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■96 / inTopicNo.1)  The Night is Young
  
□投稿者/ ぴぃすけ -(2002/06/05(Wed) 23:44:33)
http://www5d.biglobe.ne.jp/~precious
    うららかな夕刻であった。

    アルフィンは大きく伸びをしながら、新鮮な空気を思いっきり吸い込んだ。
    仄かに漂ってくる潮の香りに、自然と顔がほころぶ。

    「う〜ん、こうしていると平和を実感するわ〜!ねっ、ジョウ?」

    だが、答えはない。
    振り向くと、ジョウはテラスにしつらえられたハンモックに心地よさげに揺られながら、静かに寝息を立てていた。

    「・・・ねぇ、ジョウってばぁ・・・」

    アルフィンは拗ねて、頬をふくらませた。

    クラッシャージョウチームは、今日から3ヶ月ぶりの休暇を楽しむことになっていた。
    しかし、先の仕事の関係で、ミネルバに急遽整備の必要が生じてしまった。ドックに入れるにしても、誰かが残って作業を見届けなければならない。
    一方で、今回は久方ぶりの休みということもあり、ジョウ達は郊外の高級海洋リゾート地のコテージをリザーブしていた。観光シーズン真っ只中ということで、予約を取るのは大変だった。もし万が一予定通りに到着しなければ、折角の苦労が水の泡になってしまう。

    かくして。
    “紳士的”(注:“淑女的”ではない)な話し合いの結果、タロスとリッキーが残り、ジョウとアルフィンが一足早くコテージに赴くことになった。

    しかし、本日未明まで数時間も続いた交渉に、ジョウの気力はごっそり奪われていたらしく、コテージに到着早々、ジョウはハンモックを見つけると嬉々として横になってしまったのだ。

    ジョウに思い切り甘えようっと。

    というアルフィンの淡い期待は、こうして脆くもつまづいたのであった。

    とはいえ、折角「二人」でいるのに、諦めて一人で街に買い物に行くのはつまらないので、暫くはニュースを見るなどして大人しくジョウの目覚めを待っていたアルフィンであったが、そろそろ我慢の限界が来ようとしていた。

    何しろ、ジョウが起きてくる気配が一向に無いのだ。

    アルフィンだって同じ時間しか睡眠を取っていないが、この程度であれば余裕で凌げる。
    ましてやジョウは超一流クラッシャー。
    幾ら休暇モードとはいえ、この程度でへばってしまう男ではない。
    そこまで疲れているとは思えない。

    そこでアルフィンはジョウの眠るハンモックに近づき、一所懸命明るい声で話しかけてみているのだが、ジョウの反応はなんとも薄いものであった。
    こうなると、なんだかジョウに意図的に無視されているようで、アルフィンは悲しくなってくる。

    「…バカ。ジョウなんて大嫌いなんだから…」

    すると、意外にも、今度はささやかながらも寝ているジョウから反応があった。

    「何、ごちゃごちゃ言ってるんだ?昼寝もいいもんだぜ?」
    「やだ。つまんない。それにもう夕方でしょ!」
    「…アルフィンだって寝不足だろ?」
    「そりゃ多少は眠い…けど、でも。」
    「だったらアルフィンも昼寝すればいい」
    「きゃんっ」

    ハンモックからジョウの腕が伸びたかと思うと、アルフィンを急に自分の方へ引き寄せた。アルフィンは蹈鞴を踏み、勢いで倒れこむ。
    ハンモックが大きく揺れた。

    「・・・・・・え?」

    アルフィンの心臓が跳ね上がった。

    ジョウは寝ぼけているのか、目を瞑ったままだ。
    おそらく、さして深くはこの状況を捉えていない。
    だが、アルフィンにはしっかり意識がある。

    …冷静に分析してみれば。
    自分は今、ジョウの寝るハンモックに、彼に引きずりこまれた。
    まるで腕枕をされるような形で、彼に寄り添い、身体を横たえている。
    クラッシュジャケットではない私服のせいで、衣越しにジョウの温もりすら伝わってくる。

    (う・・・そ。これって)

    体温が、急上昇した。
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■97 / inTopicNo.2)  Re[1]: The Night is Young
□投稿者/ ぴぃすけ -(2002/06/06(Thu) 20:54:00)
http://www5d.biglobe.ne.jp/~precious
    「あっ、あの…ジョウ?」

    アルフィンは焦った。
    身をよじり、取り敢えず、ジョウから離れようとする。

    が。
    何故か、眠っているはずのジョウの腕は、アルフィンを放そうとしない。

    「……?」

    訝し気に、アルフィンは眉をひそめた。
    何か、どこか、不自然だ。
    ……まさか。

    「ジョウ、あなた、本当は起きているんじゃない!?そうなんでしょ?」

    …暫しの、沈黙。
    そして。

    「……バレた?」

    悪戯っ子のような微笑を浮かべながら、ジョウは目を開いた。
    気のせいか、頬が少し赤い。
    その割に、アンバーの瞳は、常に無い強い力を秘めているようで。

    「…ジョウ?」
    「一応は起きているけれど、眠いのは本当だぜ。というより、あの話合いの後から、実は一睡も出来ていないんだ」
    「え?一睡も出来ていないって…どこか具合が悪いの?…そういえば、少し熱っぽいような」

    慌ててアルフィンが身体を起こそうとした。
    だが、ジョウに巧妙にブロックされた。
    動きが取れない。

    「ジョウ、ほら、熱をはかってみないと。ね、私メディカルケース取ってくるから。」

    駄々っ子をなだめるような口調は、いつものジョウと立場が逆転したかのようだ。

    「いらない」
    「でも」
    「熱なら、こうやって計ればいい」

    ジョウの手が、アルフィンの後頭部に伸びた。
    アルフィンの目が大きく見開かれる。
    ジョウは、手に力を込めた。
    アルフィンの額が、ジョウの額と優しく触れ合う。

    「……ほら、そんなに熱はないだろう?」
    「……バカっ!やっぱりジョウのバカっ!何をするのよ、急にっ」

    アルフィンは泣きそうだった。
    こんな展開は予想外だ。
    アルフィンは常にないジョウの態度に、精神が混乱の境地に陥ってしまった。
    嬉しい、というより、とにかくこの状況についていけない、そんな感じだ。

    「…ん?謝るよ、もし気を悪くしたのなら」
    「そうじゃなくって!!」
    「じゃぁ、一体どうしたっていうんだ?」

    そう面倒くさそうに言いながらも、ジョウはアルフィンの金髪を弄び始めた。

    指に絡め、解き、撫で…その仕草はたまらなく、気だるくて。
    ぞくぞくするほどの色気を醸し出していて。

    「……どうして?」
    「ん?」
    「どうして、今日に限って、こんなことするのよ?いつもだったら、私のことうるさがるクセに…」
    「何だよ、それ」
    「何だよ、じゃないでしょ」

    アルフィンは怒っていた。
    余りにも“らしくなさすぎる態度”に、ジョウを上目遣いに睨んだ。

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■109 / inTopicNo.3)  Re[2]: The Night is Young
□投稿者/ ぴぃすけ -(2002/06/07(Fri) 22:55:58)
http://www5d.biglobe.ne.jp/~precious
    (あら…?)

    ふと、気づいた。

    違和感。


    ジョウの表情は、いつもと微妙ではあるが、確かに異なっている。
    どこか酩酊状態に陥ったような・・・そんな気だるさがある。

    「…ねぇ、ジョウ、あなた、もしかして妙なものを食べたり飲んだりしなかった?」

    極めて原始的な質問を、アルフィンはぶつけてみた。

    「ん?」
    「ミネルバで。ここに来る前に、何かいつもと違うもの、口に入れなかった?」
    「…んー」

    ジョウは暫し、考えた。
    考えた末に、にこりと微笑んだ。
    …やっぱり、変だ。いつものジョウは、こんな態度を取らない。
    無邪気で可愛らしい少年のような仕草は、思わず抱きしめたくなるほどであるが、ジョウらしくは、ない。
    断じて。

    「そういえば、タロスとリッキーが、俺がなかなか眠れないというのを知って、それはきっと疲れのせいだろう、試しに飲んでみれば、と栄養ドリンクをくれた…な」
    「…もしかして、それって、ピンクの瓶のドリンクじゃ…」
    「ああ。思い出した。この前の仕事の終わりに、依頼主のロビンソンさんが報酬と一緒におみやげだ、とくれた、あれだ」
    「ジョウ…あれを飲んじゃったの!?…タダの栄養ドリンクじゃないのに!?」

    アルフィンは思わず悲鳴をあげた。
    思いもがけぬ悪夢に、目の奥がくらくらとする。

    タロスとリッキーがジョウに渡したロビンソンからの贈り物とは、確かに栄養ドリンクの部類には属しているが、“若干“、いや、かなり特殊なものであった。
    液体の色の怪しさと、彼らに瓶をくれた時のロビンソンの意味ありげな微笑みに、嫌な予感がしたアルフィンは、こっそりとそのドリンクの正体をデータベースで調べておいたのだ。

    そして、わかったことといえば。
    ロビンソンの経営するアキレス製薬から発売されていたそのドリンクは、その成分の組み合わせが思わぬ「効果」と「副作用」を生み、人体に強い影響を及ぼしかねないという理由で最近製造禁止となったものであること。

    「タダの栄養ドリンクじゃないってどういうことだ?」
    「えっと、それは、その…」

    まさか、言えるはずがなかった。
    こんな状態で。

    (一時的とはいえ、強い媚薬効果が出る…だなんてっ)

    理由は、とてもアルフィンの口からチームの男性3人衆に伝えられるものではなく、だからこそ考えた末に、彼女は貰った瓶をケースごと倉庫に移しておいたのだ。

    だが、アルフィンは知らなかった。

    自分専用のオイルと勘違いしたドンゴが、倉庫の整理をした際に、数本をこっそり台所に運びこんでいたのだ。
    そしてそのドリンクを見つけたタロスとリッキーが、ジョウに親切のつもりで渡してしまったことを…。

    「ま、どうでもいいけど」
    「きゃっ」

    ジョウは、アルフィンの白いうなじに指を這わせる。
    唇も、そっと首筋に近づいてきて…


    …ああっ、一体、どうすればいいの?

    アルフィンは泣きそうになりながら、ジョウの腕の中で身をよじった。

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■110 / inTopicNo.4)  Re[3]: The Night is Young
□投稿者/ ぴぃすけ -(2002/06/08(Sat) 21:41:58)
http://www5d.biglobe.ne.jp/~precious
    「……う」

    不意に、ジョウが呻いた。
    その声に、アルフィンは我に返る。

    そういえば。
    データベースにはこのドリンクの副作用についての注意書きがあった。
    飲んだ数時間後に気分が悪くなったり、激しい頭痛が生じる等の症状が出る場合がある、場合によっては、呼吸困難を起こすことも有り得る、と。
    持続性はないが、その分ショックが強烈、と。

    一刻前までのジョウの態度…彼の通常の、強すぎるほどの自制心と精神力をもってしても抗えない…のを見れば、あのドリンクの効果は予想を遥かに超えたレベルなのであろう。となれば、当然副作用の危険性もその分考えなければならないわけで…。

    「どうしたの?どこか苦しい?」
    「いや…大したことはない…でもちょっと…気持ち…悪く…なってきた…かな…」
    「え?」

    ジョウは、眉根を寄せた。
    そして突然アルフィンにくるりと背を向けると、身体を丸めた。

    「……っく」
    「ジョウ、ジョウ、大丈夫?」
    「う???」

    ジョウは苦しそうな声をだすと、身体をぴくぴくと痙攣させた。
    アルフィンの顔色が変わる。
    幾ら何でも、これはちょっと影響が大きすぎるのではないだろうか。

    「ジョウっ!しっかりしてっ!」

    小さく悲鳴を上げ、アルフィンはジョウの背中に縋りつく。
    ジョウは2,3度大きく喘いだかと思うと、びくん、と身体を大きく揺らした。

    「……ジョウ?」

    アルフィンは、ジョウの様子を確かめようと、身体を起こした。
    その弾みで、ハンモックが大きくしなる。

    「きゃっ」

    バランスを崩した。
    ジョウの顔を覗こうとしていたアルフィンの上半身は、彼の上に着地した。

    視線が、はた、と合う。

    「…えっ、アルフィンっ??」

    ジョウの声が上ずった。
    いつもの彼の声だ。おそらく副作用が止まったのであろう。
    だが、アルフィンはほっとするわけにはいかなかった。

    副作用が消えたということは、ドリンクの効果も消えたということ。

    今この状態でジョウが普通の状態に戻れば、彼はきっと誤解するに違いない。
    ”俺はアルフィンに襲われそうになった”、と。

    アルフィンの背中に、嫌な汗が流れた。
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■111 / inTopicNo.5)  Re[4]: The Night is Young
□投稿者/ ぴぃすけ -(2002/06/09(Sun) 09:57:07)
http://www5d.biglobe.ne.jp/~precious
    「なななアルフィン、どうして、俺と同じハンモックにっ!!」
    「……やっぱり……」

    顔を真っ赤にして焦りまくるジョウに、アルフィンは脱力するしかなかった。
    まったくもって最低なドリンクである。

    (ちゃんと説明しないと、ジョウには、私がむりやりここに入りこんできた、みたいに思われるわね…)

    誤解のベクトルの開きに眩暈をおぼえながら、アルフィンは恨めしそうに口を開いた。

    「…すべて、あの栄養ドリンクのせいよ。その…えっと…あれは…強力な…媚薬成分を含んでたの!」
    「へ!?アルフィン、今、何て…」
    「もうっ、恥ずかしいから何度も言わせないでよっ!」
    「おっ、俺まさか君に何か…」

    (何か、ですって!? あんなにヒトを困惑させておいて”何か”ですってぇ!?)

    怒りと悔しさでアルフィンはキンキン声を尖らせた。

    「…だいたいねぇ、得体の知れないものを良く調べずに、平気で渡したり飲んだりする貴方達の気がしれないわよっ!ロビンソンさんが見るからに“カタギの紳士”じゃないってことぐらい、わかっていたはずでしょう?なのに…!何が超一流のクラッシャーチームよっ!その警戒心の無さは一体何なのっ?」
    「いっ、いや、さ、それは飛躍しすぎだよ、アルフィン」

    あまりのアルフィンの剣幕に若干気圧されながら、ジョウはもごもごと言い訳した。

    アルフィンはヒューズが飛んでしまったのか気づいていないが、未だに彼らは同じハンモックの上で至近距離を保っている。アルフィンが怒れば、ハンモックは揺れ、彼女の身体がジョウにわずかにぶつかってくる。その度にジョウは心臓が飛び出そうになるのを抑えなければならず、口調も歯切れが悪い。

    「出発間際に…さ。俺がすごく眠たそうにしていたから、タロスとリッキーが心配してくれたんだ。これからコテージまでハイウェイを運転するんだし、危ないって。それで、栄養ドリンクって大概目覚まし効果があるから、この前貰った瓶を1本飲んでいったら、と勧めてくれたんだ」
    「……だからって!栄養ドリンクと目覚ましは違うでしょ…」

    アルフィンはガックリと肩を落とした。
    しかし、ふと、ジョウの言葉に引っかかるものを感じ、再び口を開く。

    「…ねえ、ジョウ?」
    「ん?」
    「あの…本当に具合悪いんじゃないの?あなた、寝つき良い方でしょう?もし良く眠れなかったのであれば、それって、身体のどこかが悪いってことじゃないの?さっき熱もあったようだし…大丈夫なの?」

    蒼い瞳が、心配そうに瞬いた。
    そんな風に顔を見上げられたジョウは、う、と詰まった。

    絶句し、暫し、言葉を捜した。
    迷う。
    言うべき、か、否か。

    そして。
    たっぷり、充分過ぎるほど躊躇った後に、漸く言葉を発した。

    「だって…さ。今日から数日間…アルフィンとこんな所に二人っきり、なんだぜ?俺…その…どうしたらいいか…緊張…して…」
    「…なっ」

    その言葉に、今度はアルフィンが真っ赤になる。
    別にジョウに他意はなかったのであろうが。
    さっきの彼の行動がちらりと脳裏をよぎり、“どうしたらいいか”の部分に過剰反応せずには居られなくなってしまう。

    「…バカ」
    「…どうせ、バカですよ」

    ジョウにしてみれば、必死ともいえる真実の告白だった。
    だが、アルフィンにあっさりと一言で片付けられ、ジョウは、拗ねた。
    真っ赤になりながらそっぽを向き、無言で何事かを考えているかのように、宙に視線をさまよわせた。

    その表情が余りに子供っぽくて。
    アルフィンは思わず小さく声をあげて笑った。

    (やっぱりジョウは、こうじゃなくちゃね。でも…、ちょっぴり惜しいコトしちゃったかな…だって、もし、ジョウがあのままだったら…)

    頬を僅かに紅く染めながら、自分の想像を振り払うようにかぶりを振ったアルフィンの耳元で。

    ジョウがそっと囁いた。

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■112 / inTopicNo.6)  Re[5]: The Night is Young
□投稿者/ ぴぃすけ -(2002/06/09(Sun) 13:16:43)
http://www5d.biglobe.ne.jp/~precious
    「…アルフィン」
    「え?」

    唇に。
    暖かくて柔らかい、感触。

    …!!…

    アルフィンの瞳が大きく、見開かれる。

    「……お仕置き。俺のコト、笑ったから。」

    ジョウが、目をそらしながら、ボソっと呟いた。
    だが、衣服越しに聞こえてくる心臓の音は、彼の真意を告げている。

    精一杯のジョウの勇気。
    それが胸にズン、と響いてきて、アルフィンは心が震えるほど感動して。
    そして。

    「…お仕置き返し。」

    アルフィンは、ジョウの頬に両手を当てると自分の方を向かせ、今度は自分からそうっと唇を重ねた。

    「アルフィン…」
    「……ジョウ」

    もう一度ゆっくり二人の顔が近づいて…だが、寸前で、アルフィンはジョウの唇に人差し指を当てて、ストップをかけた。
    彼を見つめる表情は、いつもより真剣であった。

    「私…まだ聞いてないわよ。」
    「え?」
    「さっきのアレの意味。お仕置き…だけ?ドリンクの効果がまだ残っているとか?それとも他に何かあるのかしら?」
    「…っ」

    アルフィンは小悪魔のような微笑を浮かべながら、愛らしく小首を傾けた。

    確信犯、だ。

    これでは、さすがのジョウもたまらない。

    暫く視線を泳がせていたが、やがて、諦めたように、そして、意を決したように、吐息と共に彼は告げる。

    「アルフィン…俺、は…」

    低い声を掠れさせながら、それでも。

    “君が好き…だ”

    アルフィンの瑠璃色の瞳がみるみる潤む。
    そして長い睫毛を揺らしながら、真珠のような涙が、一筋頬を流れ落ちた。

    ためらいながらも、ジョウはそっと指を伸ばし、それを優しく拭ってやる。

    「好きだ、アルフィン。君のことが。」

    アルフィンが呼吸できなくなりそうなほど、強く強くだきしめてから。

    ジョウは彼女に、深く甘やかなキスをした。
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■113 / inTopicNo.7)  Re[6]: The Night is Young
□投稿者/ ぴぃすけ -(2002/06/09(Sun) 13:21:57)
http://www5d.biglobe.ne.jp/~precious
    皆様、おつきあいいただきありがとうございましたv
    この作品のタイトルは、エルヴィス・プレスリーやビング・クロスビーが歌ったのでご存知の方も多いかと思われる「Blue Hawaii」です。
    著作権などで引っかかるとマズイと思って入れられなかったのですが、歌詞を一度ご覧いただくと、この作品にも幅がでるかなあ、なんて思います。

    http://www.duchessathome.com/music/bluehawaii.html

    ここで歌詞とMIDI聴くことができます。(これってマズイのかな?)
    よろしかったらどうぞv
fin.
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