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■1236 / inTopicNo.1)  仕方ないでショ
  
□投稿者/ とむ -(2006/09/28(Thu) 11:38:55)
    なんだってんだ。

    一体どういう了見だ、あのヤロウ。

    俺を見るあの目つき。
    いや、ヤツがどんな風に俺を見ようがそれはヤツの勝手ではあるけれども。俺をどう思ってようが、それは別に俺の知ったことではないけれども。
    しかし一日中、まるで監視員さながらに俺の一挙手一投足をチェックするのは疲れないのか。
    だいたい、一日中見られているだけでも結構疲労するのだ。まるで、市場に並べられた魚の気持ち。品定めされるのは決して気分のいいもんじゃねえ。クラッシャー認定試験と資格更新の時だけで十分だ。

    そもそも、私情が入りまくっているヤツの指図なんて受けられるか。
    どんな財閥の御曹司でどれだけ膨大な報酬を支払うんだかは知らんが、俺に船の護衛を依頼してきたのはアンタだ。しっかり守って欲しいと言ってきたのもアンタだ。だから、俺は最良のスケジュール、最良のプランと人員配置を布いた。アンタの船の両サイドにファイター1とファイター2。そして殿(しんがり)にミネルバ。前方と両サイドはファイター2機が後方からの敵はミネルバで迎え撃つ。

    そう、アンタの言うとおりいつも通りだ。


    でも、コレがベスト。文句あるか。


    ファイター1には、俺とアルフィン。ファイター2にはリッキーとドンゴ。ミネルバにはタロスだ。


    仕方ないだろう。
    確かに俺のチームは、特A資格のチームだがはっきり言ってメンバーは寄せ集めだ。俺とタロスは別としても、リッキーは3年前まではローデスの元浮浪児、アルフィンに至っては元ピザンの王女でクラッシャーには成り立てときたもんだ。まあ、それでも3年はクラッシャーをやっているリッキーは何とかなるとして一番ミスを犯しやすいのはアルフィンだ。経験が浅いんだから仕方ない。だから、それをカバーする為に俺がサポートする。
    誰が聞いても納得することだ。

    −−−納得するだろ?

    ・・・というか、納得しろ。



    仕方ないんだよ。
    アルフィンだけアンタの船に乗せろなんていう依頼は却下だ。

    却下。

    まだ、一人で護衛を任せられる程の動きはできないんだよ、生憎と。
    まあ、これからどんどん場数を踏んで経験を積んで、自分でいろいろな状況判断が出来るようになったら考えるが、それはアンタの関知するところじゃない。
    それは俺が決める。
    俺のチームだ。俺のチームの航法士だ。


    それから。


    特に用もなくアルフィンを通信相手に指定するのも止めてもらいたい。こっちは通信一つにも多大な注意を払っている。無駄に長い通信をして、アンタの敵に俺たちの居所を知られたら、せっかくの段取りがパアだ。
    きちんと暗号用コードを使った極秘回線で用件だけを簡潔に伝えてもらいたい。
    俺たちは常にブリッジに勢ぞろいしているわけじゃないし、そこんところはしっかり認識してくれ。
    分かっているだろうが、それもこれもアンタを守る為だ。


    いくらアンタがアルフィンを気に入ってたとしても。


    いくら2人きりになりたいんだとしても。


    ナゼだか俺という存在がお邪魔虫なんだとしても。


    無事にこの星域を通過したいなら、俺の言うとおりにしろ。
    私情は挟むな。


    以上を、さっさと理解しろ。
引用投稿 削除キー/
■1237 / inTopicNo.2)  Re[1]: 仕方ないでショ
□投稿者/ とむ -(2006/09/28(Thu) 11:54:57)
    「ジョウ」
    操縦席に座っているタロスが声をかけてきた。さっきから面白そうに操縦席から横目でジョウの様子を伺っている。
    ジョウは極めて冷静にその声に反応する。
    「なんだ?」
    両腕を胸の前で組み、メインスクリーンを睨む。今のところレーダーにもスクリーンにも異常はない。<ミネルバ>は順調に、そして極めて安定した航行を続けている。
    「今のところ敵の姿は見えねえし予定通り小ワープのあと、プランどおりの陣容でいきますぜ?」
    「オッケイ」
    ジョウはタロスに一言答えた後、コンソールパネルにある格納庫へのインターコムをオンにした。
    「リッキー、アルフィン。あと10分後にワープに入るぞ。戻って来い」
    『あいよっ!』
    『了解!』
    軽快な二人の返事が返ってきた。
    もうじき、ブリッジ内にチーム全員が顔を揃える。それぞれのシートに腰を下ろしワープに備えた準備に入る。護衛をしているクライアントの船をワープトレイサーでしっかり確認しつつ後を追う。そしてワープ終了後、3チームに分かれてクライアントの護衛にまわる。

    そんなシュミレーションをしながら、ジョウは

    −−−−−ザマアミロ

    ボソッと口の中で呟く。



    「なんですって?」
    タロスは、その聞こえるか聞こえないかの呟きを聞き逃さなかった。
    ジョウは両手を頭の後ろで組み、大きく伸びをしながら
    「ん?別に?」
    と、唇の端を少し上げ笑う。
    「なんだか楽しそうですなあ、ジョウ」
    「そうか?フツーだぜ」
    何も気にしていないという素振りをするジョウの様子にタロスは笑いを噛み殺す。
    「あの依頼人、アルフィンのことをやけに気にしてますがねえ」
    何気なくメインスクリーンからジョウに視線を移しながら、タロスは操縦桿に右手を戻した。
    「まあな。でも仕方ないだろ。仕事は仕事だ。あんまり我侭を言われても、依頼人の安全が優先だからな。こっちの指示に従ってもらう」
    今度はしっかりタロスに顔を向けながら、ジョウは不敵な笑みを見せた。


    ニヤリ


    まさにそんな感じ。


    「ジョウ」
    「ん?」
    「さては確信犯ですな」
    「さあて、なんのことだか」



    だから仕事に私情は挟まないように、というオハナシ。
fin.
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