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■516 / inTopicNo.1)  そんな日常
  
□投稿者/ 柊里音 -(2003/09/26(Fri) 10:49:37)
    「やめてくれえええええええええ」
    リッキーの絶叫がこだまする。


    とある惑星のとあるクラブ。

    大音量の音楽よりもすさまじく響き渡る彼の声。

    騒ぎに、全く気が付いていなかった、店後方の客たちにまでその声は届き。
    なにがあったのかとテーブルから身を乗り出す輩、前方で起こっている騒ぎをなんとなく気がついてはいたが、ここにきて大乱闘が始まったと大喜びで近づいてくる輩。
    そして騒ぎを起こしているのが見目麗しい麗人たちとくれば、見物のしがいもあるというものだ。

    「うるさあああああい」

    押しとどめようとするリッキーの腕を、振り払おうとするアルフィンに、彼が泣きべそをかきながら哀願していた。
    彼女を一番押しとどめられる人間は、今はすでにいない。
    それが益々、彼女を狂乱の宴へと歩ませているようだった。


    いつものようにクラッシャージョウチームはつかの間の休息。
    到着時間は深夜になった。
    それならば、と繰り出した深夜のクラブ。
    そこでやはり一乱闘がおきた。

    もともとアルコールに飲まれやすい、チームのメンバーである元お姫様は、なにか気に障る事がでてしまうと凶器と化す。
    それが、チームリーダーにかかわるとなると・・・・。

    最初は機嫌よく飲んでいた4人。
    開放感もあり、グラスの空け方もハイテンション。
    そしてやはり・・・。




    たまたま化粧室にたったアルフィンにとある男性が近づいた。

    愛しの彼と同席していれば何もいらないアルフィンではあるけれど、冷静に見ても彼女はいい女である。
    いい感じに出来上がった彼女は、ほかの男からの視線も当然浴びる。
    アルフィンはといえば、冷静に見てもいいオトコであるジョウに向けられた視線を当然苛々しながら受け流す。

    まあ。お互いがお互いの愛しの君に向けられた視線が好ましくなかったのは同等、というところであるのだが。

    「ねえ。君一人じゃないけど、どうだいたまには羽目をはずしてみないか?」

    ただでさえ気に障る視線に絡みつかれて、気持ちいい酔いから逸脱しつつあった彼女。
    かなりの酒量を体内に取り入れていることもあり、とろんとした目つきで睨んでみるが、男からしたら誘われていること、この上ない。

    「あ〜〜〜〜???」

    しかし、眼に力を入れて睨んだつもりなのに、この見も知らぬ男にはどうやら通じてはいないらしい。
    そうこうしているうちに腕をつかまれ、ずるずるフロアに連れて行かれた。

    もちろんそれをここに座る男が見逃すはずもなく。



    「あ。あれアルフィンだ。」
    チームリーダーとトラブルメーカーの後処理は必ず回ってくる、一番の若年者の少年は、また要らぬことを口から漏らした。
    その言葉にフロアをみると・・・。


    たしかにあれはアルフィンで、いかにも楽しそうに踊っているではないか。
    しかし、いつも腕をとって、無理やりフロア中央に繰り出させられる男は当然自分の隣にいる。

    しまった・・・。
    と口を押さえても後の祭り。
    なぜなら先ほどから、ジョウに色目を使う女たちにこれでもかと罵声を浴びせていたはずの彼女は。
    中央に。
    しかも見知らぬ男と。

    冷たい汗が背中をながれるのは今口を滑らせた少年。
    このばか。もちょっと考えてしゃべれやとでも言いたいが雰囲気の巨体の男。
    ふん。と鼻をならしてその状況を見ているのが少年の視線の先にいるいい男。

    同席しているはずの彼女が一人でフロアに繰り出すのは面白くない。
    たとえそれが、一緒に行こうと誘われて断ったあとでも、もう一度ねだられれば間違いなく席をたっていたと考えつくだけに。

    しかし、たんにそれだけで焼きもちを焼いていると思われていてもシャクにさわる。
    それはいつもアルフィンの役回りだからだ。

    じゃあ後よろしく。

    そういって席を立って出て行ってしまう。

    じゃあな。

    そういって巨体の男も出て行ってしまう。

    それはこまる。とっても困る。それならみんなで帰ろう。
    「お〜い!!アルフィ〜〜〜〜〜ン!!」
    声を掛けても聞こえるはずもなく。
    しかたなしに中央まで歩を進め。

    「お・・おたのしみのとこ悪いけど・・。兄貴帰るって・・。」
    かなりの大声で、背伸びをして背後から叫んだ。
    「え?帰る???」
    後ろを振り返り出入り口に向かうその姿を見つけた。
    「あ。じゃあ・・・。」
    帰ると言葉をつごうとしたそのときに。


    ちゅ。


    いきなりの抱擁とキスが降ってきた。


    固まるアルフィン。
    固まるリッキー。

    恐ろしくて後ろが振り返れない。一気に酔いも醒めた


    悪気はないのだ。こういう場所で、しかもご挨拶程度。
    でもそれを過剰に反応する人間もいるわけで。

    「・・・・・あ・・・アルフィン・・。あそこ・・・」
    硬い声を後ろから聴く。
    出入り口に向かう階段からの冷たい視線。

    怒り立つオーラそのままに、すっと背を向けでていく男。
    おろおろとこっちと向こうを見ながら、両手を挙げて降参表示をしつつ出て行く大男。

    「あ〜。ほら帰っちゃったよ。あ。でもあそこの彼女たちくっついていったみたいだね。」

    何気ないせりふに我に返る。
    確かに。ついていった。
    さっきからジョウに流し目を送っていたあの女。

    まさかジョウが相手にするとも思えない。
    間違ってもありえない。
    だけど、自分以外が腕を触るのも、自分以外の名前を呼ぶのも許せない、
    と思う自分もここにいる。

    こうなったのは全部あんたのせいだ。
    目の前にいる何の罪もない男に怒りの矛先がむいた。

    「ちょっと〜!!なにしてんのよ〜〜〜!!!」
    そのはるか後方で黄色い女の声。
    まずい・・。
    そういったのは目の前の男。

    いきなり目の前で火花が飛んだ。
    「あんた人の男に手を出すなんて、お上品な顔してやることじゃないわよ!!」
    そういわれて。


    ぶちきれた。


    何も手を出したわけじゃなく、逆に手を出され、それをジョウに見られた挙句、置いてけぼりにされた。
    怒りを覚えないでどうするか。
    叩いてきた女に両手でお返しをする。
    悔しくて涙も出ない。
    叩かれた女は再度反撃に出る。
    そしてまたアルフィンも反撃を。

    そして狂乱の宴がはじまった。

    間に自ら立った男は、矛先が向くのを恐れて逃げ出した。
    酒に飲まれて、我を忘れ怒りに身を任せるアルフィンはターゲットを絞る。

    女同士の喧嘩とはいえ、そこに野次が入るとテンションもあがる。
    野次る中からも喧嘩がはじまった。


    やめてくれえええええええええええええ



    お守りのお役を毎度引き受けさせられる少年の絶叫は怒声にかき消された。



    そしてまた一つ。
    とある惑星のとあるクラブが営業停止となった。

    広い広い銀河系のなか。小さな惑星のちいさな町の小さなクラブ。


    幾日か後、店舗修理請求書と領収書を握り締め、街頭に立つ少年。

    「俺らはもういやだ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」


    そんな彼らを人はクラッシャーと呼ぶ
fin.
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■517 / inTopicNo.2)   そんな日常
□投稿者/ 柊里音 -(2003/09/26(Fri) 10:51:34)
    ちょっと一息。
    おばかネタ。
    りっき。かわいそうなんだけどそこがいいかな?と。




fin.
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