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■1038 / inTopicNo.1)  西☆遊記
  
□投稿者/ りんご -(2006/05/02(Tue) 12:28:09)
    これは、まだ、空に龍が飛んでいた頃のお話。
    一人の美しい尼僧が、人々に幸福をもたらすと云われる、ありがたーい、お経を取りに長安の都を旅立ちました。
    尼僧の名は、アルフィン法師。
    お供を務めますのは、暴れ猿のジョウ悟空(ジョウ・ゴクウ)、うらなり胡瓜の化身、あっ!間違い!河童の妖怪、沙リッキー(サー・リッキー)。
    そして、大ゴリラの猪タロス(チョ・タロス)。
    目指すは、遥か西の彼方、天竺、大雷音寺。

    さてさて、今回四人が訪れるのは、どんな国なのでしょう・・・・

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■1039 / inTopicNo.2)  Re[1]: 西☆遊記
□投稿者/ りんご -(2006/05/02(Tue) 12:29:31)
    「おい、リッキー。気を抜くな!さっさと片付けて、お師匠さんの所に行くぞ!」
    タロスが大声で、リッキーに叫んだ。
    「わかってるよ!でも、こいつら、しつこくって!」
    リッキーは、目の前の下っ端妖怪を蹴散らしながら、答えた。

    ここは牛魔王が支配する、火炎国。
    徳の高い僧を食べれば、寿命が三百年は延びると、アルフィン法師がさらわれた。
    アルフィン法師を救うべく、牛魔王の館に飛び込んだ、タロスにリッキー。
    だが、いくらやっつけても、ありの様に湧いて出る牛魔王の手下のせいで、なかなかアルフィン法師の元に、たどり着けない。

    「ジョウは、なにしてんだ!」
    怒気を帯びた声で、タロスが言った。
    「兄貴は、破門されたじゃないか・・・」
    「あ・・・またか」タロスの目が点になった。
    「そうだよ。もう、これで五回目だよ!」
    リッキーが口を尖らせた。

    普段、お師匠さんとジョウは、仲がいい。いや、良すぎるくらいだ。
    でも、女が絡むと、お師匠さんが癇癪を起こす。
    昨日もそうだった。
    町はずれの古ぼけた寺に、お師匠さんを隠し、おいら達は、火炎国の様子を調べていた。
    「ねえ、素敵なお兄さん。あたしの家で、お茶でもいかが?」
    なんだか、なまめかしい女が、ジョウを呼び止めた。
    ウーラって言う、牛魔王の館で働く女だった。
    牛魔王が、お師匠さんを狙っていたのは知っていたから、内部情報を聞きだそうと、ジョウはウーラの誘いに乗った。

    しかし、これがお師匠さんの逆鱗に触れた。
    さらに、間の悪いことに、ウーラの家から、戻ってきたジョウのほっぺに、赤い口紅の痕がついていたんだ。
    「ジョウ、なんなのそれ!」
    お師匠さんが、きれいな柳眉を吊り上げて、叫んだ。
    「ご、誤解だよ。なんにも、してない。ただ、お茶を飲んだだけだよ」
    「じゃあ、なんで、口紅がついてるのよ!」
    「こ・・これは、ウーラがつまずいたんで、抱きとめた時についたんだ」
    「抱きとめた?・・・」
    しまった!自分の失言に、ジョウが青くなった。

    お師匠さんの、肩がぶるぶる震えた。
    「そんな、不埒な事をするジョウなんて嫌い!いえ、仏様がお許しになりません。ジョウ、あなたを破門します!」
    ここで、兄貴も詫びのひとつ、もしくは、お師匠さんのご機嫌でもとればいいのに、それが出来ない。
    「破門だぁ?俺は、もう“ナマカ(チームメイト)”じゃないってのか!」
    「・・・そうです」
    くるっ。兄貴は向きを変えると、胸元から、一枚の羽を取り出した。
    「いでよ、金斗雲」
    そう言って、羽を投げると、あら不思議。ただの羽が、あっという間に、金色の雲に変化した。
    兄貴は、そいつに、飛び乗った。
    そして、別れの挨拶もせず、物凄いスピードで、飛び去っていく。

    兄貴が、見えなくなると、お師匠さんが、わっと泣き出した。
    おいらと、タロスは、またか・・・と、げんなりした。
    なんてったって、このあと、お師匠さんを慰めるのは、おいら達の仕事なんだから。
    そんな事を思い出してたら・・・ひゅっ!敵の刀が、おいらの頬を掠めた。
    あっぶっねー。真剣に、やらなくちゃ!

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■1040 / inTopicNo.3)  Re[2]: 西☆遊記
□投稿者/ りんご -(2006/05/02(Tue) 12:30:39)
    場所は変わって、ここは牛魔王の館の地下。
    ごつごつした岩肌が剥き出した部屋の真ん中に、大きな穴が開いている。
    その穴の下は、ぐつぐつと溶岩が流れていた。
    そして、牛魔王は、その穴の中へ、アルフィン法師を投げ入れようとしている。
    「ぐわははは、法師をこの火で焼いて、唐揚げにしてやるかぁ」
    出来上がりを想像して、牛魔王の口からは、涎が垂れている。
    「離しなさい!」
    アルフィン法師は、何とか逃れようとするが、なにせ相手は妖怪。体は熊のように大きい。

    まさに、法師が投げ込まれようとした時、タロスとリッキーが飛び込んできた。
    「やめろー、牛魔王。お師匠さんを放せぇーー!!」
    タロスが吼えた。
    タロスの両親は、猪の妖怪なのだが、なぜかタロスだけ、大ゴリラで生まれてきてしまった。
    だから、タロスの咆哮は、物凄い!耳を塞がないと、鼓膜が破れそうになる。
    案の定、牛魔王も耳を塞ぐため、お師匠さんから手を離した。
    すかさず、リッキーがアルフィン法師を奪取した。
    「へへん。どんなもんだい!」
    リッキーが得意そうに言った。

    「皆のもの、出てまいれ」
    牛魔王が、そう言うと、ばらばらっと手下どもが現れた。
    「ちっ!」タロスが舌打ちした。
    人数にして、ざっと30人。明らかに、こっちの分が悪い。
    「法師を差し出せば、お前達の命は助けてやらんこともないぞ」
    顎に手をあて、牛魔王が、タロスとリッキーに向かって言った。
    「そんなことするもんか!」
    鼻息も荒く、リッキーが答えた。

    「かかれー」
    牛魔王の号令で、手下が一斉に飛びかかってきた。
    万事急須!
    アルフィン法師を庇ったリッキーは、目を閉じた。
    「?」
    急に静かになった。目を開けて、びっくり。手下達が、体をぴくぴくさせて、地面に転がってる。
    「ジョウ!」
    アルフィン法師が叫んだ。
    そう、三人の前に、如意棒を構えた、ジョウ吾空が立っていたのだ。

    「なんだお前は?」胡散臭そうに、牛魔王がジョウ吾空をみた。
    「俺は、アルフィン法師の弟子、斉天大聖ジョウ悟空だ!」
    ジョウが啖呵を切った。
    「お前、妖怪のくせに、人間の弟子だと?しかも、こいつは女だ。なーんの力も無いちっぽけな生き物だぞ。わかってるのか?」
    馬鹿にしたように、牛魔王が言った。
    「ああそうだ。お師匠さんは人間だ。しかも、非力な女だ。妖怪が襲ってくりゃ、ひとたまりもねえ。だがな・・・お師匠さんは、すげえ物を持ってる」
    「なんだ、それは?」
    「心だ」
    「こころぉ?」
    「そうだ。お師匠さんは、俺に教えてくれた。一人よりも、二人でいるほうが心が強くなれるってことを。守る者が出来たとき、俺の心はでっかい岩になる。
    何が来たって負けない、でっかい岩だ。一人でいたときには、わからなかった・・・でも、それを、お師匠さんは教えてくれた」

    「何を言ってるのか、さっぱりわからん」牛魔王が首をひねった。
    「お前には解らんさ。守るべき、大切な人が出来た喜びは・・・さあ、選べ!天国に行きてえか、地獄に行きてえか!」
    ジョウ悟空が如意棒を構えた。
    牛魔王が、棍棒を掴んだ。なんだか、とげとげした突起がついている。
    「うりゃあ!」大きな掛け声と共に、牛魔王が突進してきた。
    ぱっと、ジョウ悟空が地面を蹴った。
    高く飛びあがって、如意棒を牛魔王の頭に叩きつけた。
    「う・・う」
    ジョウ悟空の一撃を受け、牛魔王が倒れた。
    「やったぜ、兄貴!」
    リッキーが、指をぱちんと鳴らした。


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■1041 / inTopicNo.4)  Re[3]: 西☆遊記
□投稿者/ りんご -(2006/05/05(Fri) 18:55:39)
    こうして牛魔王を倒したアルフィン法師とジョウ悟空は、火炎国のはずれ、砂漠へとやってきた。
    空が、うっすら明るくなってきた。
    「ジョウ、ありがとう」
    アルフィンが、うっとりとジョウの目を見つめた。
    「・・・アルフィンが無事で良かった」」
    早口で、そう言うと、恥ずかしいのか、ジョウは明後日の方に目をやる。
    その姿をみて、アルフィンは思った。
    ジョウと一緒なら、あたしは大丈夫。この先どんな困難が待ちうけようと、つらい旅が待っていようとも・・・
    そう・・・例え宇宙に飛び出したとしても、ジョウと二人でなら乗り越えられる!
    アルフィンは、ジョウの腕を取ると、ピタリと寄り添った。
    ジョウは照れて真っ赤だ。そして、二人はゆっくり西に向かって歩き出す。
    そう、旅はまだ始まったばかり。この先、二人を待ち受けるのは・・・

    「ちょっとー。おいら達を置いていかないでよ!」
    背後から、リッキーの声がした。
    「タロス、早くしないとお師匠さん達がいっちゃうよぉ」
    リッキーの声は、なんだか情けない。
    「馬鹿、荷物が重いんだから、しかたねえだろー」
    タロスが、ふうふう息を吐きながら言った。
    そう、アルフィン法師の衣装ケースを山と積んだ荷車を、タロスがひっぱり、リッキーが押しているのだ。
    「まってよー、お師匠さーん」
    リッキーの声が、砂漠に響きわたった。


    これは、まだ、空に龍が飛んでいた頃のお話。
    さてさて、一行が次に訪れるのは、一体どんな国なのでしょう・・・


    つづく(かもしれない)


    **番組を見ていない方、すみません**


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