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■719 / inTopicNo.1)  ちいさなウエディングベル
  
□投稿者/ 柊里音 -(2004/05/21(Fri) 01:53:48)
    病み続きのミルク姉さんに捧ぐ!!
    というほどの大袈裟なものではないんですが・・・。(^_^;)
    いやさ、さっきおえびでウエディング祭り見てて、ふと。
    妄想炸裂でございます。
    ご容赦ください、くだらん妄想です。はい。
    つまんなくってごめんなさい。

    そして短時間のため誤字脱字おゆるしくださいねー。


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■720 / inTopicNo.2)  ちいさなウエディングベル
□投稿者/ 柊里音 -(2004/05/21(Fri) 01:56:39)
    きっと俺は、今、すばらしく幸せな男に違いない。


    追いかけて、強奪して、向かった先はこの小さな教会。

    まさかこんなサプライズパーティを実行するとは知りもしなかっただろう。
    いきなりの事だったから周りの人間も迷惑なやつらだと思っただろう。
    かまやしない。
    彼女が、もうどこへもいかないと、神の前で宣言するのなら。
    カッコ悪くても、情けなくても、泣いて縋るほど落ちぶれちゃいない。なんて、まだ青いね、俺も。
    だがしかし、一番の家族が祝ってくれる。
    俺にとっても、彼女にとっても、それが何よりと思う。あいつらがいて、2人がいる、そのことが。


    神と誓いながら、以前彼女が、幸せな笑顔を振りまく花嫁の姿を、どこかの町のちいさな教会で見かけたとき、とてもうらやましそうな顔をしていた事を思い出す。

    ああ、確か、そのときは
    まだ
    彼女に
    愛していると
    伝えていなかったかもしれない


    そんな感傷はライスシャワーのつぶてにかき消される。
    となりで幸せそうに微笑む彼女は、そのときの花嫁の何十倍もきれいだと、心の中でつぶやく。

    なぜもっと早くに彼女にこんな表情をもたらせてやれなかったんだろう。
    どうして、一度手を離したりしたんだろう。
    なぜ、彼女が居ない日常を送ろうとしたんだろう。
    すべては俺のふがいなさだ。
    彼女の涙にはどうしていいかわからない。
    彼女の微笑みにはどうしていいかわからない。
    彼女が苦しむ姿は見て居られない。
    この手から離れて行くのを、力強く飛び立とうとする翼を、ともに持つことに、どうして躊躇したんだろう。

    いや。

    あの日々がなければ、きっと。
    俺は。
    ここに立つことすら許されなかったのかもしれない。




    −うばいとったんだから、生涯離すんじゃないわよ−
    当たり前だ
    −幸せにしてやってくださいよ−
    そのつもりさ
    −まったく。もっと早く踏ん切りつけりゃいいのにさ−
    わるかったな

    いつのまにか隣から離れ、談笑の渦に巻き込まれていた俺の花嫁がそっと俺の横に帰ってきた。
    きゅっと俺の手を握り締めた。
    隣に居る俺にしか聞こえないくらいのちいさな声で。

    ありがとう

    そうつぶやいた。


    ありがとう、そんな台詞は俺がアルフィンにいわなくちゃいけない。
    ありがとう、こんな俺を選んでくれて。
    なんだかんだともてはやされていたけれど、なんてこったない。
    自分の気持ちを表現することすら知らなかった大馬鹿者だったのさ。
    両手に持ちきれないくらいの色々な感情を、どうやって吐き出せばいいのかなんてことすら知らなかったのさ。
    彼女を手離すまで。



    何年の月日を無駄に過ごしてきたんだろう。
    幾千粒の涙を流させてしまったんだろう。

    でも、今流す、きらきらと零れ落ちる雫は、あのころのような哀しみのものではないんだろ?








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■721 / inTopicNo.3)   ちいさなウエディングベル
□投稿者/ 柊里音 -(2004/05/21(Fri) 01:59:53)
    人ごみの喧騒から逃れるように、控え室に逃げ込んだ。
    長椅子にそっと腰を下ろす。
    ふわり。ベールが風にそよいだ。

    まだ、外からはみんなの話す声が聞こえてくる。
    木漏れ日のなかのパーティは、幼い頃に読んだ、絵本の中にでてきた村の娘の結婚式のように、和気藹々と進んで行くものなんだろう。
    きっと、今の私たちとは違って。
    でも、幸せの分量を計りにかけられないくらい持ち合わせているのは。
    一緒よね。



    あまりにも、幸せすぎて息が詰まりそうだ。
    こんなにも心が痛いほどの幸せな気持ちになれるなんて。
    あのころの思い出だけで、よかった。
    そう思っていた。
    まだまだ子供すぎて、自分の幸せを求める事が精一杯だったから。
    責任と、重圧と、夢を追い求める心と。
    彼も、私も、守って、守られて、追って、走りぬいて、精一杯だった。
    いろんなこと、あったね。




    いきなり、一番会いたくて、会いたくなかった人が目の前に現れた。
    もう、それだけで、すべてが色づき始めた。
    ああ、そうか。彼を見失ってから、無彩色な景色を見ていたんだ、そんなことをぼんやりと考えた。
    着ていたドレスそのままに、彼に連れられて来たところで有彩色な景色が真っ白になった。
    神の前で、くちづけをかわした時、彼の表情がやけに緊張していて、おかしくて、やっと状況が飲み込めた。

    ライスシャワーを浴びながら、彼がだんだん憮然とした表情になってきた。

    −うばいとったんだから、生涯離すんじゃないわよ−
    大丈夫よ。もう私からは離れる気はないから。
    −幸せにしてやってくださいよ−
    そうね。みんなで幸せをかさねていこう。
    −まったく。もっと早く踏ん切りつけりゃいいのにさ−
    ・・・ありがとう。その通りだけど、無駄じゃなかったのよ。きっとね。

    いつのまにか、隣にいたはずのジョウは、人波にもまれて少し離れていた。
    さびしくなって近寄った。
    なんだか嬉しいんだか、困ってるんだか、わからないような表情をしている。
    彼と手をつなぐ。
    くすぐったくて、嬉しくて、また涙が出そうになる。

    ありがとう


    この手を離れて、このぬくもりを手放して、生きて行けるなんて思ったのは、どうしてだろう。
    こんなにも私は愛されていたのに。
    そう、離れた時間は無駄じゃなかった。
    今はそういえる。
    だから見えなかったものも見えた。知らなかった思いも。
    たくさん回り道したけれど、全部それは私たちの思い出としてよみがえってくる。

    すべり落ちる涙は、まるで今までの私のちいさな過ちすべてを消し去ってくれるようだった。


    だんだんと、人の波が多くなってきた。
    そりゃそうか。テレビの中継のまん前で、大昔のリバイバル映画みたいな事をやっちゃったんだもんね。
    「こっちへ」そういって、誰かに手を引かれてその場を離れた。
    ごめん。
    わけがわからずに引っ張っていかれて、よくみたらミミーあなただったのよね。

    「とてもきれい」
    そういってくれたあなたは、少し前に私の前で、どうして!?って怒っていたのよね。
    キラキラと輝く瞳を驚きに変えて、私の事、責めてたよね。
    ありがとう。
    さっきも言いそびれてしまって、ごめんなさい。
    あの時、一緒に泣いてくれて、ありがとう。
    今日、一緒に来てくれて、ありがとう。




    ・・・・そうだ。こんなちいさな教会で、花嫁さんを見かけた事があったな。なんて、考えていたら、
    いつの間にか眠ってしまっていた。









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■722 / inTopicNo.4)  ちいさなウエディングベル
□投稿者/ 柊里音 -(2004/05/21(Fri) 02:02:06)
    機転をきかせたミミーのおかげで消えた花嫁は、人の眼にさらされずにすんだ。
    われながら、よくもまあ、やってしまったと思う。
    用意周到さは、父親に似たんだろうが、たまにかいま見る無謀な血は母親ゆずりなのか?
    そうしたら、俺とアルフィンの子供はどうしようもない無謀な血を受け継ぐんじゃなかろうか、などと、馬鹿な事を考え、よくよく考えて一人赤面しながら花嫁を迎えに行く。
    あとは、明日、どんなお小言も、どんな罵詈雑言も甘んじて受ける心境を抱くことに切り替え、ドアを開け中を見回した。
    部屋の片隅に置かれた年代物の長椅子で、猫のようにしなやかな肢体を預け、肘掛けに腕を置いて顔を隠すように眠る彼女を見つけた。

    きっと今日のこの日は数年前からのアルフィンの中では夢に描いていたんだろう。
    幾度となく、頭のなかでリフレインしては頼りない俺にため息をつき、それでもつきあってきてくれていたんだろう。
    もう見果てぬ夢だと、お互いが手放した事、それは彼女のせいじゃない。
    そうして、それを後悔する事も俺も彼女もこれから先もしないだろう。
    きっとそれは俺たちにとっては必要なことだったのだろうから。
    特に、煮え切らない、俺には。

    自嘲気味に苦笑いをすると、彼女の漏れる吐息でわれに返る。
    あまりにも急速な展開についていけなくなって疲れたか?
    そりゃそうだろうな。

    転がり落ちたティアラを拾い上げ、乱れた金髪を少し整える。
    ふいにひとつ、気に入らない事がある事を思い出した。
    このドレスはほかの男に見せるために彼女が選んだのだろう。
    そいつはこの姿をみたのだろうか。
    眼を覚ましたら、アルフィンに聞いてみよう。

    みなが待つ、「我が家」へ帰る為。
    彼女が望む果てしなく目くるめく冒険の日々を再び手に入れる為。


    眠る彼女をそっと抱き上げ、薄く閉じた唇に約束のくちずけを再び落とした。







fin.
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■723 / inTopicNo.5)  ちいさなウエディングベル
□投稿者/ 柊里音 -(2004/05/21(Fri) 02:04:52)
    ひさびさにやってしまいました。
    なーんかあの絵をみてたら、ちょちょっと書きたくなったの・・・。
    っていうか、うーん2時間かからずのブツです。ごめんね、勝手に脚色してしまいました。
    でもね、なんか書いたら、だしたくなったの。
    でへへ。


    明日も早いので、さっさと退散します(^_^;)

    んじゃv
fin.
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