| 「アイスが食べたい。」 リッキーが言った。 もう。ほんと、子供みたいだわ。 あたしは思った。 けど、この暑さでは、その気持ちも分かるけど。 見上げる空は、雲ひとつない快晴。ほんと、すぐにでもプールか海に飛び込みたい気分。 「いいわ。どうせまだ時間はあるし。」 オープンカフェにリッキーを待たせ、あたしは店内に入った。 注文はいつも同じ。聞かなくたって分かってる。もちろん、リッキーだって同じだと思う。これだけ一緒の時間を過ごせば、何も言わなくても通じちゃう。
ダブルのアイスを買ったあたしは、店先のテーブルで待つリッキーにそれを手渡した。 「やった!」 嬉しそうにリッキーは、アイスを頬張る。ほんとにおいしそうな顔をするのよ、こーいうときって。 彼の好みは、チョコミントと、普通のバニラ。 で、あたしは、いつもストロベリーとキャラメルバニラアイス。 それで途中で、相手のアイスをお互いに一口食べるの。 ジョウは甘いものがあまり好きではないから、あたしやリッキーのアイスをつまみ食いする程度。 それで十分みたい。 タロスは普段は食べないけど、たまーにお酒の後に、チョコレートアイスとか食べたりする。 「どーかしたのかい?」 リッキーが聞いた。 たまに、鋭いときがあるわ、リッキーって。 「んー。別に。」 そういいながら、あたしは店の中にちらりと視線を投げた。 さっきの店員がちらちらこっちを見てる。 なんか知らないけど、妙な勘違いをしてるのよね。 だいたい―― 『あれ、彼氏? それより、俺とデートしない?』 って言ったのよ。
どうやったら、リッキーとあたしが恋人同士に見えるのよ??
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