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■334 / inTopicNo.1)  もうひとつのバースディ
  
□投稿者/ まめこ -(2002/11/30(Sat) 22:56:52)
    ジョウはミネルバのブリッジにいた。
    副操縦席に沈み込むようにすわって頭の後で腕を組み、足を行儀悪くコンソールの上に投げ出していた。
    ふとデジタル表示の時計に目をやると、10時半を回ったところだった。
    「なんかあっちゃ困るが、やっぱり暇だなぁ」
    独り言を呟く。
    今晩、ジョウは当直の当番にあたっていた。
    しばらくぼんやりとメインスクリーンに映し出される宇宙空間を眺めていたが、なにか思い出したように胸のポケットから5cm四方の薄いディスクを取り出した。ジョウはそのディスクをコンソールの脇にあるスロットに差し込んだ。カシャンと乾いた音がしてディスクが飲み込まれデータが読み取られる。間髪を容れず、ブリッジにズンズンというもの凄い重低音が響いた。びりびりと空気が振れる。ジョウは飛びあがった。慌てて腕を伸ばし音量を絞る。なぜだか音量は最大になっていた。コンソールに足を上げていたお陰でジョウはシートからずり落ちるような格好になった。
    「あせったぜ」
    なんとか態勢を整え額を拭った。

    「なあに?今の音」
    どきん、とジョウの心臓が跳ねあがった。先ほどの大音量で少し早くなっていた鼓動がさらに早くなる。悪戯を見つけられた子供の心境に近かった。別にわるさをしていたわけではなかったが…。
    ゆっくりとジョウが振り向くと入り口に両手にコーヒーカップをもったアルフィンが立っていた。
    「廊下にまで聞えたわよ」
    「スピーカーの音量が最大になってたのを気付かないで、ディスクをいれちまったらしい」
    「バカねぇ」
    そう言いながらアルフィンは中に入ってきた。ブリッジにアルフィンの持つコーヒーの香りが広がった。

    「はい、差し入れ」
    アルフィンは右手に持ったカップをジョウに差し出した。
    「サンキュー」
    ジョウはコーヒーを受け取り、早速口をつけた。熱くて苦いコーヒーが喉を通ると早まった鼓動が幾分落着いたような気がした。
    アルフィンは左手に持っていたカップを両手で包むように持ち換え、操縦席のシートに腰を下ろした。体が沈むのに合わせて金髪がふわりと舞う。
    「この曲って、リッキーがプレゼントしてくれたディスクに入ってたヤツ?」
    コンソールに両肘をついてカップに口を寄せながら、微かに聞える音楽に耳を傾けアルフィンは言った。
    「ああ、そうだ」
    ジョウはそう言い、先ほど最小に絞った音量を少しだけ戻した。ドラムとベースの腹の底に響くような重低音にギュイーンという甲高いギターの音と、歌っているのか叫んでいるのか判断に困るボーカルの声が重なる。初めのうちは耳障りに聞えるが、耳になれると結構良いメロディラインだった。歌詞ははあまりよく聞き取れない。だが聞き取れたとしてもあまり意味が無いものであることはジョウもアルフィンも知っていた。
    「〈SPACE COWBOY〉ね。リッキーらしいわ」
    「まあな」
    リッキーが数日前のジョウの誕生日にプレゼントしたのは、最近ヒットチャートをにぎわせているバンドの最新アルバムのディスクだった。リッキー位の若い男の子に熱烈なファンが多く、ライブでは必ずといっていいほど怪我人がでるという少々荒っぽいバンドであった。むろん女性のファンは殆どいない。ジョウも多少は興味があったがファンというわけではなかった。つまり、これはリッキーがアルフィンに強要されて無理やり考え出したプレゼントだった。
    「眠気覚ましにはちょうど良いさ」
    こんなのでごめん、と言を添えてプレゼントを差し出した時のリッキーの、なんとも言えない表情を思い出しながらジョウは言った。

    「リッキーの誕生日にはクラシックかなにかお返ししてあげれば?」
    くすり、と笑いながらアルフィンが言った。何気ない一言だった。
    だが、その言葉にジョウの表情が僅かに曇った。
    「あたし、なにか変な事いったかしら」
    ジョウの表情の変化を敏感に感じ取り、アルフィンは怪訝な顔でジョウの顔を覗き込むようにして訊いた。ジョウとアルフィンの視線が合った。ジョウは誤魔化そうとしたが間に合わなかった。アルフィンの射抜くような眼差しにジョウは一瞬躊躇ったような表情をしたが、やがて口を開いた。
    「実は、リッキーにはちゃんとした誕生日ってのが無いんだ」
    言うべきではないかもという迷いが窺がわれる物言いだった。だが、アルフィンなら言っても良いだろうと思いジョウは続けた。
    「親もよくわからない生い立ちだ。産まれた年はわかっても産まれた日まではちょっとわからないっていってたんだ」
    「でも、リッキーのIDにはちゃんと生年月日が記入されていたわ。それにパーティをした時だってなにも言わなかったじゃない」
    「書類の上はミネルバに転がり込んできた日を生年月日として登録してるからな」
    「そうなんだ…」
    アルフィンは視線を落とした。声のトーンも自然と低くなる。
    「じゃあ、私凄く悪い事しちゃってるのかも。本当の誕生日でもないのにバカ騒ぎしたりして…」
    アルフィンがミネルバに乗り込むまでは、皆の誕生日を祝うという習慣は無かった。男所帯では当然の事だった。だがイベント好きのアルフィンがそれを許すはずが無い。以来、誰かの誕生日は状況が許す限り皆で祝う事になった。リッキーの誕生日も例外では無かった。
    「アルフィンに本当の事を言わなかったのは、あいつなりに気を遣ってたんだろうな」
    ジョウの何気ない一言がアルフィンの沈んだ心に追い討ちをかけた。
    「気を遣わせちゃってるのね」
    トーンが更に下がる。
    「リッキーはそんな事を気にするやつじゃないさ。それに、結構楽しそうにしてたじゃないか」
    みるみるうちにテンションが下がって行くアルフィンの様子を見てジョウが慌てて言った。
    「そっかな」
    気の無い返事をジョウに返しアルフィンは口を噤み、少し冷めたコーヒーを口に含んだ。苦いコーヒーだった。王女としてなに不自由無く育ってきたアルフィンには考えつかないほどの苦労をしてリッキーが今まで生きてきたということは、よくわかっていたつもりでいた。しかし、それはアルフィンの驕りだった。リッキーは優しい。だからきっと今まで何も言わないで色々なことを笑っていてくれたのだろう。そんなリッキーの心の内を考えると目頭が熱くなってきた。アルフィンはカップを握った両手で目頭を押さえ、涙が溢れるのをかろうじて止めた。
    ぽんぽん、と大きな手がアルフィンの頭を軽く叩いた。アルフィンが顔を上げると、いつのまにかジョウが隣に立っていた。ジョウは前屈みになり、優しく、けれど少し強引にアルフィンの頭を自分の胸に引き寄せた。アルフィンは抵抗することなくジョウに体を傾けた。ジョウの手がアルフィンの金髪を撫でる。その掌からジョウの優しさがじわじわと伝わってきてアルフィンの涙腺を刺激した。せっかく止めたアルフィンの涙が一筋、頬を伝って流れた。

    暫くの間、アルフィンはジョウの腕の中にいた。ジョウもアルフィンもなにも話さなかった。ただ、少し場違いな〈SPACE COWBOY〉の曲がブリッジに流れていた。
    アルフィンの涙が乾く頃、漸くジョウが口を開いた。
    「アルフィンは変わらなくていいんだぜ。そのままの君でいれば良い。嫌な事があればあいつだってちゃんと言うさ」
    アルフィンはこくん、と小さく頷いた。そして面を上げ、笑顔を作って言った。
    「ごめんね、邪魔しにきちゃったみたい。コーヒーも冷めちゃったし…」
    そんなアルフィンの額にジョウは軽く唇を押し付けた。そして
    「じゃあ、コーヒーのおかわりもらえるかな」
    そう言い、ゆっくりと体を離した。

    数分後、コーヒーを持ってアルフィンがブリッジに戻ってくるとジョウは空間表示立体スクリーンのシートに腰を置いていた。ジョウはメールのチェックをしているようであった。チーム宛のメールはここで一括して受信していた。
    「メール来てるの?」
    アルフィンはジョウにコーヒーを手渡しながら訊いた。
    「あぁ、2、3件な」
    画面から目を離さずにジョウはコーヒーを受け取り、そのまま口に運んだ。
    「ん?」
    カップに唇を付けたところでジョウの動きが止まった。怪訝に思ったアルフィンがシート越しに画面を覗き込み表示されている文字をざっと読んだ。
    「ねぇ、これって…」
    思わず二人は顔を見合わせた。

    「ねぇ、ジョウ。次の休暇っていつだっけ?」
    唐突にアルフィンがジョウに訊いた。
    「んーっと、今度の仕事の後に2つほど打診があったから…」
    なぜアルフィンがそんな事を訊くのか要領を得なかったが、ジョウは頭の中でスケジュール帖をめくり、時間をざっと計算した。
    「そうだな、標準時間でだいたい1080時間ってとこだな」
    「1080時間かぁ。1ヶ月半ってことよね。うーん、間に合うかしら?」
    アルフィンは片手を顎にあてて、一人でぶつぶつと言った。
    「なんのことだい?」
    ジョウには何事かさっぱりわからない。痺れを切らしてジョウはアルフィンに訊いた。
    「ちょっと耳を貸して」
    アルフィンは子供の様に碧眼をキラキラさせて、ジョウに耳打ちした。
    「どう?」
    顔を離してアルフィンが訊いた。
    にやり、とジョウが笑った。
    「その話、のった」
    「そうこなくっちゃ!」
    ジョウとアルフィンの顔に少し意地の悪い笑みが浮かんでいた。
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■335 / inTopicNo.2)  Re[1]: もうひとつのバースディ
□投稿者/ まめこ -(2002/11/30(Sat) 23:04:07)
    休暇中の滞在ホテルの一室。皆で夕食を取った後、リビングで映画を見ながらゴロゴロしていたリッキーにタロスが声を掛けた。
    「おい、くそチビ。ちょっと付き合え」
    そう言い、タロスはリッキーの首根っこを捕まえ半ば引きずる様に連れ出した。
    連れ出され方に些か不満が残ったが、これといってする事が無く暇つぶしに映画を見ていただけだったのでリッキーはおとなしくタロスについていくことにした。
    「どこに行くんだよ」
    行き先も告げずに、大またで歩みを進めるタロスにリッキーは何度と無く訊いた。
    だが、何度訊いてもタロスはにやりと笑い
    「そいつは言えねぇな」と言うだけだった。
    訝しみながらも、行き先もわからないリッキーはタロスの後をついて行くしかなかった。
    「そういやジョウとアルフィンは何処へいったんだい?」
    リッキーは質問を変えてみた。
    「知らねぇよ」
    だが、タロスから帰ってくる返事は大差の無いものだった。強引に連れ出しておいて何の説明もしないというタロスの態度に、リッキーはだんだん腹が立ってきた。

    ホテルを出て数分歩いた。カフェの前で徐にタロスは歩みを止める。必死で後を付いてきたリッキーは勢いを止める事が出来ずにタロスの背中にぼすん、と突っ込んだ。
    「なんだよ、急に止まるなよ」
    タロスの態度に腹を立てていたリッキーはここぞとばかりに毒突いた。が、タロスはリッキーが背中にぶつかった事にすら気付かないといった様子で首を廻らせていた。何かを探しているようだった。2、3回首を左右に振ったところで視線が止まった。
    「お、いたいた」
    タロスが手を挙げた。タロスの視線の先を追うと、オープンテラスの一角でジョウがこちらに手を挙げているのが目に入った。
    「なんだよ。兄貴じゃないか。ちゃんと行き先知ってたんじゃないか!」
    リッキーがタロスに噛みついた。
    ふふん、と鼻先でタロスが嘲笑った。
    「その勢いが何処までもつか、見物だな」
    なにやら意味深な言を口にしながら、タロスは
    「そら、行った行った」と言ってリッキーの背中を押した。
    「なんだよ、気持ちわりぃなぁ」
    そう言いながらも、リッキーはジョウの元に向った。
    「悪いな、呼び出して。渡したいものがあってな」
    「渡したいもの?」
    「あぁ、プレゼントだよ。誕生日のな」
    リッキーは首を傾げた。
    「??俺らの誕生日はまだまだ先の話しだぜ?兄貴どっかおかしいんじゃないかい?」
    「まぁ、詳しい話しは後でするとして…」
    ジョウはリッキーの後に回りがっしりと両肩を掴んだ。
    「なんだよ、兄貴まで。タロスも兄貴も今日はなんか変だぜ?」
    納得のいかないことばかりで困惑するリッキーをジョウは無視した。そして、そのまま押すようにして前に進む。リッキーは足をもたつかせながらも、されるがままに前に進んだ。
    カフェの少し奥まった席にアルフィンがいた。にっこりと微笑んでこちらに手を振っている。ああやってだまってると可愛いんだけどなぁ、などと呑気な事を考えてリッキーは歩みを進めた。だが、数歩進んだところでピタリと足が止まった。
    「ん?どうした?」
    後からジョウの声がする。心なしか笑いを含んだ声だった。
    「なんか良いものがみえたかな〜」
    タロスの嫌味なほど甘ったるい声が頭上から降ってくる。普段ならそんな声を掛けられたら逆上して飛びかかるはずのリッキーだが今日は動かなかった。タロスのそんな揶揄が耳に入ってすらいないという感じだった。
    リッキーが見たもの。
    アルフィンの隣の席にちょこんと座る栗色のショートカットの少女。
    リッキーはその少女を知っていた。
    だが、リッキーの知る彼女は髪を3色に染め分け、頭の右脇で束ねて整髪料でかちかち固めていた。
    「ミミー?」
    リッキーは少女の名前を口にした。なぜだか喉が乾いて、掠れた声になっていた。
    「えへへ、お久しぶり」
    少し照れたように笑って言ったその声はリッキーの知る、ミミーの声であった。

    「なんでミミーがここにいるんだ?それに誕生日のプレゼントって?」
    リッキーは訳がわからず、叫びながら後ろを振り向いた。
    ジョウとタロスがだらしないまでに目許を緩めてリッキーを見ていた。
    「誕生日のプレゼントだよ、皆からの」
    ジョウはそう言うとこらえきれずに噴出した。それにつられてタロスもアルフィンも笑い出す。リッキーの顔は茹ですぎたタコよりも赤くなり、表情は嬉しいような困ったような泣きだしそうな…なんとも複雑で滑稽な顔になっていた。ジョウ、タロス、アルフィンの3人はその予想通りのリッキーの反応に笑いをこらえる事が出来なかった。
    「なんだよ、全然説明になってないじゃないか。それになんでそんなに笑うんだよ」
    リッキーは喚き散らした。
引用投稿 削除キー/
■336 / inTopicNo.3)  Re[2]: もうひとつのバースディ
□投稿者/ まめこ -(2002/11/30(Sat) 23:46:25)
    リッキーが落ち着いたところでアルフィンが事情を説明した。

    ジョウの当直の日、チェックしたメールの中にミミーからのメールがあった。
    そのメールはジョウのチーム宛で来ていたが、内容はまるっきりリッキー個人当てのものであった。ミミーはリッキー個人にメールを送りたかったがチーム宛のアドレスまでしか調べがつかなかったので、しかたなくチーム宛に送ったということだった。本来ならば、内容を読んでしまった事を詫びてリッキーに転送するべきものであったが、ジョウとアルフィンはそれをしなかった。
    リッキーは隠しているつもりだったが、リッキーがサラチナ・ポートで別れたミミーを忘れられないでいるのはチーム全員の知るところであった。そこに届いたミミーからのメール。ミミーはリッキーと連絡が取りたいと言っていた。できればもう1度会いたいとも。誕生日の件でリッキーに負い目を感じてしまったアルフィンはどうにかしてそれを詫びたいと思っていた。これを利用しない手は無かった。そして一計を案じた。
    ジョウとアルフィンはタロスを巻き込み、あれやこれやと段取りを組んだ。
    リッキーに知られることなく、計画は順調に進んだ。
    そして、今日。計画は実行された。
    結果、リッキーは皆の期待通りのリアクションを取り、3人を満足させた。

    「でも、なんでミミーに会う事が誕生日のプレゼントなんだい?俺らの誕生日はまだまだ先だぜ」
    すっかり平静を取り戻したリッキーが3人に訊いた。
    ジョウ、タロス、アルフィンは一瞬顔を見合わせた。
    「あたし、リッキーに謝らなきゃいけないことがあるの」
    ややあってアルフィンが口を開いた。
    「なんだい改まって。俺ら謝ってもらう事なんかひとつも無いぜ」
    リッキーがきょとんとした表情で言った。そんなリッキーにかぶりを振ってアルフィンは言った。
    「あのね、あたしすっごく無神経だったなって反省したの」
    アルフィンはゆっくりと話し始めた。
    「あたし、リッキーの誕生日が本当の誕生日じゃないって最近になって知ったの。なのにあたしったらバカみたいにパーティだなんだって騒いじゃって。だから、お詫びって言うんじゃないんだけど、リッキーになにか喜んでもらえることをしたかったの。誕生日っていうのは単なるこじつけなのよ…」
    最後の方は少し涙声になってしまっていた。
    「なぁんだ、そんなことか」
    泣き出しそうな顔のアルフィンに、リッキーは大げさに笑って言った。
    「アルフィンって変なこと気にするんだね。俺らそんなこと全然気にしてなんかなかったよ」
    「俺もそう言ったんだけどな」
    横からジョウが口を挟んだ。
    「まぁ、でもアルフィンの気持も分からなくは無いから今回は協力したんだ」
    「面白いものも見せてもらったしな」
    タロスがまぜっかえす。
    「なんだよ、面白いものって!」
    「そりゃ、決ってるじゃないか。リッキーのダンナのことですぜ」
    リッキーとタロスのいつものレクリエーションが始まった。湿っぽかった空気が一気にいつものジョウのチームのそれに戻った。

    「あのね、お楽しみのところ悪いんだけど」
    今にも取っ組み合いを始めそうになる二人にアルフィンが制止をかけた。
    「リッキー、あたし、相手が違うと思うの」
    そう言って、ミミーをリッキーの目の前に立たせた。
    「あう」
    二人の動作がピタリと止まった。
    「おっと、いけねぇ。ついいつものクセが出ちまった。気がきかなくて悪かったな」
    ぽりぽりと後頭を掻きながらタロスがミミーに向って笑って言った。

    リッキーとミミーはジョウ達とわかれて近くのゲームセンターに行く事にした。
    別れ際にリッキーがアルフィンのところに駆け寄ってきた。
    「ありがとう」
    少し照れたように言った。
    「でも、俺らアルフィンが開いてくれる誕生日のパーティ、すっごく嬉しいんだぜ」
    鼻の頭を指で擦りながら、リッキーは続けた。
    「俺ら家族ってのを知らないから、誕生日にパーティなんて考えた事もなかったんだ。それをアルフィンに教えてもらったんだ。家族って良いもんだって本気で思ったんだぜ」
    アルフィンの顔にパッと笑顔が浮かんだ。
    「それに俺らの誕生日はクラッシャーリッキーが生まれた日なんだ。誕生日には変わりないさ。だから、今度の俺らの誕生日、またパーティしてくれよな!」
    そう言うと、さっさと踵を返してミミーのところに戻った。
    「もちろんよ!」
    走るリッキーの背中にアルフィンが言った。リッキーは振りかえり、拳に親指をたててそれに答えた。
    リッキーとミミーは何事か笑いながら人ごみの中に消えて行った。
    それを見ながらタロスが言った。
    「そんときゃまたミミーにも出向いてもらわなきゃ、ですな」

    <おしまい>
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■337 / inTopicNo.4)  Re[3]: もうひとつのバースディ
□投稿者/ まめこ -(2002/11/30(Sat) 23:49:50)
    リッキーの誕生日っていつなんだろう?と思ったらこんな話しを思いつきました。
    ケド、私が知らないだけで実はちゃんと設定があったらどうしよう(汗)

    >R萌えの皆さま
    こんな話を書いちゃった私を、どうぞ見捨てないで下さいまし(滝汗)
引用投稿 削除キー/
■338 / inTopicNo.5)  Re[4]: もうひとつのバースディ
□投稿者/ まめこ -(2002/11/30(Sat) 23:50:53)
    あう、済チェックするの忘れてましたぁ〜
fin.
引用投稿 削除キー/



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