| 暖かい。だからこのままで。 アルフィンを引き寄せた腕に少し力を入れる。 慌てて離れようとした気配が消え、おずおずとだが寄り添ってきた。 何時もなら照れや人目を気にしてしまう難儀な性分が今日は頭を出さずにいる。 寒さのせいだろうか。珍しくクラッシュジャケットではない服装だから、ほんのり温かみが伝わってくる。 人肌の温かさが恋しくなっているのか? でも、誰でもいいわけではなかった。アルフィンの温もりだから手放したくなかった。 普段からこう素直な行動が取れればと薄らぼんやりと思うが、これはきっと今日だけの魔法。 だから少し調子に乗ってみる。 アルフィンの髪に埋めていた顔を上げ、碧い瞳を見つめる。はにかむような笑顔を見たらたまらなくなった。 気付いたら引き寄せられるように額にひとつ。両頬にひとつづつ。そして。
アルフィン。誕生日おめでとう。
そう呟いて、暖かい柔らかな唇に温もりを求めた。
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