブランケットで私の涙を拭く。 そしてボスンっと、あたしを抱え込んだまま(羽交い絞めとも言う)ベットに倒れ込む。 暴れる気配がないと分かると。 「そうだよな。大丈夫じゃないな。良いか?要点だけ話すぞ?」 そう言って、あたしが何故こんな事になっているか話し出した。 曰く。 依頼された品を無事運び終え、任務完了。が、稀少植物栽培が趣味の依頼人の庭園を横目で見たあたしが是非見学したい!と言い出し、散策。うっかりアッシュフォーネの花の香を思い切り吸い込んでしまい半昏睡状態に陥り、離れの小屋を借りて様子を見ていた。って事らしい。 「あっ。。。。。」 思い出した。 アッシュフォーネ。ユリに似た純白の花。香りは甘いのに爽やかで高級香水の原料にもなっている。 適量なら害はないが、慣れないものが直接吸い込むと幻覚作用を伴い昏睡状態に陥る。 しかし、常用性もなく、命にも別状ないので、目覚めるまでとにかく安静にしておけば良い。 花自体が稀少植物に認定され、自生地域も限定されているので、被害状況は皆無に等しい。 その自生地域に住む人には免疫があるようで、土地の人は直接その芳香を嗅いでも倒れることはないそうだ。 なので、依頼人もすっかりその事を忘れ、気軽にあたし達を案内してしまったそうだ。 「おかしいよな。リラックス効果が売りの香水の原料花だろ?昏睡中はちょっとトリップはするらしいが、悪夢にうなされた事例はないそうだぞ。なのにアルフィンは悪夢に襲われたのか?」 ジョウは腕の拘束を解くことなく、しかしその力は緩めて問いかけてくる。 「・・・悪夢じゃなかったの。」 バツが悪くなってボソボソとしか答えられない。うん。悪夢じゃないの。ジョウにこうあって欲しいなぁ。こんなジョウだったら・・・な、あたしの希望があんな夢を見せてたんだ。と、思う。 ただ。今回のジョウも。 あたしは、ふっと面を上げてジョウを見る。 「ねぇ?ジョウ。」 「ん?」 真正面からその顔を見る。 「何時ものジョウなら、物凄く照れてこんな事しないわよね?」 「そうだな。」 「なんで今は平気なの?」 「・・・・・平気じゃない。」 ふっと目を逸らし、顔も逸らす。その言葉を聴くまで気が付かなかったけど、首筋を見ると真っ赤になっている。 「平気じゃないが、また暴れられても困る。それに、他のヤツにアルフィンを押さえつけさせるのは嫌だ。」 緩められていた腕の力が強くなる。 「押さえつけられるだけじゃなかったじゃない。」 恥ずかしかったけど、大事な事を聞いてみる。これに答えて貰わなきゃ。 「・・・あ、あれは・・・・・」 途端に口ごもるジョウ。 「あれは?」 ちゃんと答えるまで逃がさない。 「怒らないでくれよ?」 赤くなった顔が少し蒼くなったのは気のせい? 「・・・何よ?」 気持ち、むっとしたが、先を促す。 「勢いだ。」 ボソリ。何かとんでもない事を言われたような?・・・・・いや、言われたような。でなくて、言われた!?(@@; 「はぁ!?勢いですってっ!?<@@;」 思わず叫ぶ。うん。ここは叫んでも良いところだわっ!!! 「だからっ!勢いなんだ!勢いでもなきゃ、あんな事できねぇ!」 やけになったのか。ほとんど叫びながらの告白。 「なっ、なっ、なっ、なんですってぇぇぇーーーー!?ヽ(`Д´)ノ」 「ま、待て!待ってくれアルフィン!」 「えぇぇぇーーーい!問答無用よぉぉぉぉーーーーっ!!!<涙」
その後の修羅場?は割愛させて頂くわ(つД`)ウッ 今度は間違いなく本物のジョウだったのは事実。 ちょっとドタバタしちゃったけど、あの勢いのお陰でジョウの気持ちが少し前進してくれた事は大収穫だったわ。 相変わらずぶっきらぼうで物凄い照れ屋だけど。 二人きりの時には、少し甘い時間をくれるようになったのは、ナ・イ・ショ♪
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