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■47 / inTopicNo.21)  Re[6]: 雪降る温泉宿♪
  
□投稿者/ 剣流星 -(2002/03/09(Sat) 14:52:26)
    着ている服を剥ぎ取られたリッキーをモデル(!?)にして、仲居は浴衣の着方を実践し始めた。
    「えー、まず、浴衣を着て頂きまして、合わせは左を上にして下さい。右を上にすると、死装束になりますから。」
    「死装束?」
    3人は仲居に聞き返した。
    「はい。日本では、亡くなった方に真っ白な着物を着せてお送りするんです。生きている者とは反対の合わせにして。」
    「ふーん。」
    そう言っているうちに、
    「あとは、帯を腰の所で調節して、結んで出来上がりです。お寒うございましたら、羽織もご用意してありますので、どうぞお使い下さいませ。それでは、私はこれでお暇致します。御用のございます時には、フロントの方へご連絡ください。」
    「あ、ありがとうございました。」
    3人は礼をいうと、ぺこと会釈を1つして仲居は離れから出て行った。
    「あ゛ー、えらい目にあった・・・。」
    リッキーはどかっと畳の上に大の字に寝転がった。
    「お似合いでしたぜ、着せ替え人形のお坊ちゃん♪」
    さっそくタロスがリッキーをからかい始めた。
    「あ゛んだとーーーー!タロスじゃでか過ぎて、仲居のおばちゃんが敬遠したんだよ!おいらが、ちょうどよかったから、しかたなしに協力してやったんだい!!」
    あぁ、リッキーフォローになってない。
    ギャーギャー2人が騒いでる所に
    「あのー、失礼します。」
    番茶の声がした。
    「ご夕食は8時30分からになっておりますので、皆様、温泉で一汗流してこられてはいかがですか?えっと、お食事はお部屋で取って頂きますので、前後にはお部屋の方にいらっしゃって下さい。」
    説明が終わると、
    「番茶〜、なんでわざわざ車、それもタイヤ付き(おまけにチェーンき!)のめんどくさいツアー組むの?会社命令なのかい?」
    いつの間にかタロスとのケンカを辞めたリッキーが番茶に聞いた。怒る気はうせ、呆れたよな言い方で聞く。
    「いえ、其の方が、秘境に来た〜って、気になるでしょ?それに、会社命令ではなく、私の提案で始まったツアーなんですよ。でも、こんなに面白そうなツアーなのに、お客様のうけが今ひとつなんですよねー。どうしてでしょうか?」
    不思議そうに聞いてくる番茶。
    3人はこいつは鈍いんじゃなくて、人並みの感覚を持っていない事にようやく気がついたのであった。
    「・・・一週間、持つんだろうか。」
    ジョウはガックシと頭を垂れた。
    「そう言えば、アルフィンさんがいらっしゃいませんね。どうしたんですか?」
    妙にそわそわして、番茶が聞く。
    「ああ、アルフィンは浴衣部屋に篭ってて、まだこっちへ来てないんだ。」
    ジヨウが番茶にそういうと、
    「浴衣を着られた彼女は綺麗でしょうね〜♪」
    ・・・うっとり。アルフィンの浴衣姿を想像でもしているのだろう。自己陶酔している番茶であった。
    ああ、そうだった。こいつはアルフィンに一目惚れしてたんだった。その姿を見て、3人は思い出した。リッキーとタロスは、怖いもの知らずだ。なんて恐ろしい・・・。と思ったが、ジョウだけはちょっとムッとしていた。
    そこへアルフィンが深い紺色の生地に白百合をあしらった浴衣を着て入ってきた。
    「ね〜、どう?」
    4人は息を呑んだ。それほどその浴衣はアルフィンに似合って、彼女の美しさを引き立たせていた。
    「き、綺麗ですぅーーーーー!!」
    いの一番に番茶が答えた。
    「あら、嬉しい。ありがと、番茶さん。」
    嬉しそうにアルフィンが微笑む。
    「い、いえ、本当にそう思ったんです。本当に綺麗です。はい、良くお似合いですぅ〜。」
    番茶はアルフィンに礼を言われたもんだから、舞い上がってしまっていた。顔は真っ赤になって、興奮している。
    「ねぇ、あんたたちは?」
    アルフィンは3人に向き直って聞いた。
    「え、に、似合ってるよ、いいじゃん。」
    「ええ、よく、似合ってますぜ。」
    タロスとリッキーは差しさわりのない返事をしておいた。(じゃないと、後でとんでもない目に合うのが怖かったのだ。)
    「・・・ジョウは?」
    一番褒めてもらいたいジヨウに、アルフィンは上目遣いで尋ねた。
    「ああ・・・、いいんじゃないか?」
    そっけない返事である。本当は綺麗だ、の一言も添えてやればいいのだろうが、番茶の言葉にちょっとムカついたジョウは、それしか言わなかった。
    「うーん、つまんない!!」
    一番気にして欲しいジョウがそっけなかったので、アルフィンの機嫌が悪くなった。
    「・・・皆様、私は母屋のガイド専用室におりますので、何かあったらお呼びください。」
    どよーんとしてきた空気が分かったのか、番茶はそうそうに離れを後にした。
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■42 / inTopicNo.22)  Re[5]: 雪降る温泉宿♪
□投稿者/ 剣流星 -(2002/03/07(Thu) 21:54:16)
    ジョウ達は母屋を出て、日本庭園へ出た。シールドは通路のみになっているらしく、庭木には雪が積もっている。
    「四季折々の景観を大事にしているんです。雪景色が終わる頃には、梅、桃、桜の順でそれは見事に花をさかせますの。」
    仲居が説明を始める。
    「離れの方には、内風呂と致しまして、室内風呂と露天風呂とございます。もちろん、大浴場の方も母屋の方にございます。あと、山の方には大露天風呂もございますので、是非お入りになって下さい。」
    そうこうしているうちに、ジヨウ達は離れに着いた。
    「此方で御座います。」
    仲居に案内されたのは、瓦葺のこじんまりした一軒屋だった。
    引き戸をガラガラと開け、玄関に入る。ちょっとした土間だ。
    「此方で靴を脱いで上って頂きます。浴衣に着替えられましたら、此方の草履をお使いになって下さい。」
    土間には男物の草履が3つと、女性用の草履が1つ並べてあった。
    3人と仲居は部屋へ上がると、先に着いていた4人の荷物の確認をした。
    「ねえ、おいら達の荷物なんだけど、同じシャトルで来たはずなのにおいら達より早く着いているのは何故だい?」
    とんでもない答えを仲居が言った。
    「ええ。エアポートから当宿まで、1時間もあれば着きますもの。」
    「・・・へ?」
    3人はどうして、何故?と言った顔をしていたのか、
    「番茶さんのツアーで来た方は皆様、そんなお顔をされますわ。」
    くくくっと仲居は笑い、
    「エアカーで来れますの。ハイウェイとも繋がっていますのよ。」
    「な、なんだってーーーー!?」
    3時間以上かけて地獄の思いをしてきたのはなんだったのか・・・。
    「なんでも、雪山を堪能してもらうには車で来るのが一番だしって、仰ってましたよ。今時、タイヤ付きの車まで用意されて。いかにも、今から秘境に行きますって雰囲気を出したいらしいですよ。」
    あ、あんにゃろ〜〜〜!!!3人は拳をぷるぷる振るわせた。
    「えっと、それじゃあ、浴衣の着方をお教え致します。そこの坊や。」
    突然、坊や、と呼ばれたリッキーはビックリして
    「お、おいらの事?」
    「はい、ちょっと、こっちへ来てください。」
    リッキーが仲居の傍に行くと、
    「はい、ちょっと失礼。」
    仲居はリッキーを捕まえて着ている服をはぎ取り出した。
    「ヴ、ヴぁーーーー、なにすんだぁーーーー!」
    抵抗むなしく、リッキーはパンツ1つにされた。
    ジョウとタロスは、その様子を成すすべも無く見ているしか出来なかった。
    うわー、俺でなくて良かった。2人は心底そう思っていた。
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■39 / inTopicNo.23)  Re[4]: 雪降る温泉宿♪
□投稿者/ 剣流星 -(2002/03/06(Wed) 20:47:26)
    ジョウ達5人を乗せた車は、最初の頃こそ街と言える場所を走ってはいたが、
    (とは言っても、建設制限されている為、6階以上の建物は無いが。)
    どんどん建物は消え、道もハイウェイとはほど遠いものになり始めていた。
    「ち、ちょっと〜、何処へ向かってるのよ〜。」
    アルフィンがたまらず、番茶に尋ねる。
    「え、宿に向かっているんですけど?」
    なんでそんな事を聞くのかと言った風に番茶は答える。
    「なんかさー、どんどん街から遠ざかって行くし、人気も無くなってるし。」
    リッキーもたまらず番茶に不安をぶつける。
    「大丈夫ですよ〜、ちゃんと宿に向かってますから。なんてったって、雪山が堪能できる、秘境温泉ツアーですから♪心配ありません!」
    ・・・たがらよけいに心配なんだよ。(涙)ジョウは心の中でそう思ったが、言葉にしたらよけいに気が重くなりそうだったので、頭を抱えるだけ(!?)にした。
    「・・・ジョウ、」
    タロスがジョウに耳打ちをした。
    「あたしゃ、嫌な予感がするんですがね・・・。」
    半ば諦めたような投げやりな言い方をした後、タロスは大きなため息を1つした。
    「・・・俺に言うな。」
    ジョウは抱えていた頭をさらに抱える羽目になった。


    4人の不安をよそに、外の風景はどんどん雪の色、白一色となっていった。
    番茶以外の顔色も、雪の色と同じ様になっていった。
    「どーしたんです、皆さん、顔色が悪いですよ?車酔いしましたか?」
    番茶が心配そうに皆の顔を見る。
    あほ、クラッシャーが車ごときに酔うか。行き先に不安がてんこ盛りなんだよ!と言いたかったが、誰も言葉にする気が無い。というか、気力が萎えていた。
    「もうすぐですから。頑張ってくださいよ。」
    そういえば、車に乗って早3時間ほど経とうとしていた。
    あいも変らず、外の景色は真っ白である。と、思っていたら、前方に建物らしきものが見えてきた。
    「ほら、見えてきました。あれが、皆さんがお泊りになる宿、霧雨です。」
    前方には雪が積もった藁葺き屋根の日本家屋が見えた。
    「着いたの?本当に着いたの?」
    少し生気を取り戻したアルフィンが口を開いた。
    「はい。これからチェックインして頂いて、お部屋にご案内致します。ここの客室は、全て離れになっております。あ、離れってのはコテージと同じ意味ですね。さあ、着きました。」
    車は建物玄関前に横付けされた。ホテルの仲居さんが車のドアを開けた。
    「いらっしゃいませ。お疲れでしょう。ささ、お部屋へご案内致します。」
    番茶が連絡を取っていたのか、段取りよく仲居が皆を案内する。
    「私は諸手続きを済ませた後で、お部屋の方に伺います。お荷物の方は先にお部屋の方へ届いております。あ、仲居さん、頼みますね。」
    番茶は仲居に案内を頼むと、手続きをしにフロントへ足を運んだ。
    「では、こちらへ。」
    仲居に促され、4人はロビーへ向かった。
    「当宿は、客室が全て離れ形式になっております。ですが、離れと母屋の通路はシールドを施してありますので、雪や寒さの心配はございません。」
    仲居は宿の説明、避難通路、温泉の説明を一通りした。
    「それと、当宿のサービスといたしまして、お客様に浴衣を自由に選んで頂いておりますの。種類は女性の方が多いですけれど。」
    そう言って、浴衣が置いてある部屋に案内された。
    「うわーーーーー!」
    悲鳴にも似た叫び声をあげたのはアルフィンである。
    「か、かわいいーーー!」
    こうなったら御終いである。選ぶのに時間がかかるのは目に見えている。
    男性陣はさっさと浴衣を選んだ。ジョウは無地の紺色の浴衣。リッキーは白地に宿の名前の入ったオーソドックスなもの、(実はこれが一番沢山置いてあった。)
    タロスもリッキーと同じものにした。(と言うより、タロスに合うサイズがこれしか無かったのだ。)
    「お嬢様はお選びになるのに時間が掛かりそうなので、男性の方、先にお部屋にご案内致します。」
    仲居が気を利かせて別の仲居を呼び、ジョウ達だけ、先に部屋へ行く事になった。
    「アルフィン、ゆっくり選んできな。」
    ジョウが言葉を掛けたが、浴衣を選ぶのに必死なアルフィンの耳に声は届いていない。目の色が違う。
    「ささ、こちらへ。」
    仲居に促され、3人は浴衣部屋を後にした。
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■36 / inTopicNo.24)  Re[3]: 雪降る温泉宿♪
□投稿者/ 剣流星 -(2002/03/02(Sat) 20:25:43)
    <ミネルバ>は宇宙港のあるトキオシティーに入港していた。
    「ドンゴ、後は頼むぜ。一週間経ったら戻るから。その間に船内チェックと機器メンテを頼む。」
    今日のジョウは、クラッシュジャケットを脱いで、Gパンにベージュのセーター、厚手のジャケットにブーツといった出で立ちだ。他の3人も似たような格好である。
    「キャハハハ。マッカセナサイ。じょう達ガ戻ッテ来ルマデニ完璧ニシトキマス。キャハハハ。」
    「じゃ、ドンゴ。行ってくるぜ!」
    「りっきー、迷子ニナラナイヨウニ気ヲツケテ下サイヨ。キャハハハ。」
    「っんだとーーーーー!!!」
    リッキーはドンゴにつかかって行く。タロスはニヤニヤ笑って、
    「さあ、喧しいガキは置いて、さっさと行きましょうぜ。」
    わざとらしく早足でその場から去る。
    「そーねー、さっさと、行きましょ♪」
    アルフィンもここぞとばかりにタロスに同調する。
    「じゃあ、出発しようか。」
    ジョウまで、わざとらしく早足で<ミネルバ>を出て行く。
    「あ゛ー、おいてけぼりは無しだぜーーーー!!」
    リッキーは慌てて3人の後を追った。
    「キャハハハ、イッテラッサーイ。生キテ帰ッテ下サイヨ!キャハハハハ。」
    縁起でもないドンゴの見送りの言葉を受け、4人は<ミネルバ>を降りた。


    「ええっと、18番ターミナル、日本時間14時。入り口前でガイドの人と待ち合わせっと。今、13時40分。今から行けば丁度良い頃ね。」
    アルフィンは持ってきた日程表を見ながら確認をしている。
    「ガイドが付くのか?」
    ビックリした様にジョウが聞く。
    「うん、ツアーコンダクターってんだって。いろいろ案内してくれるそうよ。」
    「親切だねー。今時、そんなサービスしてるトコがあるんだ。」
    リッキーが目を丸くして言う。
    「ま、変な所に連れて行かなければ、だがな。」
    タロスが茶々を入れる。
    「それ、本当になったりして。」
    リッキーが冗談で言った。
    「わははははは。」
    4人は笑いながら、18番ターミナルに向かった。入り口が見えてきたとき、4人は声を失った。
    <歓迎、クラッシャージョウ様ご一行様>
    こう書かれた旗を持っているいかにもガイド!といった風のスーツを身にまとった20代半ばくらいの男が入り口にたたずんでいる。
    「うわぁ、なんじゃ、ありゃ。」
    リッキーが嫌そうにアルフィンを見る。
    「え゛ー、ガイドって、あんななのー?」
    アルフィンも、うわーってな顔になっている。
    ジョウとタロスにいたっては、頭を抱えて唸っている。
    「アルフィン、責任とれよ。1人でガイドん所いってあの旗下げさせて目立たなくしてくれよ。じゃないと、あそこには恥ずかしくて行けないよ。」
    リッキーにそう言われて、
    「あーったわよ、行くわよ、行けばいいんでしょ!」
    自分がセッティングした負い目もあるのか、素直に応じるアルフィンだった。
    3人が遠巻きにアルフィンとガイドの男を見てると、ガイドの男はぼーっとアルフィンに見とれた後、ペコペコ頭を下げていた。
    「兄貴、」
    リッキーが、あちゃーっと頭に手を当てた。
    「・・・なんだ。」
    「ありゃ、アルフィンに一目惚れしたらしいぜ。正体、知らないし。」
    突然リッキーがにやけて言った。
    「黙ってるか、おとなしくしてるとあの顔立ちですからな。」
    タロスまでにやけてジョウを見る。
    「俺にどうしろってんだ。」
    不機嫌になったジョウが2人を睨む。
    「いーや、気をつけた方がいいんじゃないかと・・・ね。」
    声を揃えて2人が言う。完璧に嫌味だ。それも、面白がっている。
    文句を言おうとした所に
    「ねー、出発時刻だって。シャトルに乗り込んでくれだって。」
    アルフィンが旗を下げさせたガイドを連れて3人の所にやってきた。
    「あのね、こちら、番茶さん。」
    アルフィンがガイドを3人に紹介した。
    「えっと、こっちがチームリーダーのジョウ、大っきいのがタロス、小っちゃいのがリッキー。」
    ガイドにメンバーを紹介する。
    「番茶と申します。1週間、宜しくお願いします。」
    ジョウより少し背の低いひょろっとした男である。かなり、ひ弱そうだ。
    「うっはー、大丈夫かよ・・・。」
    3人は同時に同じことを考えていた。
    「なにか?」
    番茶に聞かれて、
    「い、いや、こちらこそよろしく。」
    ひきつり笑いをしながら、握手をするジョウであった。
    「では、搭乗時間も迫ってますので、シャトルの方へ搭乗して下さい。」
    そう言って番茶は4人にチケットを手渡した。

    シャトルには1時間ほど乗っていただろうか。
    「此処からは、目的地まで私が車でご案内します。」
    「は、車?」
    4人は、ほけたまま番茶の後について行った。
    そこには、エアカーでなく、タイヤ(!)のついた4輪駆動車(チェーン付き)があった。
    「ひ、ひぇー。」
    リッキーは青ざめていた。
    「こ、これ、動くの?」
    アルフィンは不安を丸出しで番茶に聞く。
    「はい。もちろんです。当社自慢の車です。さあ、乗ってください。こう見えても、運転には自信があるんですよ♪」
    にこにこしながら番茶が言う。
    「じ、自信ねー。」
    タロスの青白い顔色が、更に青くなっていった。
    ジョウにいたっては、気分が優れないっといった風に頭を抱えていた。
    4人はしょうがなしに、番茶の車に乗った。
    「雪山が堪能できる、秘境温泉ツアー!じゃあ、出発しますよー♪」
    沈んだ4人を尻目に、1人明るい番茶であった。
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■34 / inTopicNo.25)  Re[2]: 雪降る温泉宿♪
□投稿者/ 剣流星 -(2002/02/26(Tue) 22:06:23)
    アルフィンはうきうきしながら、自室へ向かった。
    先日ニュースで見た温泉地への問い合わせを何処にしたらいいか、番組宛にメールしておいたのだ。
    「返事はきてるかしらぁ〜♪」
    ポンとコンソールキイをたたく。見慣れない長ったらしいSUBが目に入る。
    (地球旅行代理店日本支社“日本の温泉地情報”への問合せ先。)
    「あ、来てる、来てる!」
    内容を見てみると、下記のアドレスへご連絡下さい。としてある。
    「早速、連絡とってみなきゃね♪」
    アルフィンはルンルン気分でコールをかける。
    「・・・・、はい、こちら、地球旅行代理店日本支社です。」
    歯切れの良いオペレーターが数度のコールで出た。
    「あのー、温泉地へ行きたいんですけど、良いトコ教えて下さい♪」
    「はい。どういった泉質の温泉をお探しですか?」
    「え、泉質?」
    「はい、泉質のほかに、砂風呂、冷泉、泥湯、薬湯、お湯の種類がいろいろあります♪」
    オーペレーターは温泉の泉質と種類をアルフィンに尋ねてきた。これを聞いた瞬間、アルフィンの頭の中はぐるぐる回った。そう、すでに訳が分からなくなってしまっていたのだ。
    「え、ええ、あの〜・・・、」
    言い詰まったアルフィンの様子を察して、オペレーターは言葉をついだ。
    「お客様、温泉地へのご旅行は、初めてでらっしゃいますか?」
    このオペレーターの言葉は、アルフィンにとって救いの言葉だった。が、のちのちとんでもない事になる前兆であろうとは今、知るすべはない。
    「はい、そうなんです。このあいだのニュースを見て・・・」
    と、ニュースで見た温泉地の話をアルフィンは切り出した。


    アルフィンが自室へ戻った後、ジョウ達3人はそのまま、リビングに残っていた。
    「兄貴、アルフィンに任せて大丈夫なのかい?」
    リッキーが少し不安げに聞く。
    「しょうがないだろう、勢いで任せちまったし。今更こっちが決めるったって、聞きゃしないだろう?」
    諦め顔のジョウが言う。
    「アルフィンに限って、そう変な処は選ばんだろう。いいんじゃねぇか?今ままでは、こっちが決めて事後承諾って形をとってたんだしな。」
    タロスは楽観的だった。
    「・・・、なぁーんか、やな予感がする・・・。」
    「そんなに言うんなら、お坊ちゃんだけ<ミネルバ>で留守番しててもいいんだぜ?ドンゴと遊んでな。寂しく、な。」
    タロスは、けけけと笑いながらリッキーを挑発した。
    「んっだとぉ〜!!!このデカブツおやじ!!」
    「あーあ、又、始めやがった。好きにしてくれ。俺は当直だから、ブリッジに行ってるからな。って、聞いてねーか。」
    ジョウは、ぎゃーぎゃー騒いでいる2人を呆れ顔で一瞥すると、さっさとリビングを出て行った。


    翌朝。
    リビングに集まっていた3人を前にして、
    「ねーね、決まったわよ。」
    アルフィンが開口一番に昨日の件を話し出す。
    「ニュースで流れた処は、もう予約で一杯になってたんだけど、オペレーターの人が良いツアーを組んでくれたの♪」
    「へ、へぇー、ど、どんなツアーなんだい?」
    リッキーが、どぎまぎしながら聞く。
    「雪山が堪能できる、秘境温泉ツアー。だって。」
    雪山・・・、秘境・・・。
    この2つの言葉を聞いて、ジョウ、タロス、リッキーはいや〜な予感を憶えた。
    「ア、アルフィン、その、雪山ってのと、秘境ってのはどういう意味合いなんでしょうか?」
    こわごわ、リッキーが尋ねる。言葉が敬語になっている。
    「大丈夫よ〜、オペレーターの人が選んでくれたんだし、ちゃんと送迎付きだし。温泉の泉質だって、<打ち身、切り傷、皮膚病、婦人病、冷え性>ええっと、とにかく沢山だし、肌もつるつるになるって♪雪山ってたって、ちゃんとした設備もあるって言ってたし。心配ないわよ〜。」
    「そ、それならいいんだけどさ・・・。」
    リッキーは説明を聞いても、まだ不安そうである。
    「えっと、連泊で、1週間にしといたわ。残りの1週間はハワイにしといたから。やっぱ、ビーチにも行きたいでしょ?3人共。」
    「寝たおすんなら、ビーチがいいですな。」
    心なしか、ホッとした様な声を出すタロスだった。
    「ま、何はともあれ、明日には地球に着くんだ、皆、支度しとけよ。」
    雪山だからなー、なに持っていこうか、スキー板は現地調達だとか、それぞれ喋りながら、各自、いそいそ自室へと戻っていった。
    ・・・、これから始まる悪夢(!?)の数日間が待っているとも知らずに・・・。
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■33 / inTopicNo.26)  Re[1]: 雪降る温泉宿♪
□投稿者/ 剣流星 -(2002/02/24(Sun) 20:09:37)
    これは、安彦さんの仕事全集に付いてたポスターを見て「おお、こりわ・・・。」
    と思ってネタにしたモノです。
    持ってる人、見た事のある人は分かると思いますが。(笑)
    ・・・すいません、続きます。短くまとめようとすればするほど、妙な方向へ進んでいってしまい、訳わかんなくなってます。(焦)
    この先、暴走する事間違いなしです。特にジョウ、むちゃくちゃにします。
    だから、イメージ大事にしたい方、読まない様に。(笑)
引用投稿 削除キー/
■32 / inTopicNo.27)  雪降る温泉宿♪
□投稿者/ 剣流星 -(2002/02/24(Sun) 20:03:11)
    「今度の仕事で護衛する予定だったおっさん、破産したんだって?」
    ミネルバのリビングで、リッキーが呆れ顔でジョウに向かって言った。
    「ああ、会社の不正がばれて、あっという間に1文無しになっちまったんだってさ。ま、自業自得って事かな。あれじゃ、違約金もとれやしない。」
    とほほ、っといった顔でジョウも呟く。
    「本当に何にも残らなかったの?」
    アルフィンが疑う様に訊く。
    「本当に残らなかったらしい。債権者にヤバイのがいて、根こそぎ持ってかれたらしいぜ。にっちもさっちも往かなくなって、自己破産したらしい。」
    そこへタロスがスケジュールを見ながら言った。
    「ジョウ、次の仕事まで1ヶ月ちょい、ありますぜ。どうします?」
    その言葉を待っていた様にリッキーが飛び跳ねた。
    「兄貴、休暇にしようぜ、休暇♪仕事入れるなんてヤボな事しないでさぁ〜。」
    「この、おとぼけぐうたら坊主!なに言ってやがんだ。」
    「じゃぁ〜タロスだけ仕事してろよ!一人でさっ!」
    「あんだとぉ〜!!」
    「あちゃー、又始めちまいやがった・・・。」
    ジョウは頭を抱えた。実際、1ヶ月の仕事が無くなった。新たな仕事を入れるには
    ちょっとどうかと考える期間だ。
    「ねえ、ジョウ。この際だから、リッキーの言うとおり,休暇にしちゃいましょうよ。」
    アルフィンも顔を輝かせながらさらに続ける。
    「でね、こないだ見たニュースでね、地球の温泉地の特集やってたのよ♪」
    「は?」
    アルフィンはすでに休暇モードに突入したらしい。まだ休暇にすると決定してないのに、だ。
    「あのねー、いままでのオフって、海辺のリゾート地ばっかだったじゃない?たまにはちょっと変った処にも行ってみるのもいいんじゃないかしら?」
    こうなってしまっては、誰もアルフィンを止められない。既にアルフィンの目はキラキラ輝きだし、自分の世界に入っているのは一目瞭然だ。
    その様子を見て、タロスもリッキーも既にケンカをやめている。
    「その温泉の在る所はね、地球の日本って処らしいの。今の時期、雪か積もっててとっても綺麗らしいわ♪」
    手を胸の前に組み、うっとりした表情。・・・すでに陶酔している。
    「・・・、ジョウ、どうします?」
    タロスがジョウにしか聞こえないように囁く。
    「こうなっちまったら、仕方ないだろう?」
    ジョウも諦め顔だ。
    「分かった、分かった。じゃ、次の仕事は入れずに休暇にする。で、行き先はアルフィンに任せる。」
    「さっすが、兄貴!やったぁーい!」
    リッキーは飛び跳ねて喜んだ。
    「いやぁーん、ジョウったら分かってるじゃない!!」
    アルフィンはジョウの首に両腕を廻し、抱きついた。
    「わわわわわ、分かったから、アルフィン、分かったから!」
    ジョウは真っ赤になってアルフィンを引き剥がす。
    タロスとリッキーはにやにやしながら、
    「で、何時出発?」
    と同時に聞いた。2人共、気分は休暇に突入している。
    「そりゃ、」
    ジョウはニヤッと笑いながら
    「すぐ出発、だろ?」
    「イェーイ!流石兄貴、分かってるぅ〜♪」
    「ちょっと遠いからな、宿泊先は道中予約してくれ、プランはアルフィンに任せる。いいか?」
    「まっかせてぇ〜♪」
    ・・・これが間違いの始まりである事を今は誰も知らない・・・。
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