| その後しばらくして起きたピザンの一件で、ガンビーノは本物の神様のもとへと旅立ってしまった。 だから俺らは、あの夜のことを兄貴やタロスにもう喋っちまったのかどうかを、ガンビーノに聞けずじまいになってしまった。ガンビーノのことだ、多分黙っていてくれているんだろうと思う。
しかし、タロスの野郎は喧嘩のたびに「ねしょんべん」を連発する。ガンビーノ、本当はもう喋っちゃったのかな? だからこそ、俺らは「ねしょんべん」が余計に気になって、必要以上にムキになってしまうんだ・・・。
ねぇガンビーノ、教えておくれよ。 あの夜の、俺らのたった一度の過ちのこと、ガンビーノと俺ら二人だけの秘密のままだよね?
そう、あれ以来だ。どこかの星に降りるたび、俺らはチームのみんなの目を盗んでこっそり、かつ、素早く本屋に寄らなくちゃならない。いつもミネルバで留守番役のドンゴのために、新しいエロ本の調達。それがドンゴの出した取引条件だった。 「最近ハ、りっきーモワタシノ好ミガワカッテキタヨウダネ!キャハハ」
生まれて初めて酒を飲んだ健気な少年の様子を、夜中にそっと見に来ただけ。そして偶然、少年の過ちを発見してしまっただけなんだろう。 しかしあの夜、当直にあたっていたドンゴにわざわざランドリールームまで行くよう指示したのは、密かにドンゴとエロ本を貸し借りする仲のガンビーノだったんだ!
俺らが全ての真実をドンゴから聞くのは、本当に170センチまで背が伸びた、さらに数年後のことになる。
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