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■537 / inTopicNo.1)  欲しいのはただ一つだけ
  
□投稿者/ 璃鈴 -(2003/10/19(Sun) 01:47:33)
    はじめまして、璃鈴と言います。
    初投稿なのでとっても緊張しています。
    ジョウ達が走り始めると時々飛んでもない方向に話が進むので、思いもかけない
    所へ結末がたどりつくかもしれませんが、最後までよろしかったらお付き合い下さいませ。
引用投稿 削除キー/
■538 / inTopicNo.2)  Re[1]: 欲しいのはただ一つだけ
□投稿者/ 璃鈴 -(2003/10/19(Sun) 01:51:50)
    三ヶ月ぶりの休暇は、前々からアルフィンが行きたがっていたリゾート惑星ウェルゼルに決めた。
    次の仕事にも近くて都合がよかったからだ。
    早々に高級リゾートホテルにチェックインをすると四人は予約を入れていたレストランに略装で出かけた。
    一応、男性陣はジャケットにスラックス、アルフィンは大きく肩の開いたロングドレスを着て。
    食事の後は隣接するバーに移動して、酒を楽しむ。
    ジョウは不思議な気持ちだった。
    ここにいるのは、ミネルバで一緒のクラッシャーのアルフィンなのに、時折見せる優雅な所作に胸をドキリとさせられる。
    風に揺れる長い金髪を今日は上に纏めて、白く透き通る肌が項から腰にかけて艶を帯びて輝く。
    ジャズが流れるムーディな雰囲気のバーの間接照明が、アルフィンの金髪を怪しく揺らめかせる。
    その一房が、首筋にかかる様は思わず息を呑む程美しかった。
    「なあに?ジョウ」
    目を逸らそうとするが、気が付けばアルフィンに見とれている自分に、ジョウは思わず苦笑する。
    「いや・・・何でもない」
    「変なジョウ」
    アルフィンはクスリと微笑んだ。
    「たまにはいいんじゃない。こんな所でお酒も」
    アルフィンはグラスを右手で少し差し上げて、薄いピンクの洒落たカクテルを口にした。
    その注ぎ込まれる唇が艶やかにジョウを誘う。
    「あっしはこういう雰囲気は大歓迎ですが、なにせお子ちゃまにはこの雰囲気ってもんが分かるかどうか・・・」
    タロスはバーボンを片手にリッキーを見る。
    「お、おいらだって雰囲気ぐらい分からあ。すぐタロスは子ども扱いして!」
    オレンジジュースのコップを握りしめて、リッキーは頬を膨らましタロスを睨む。
    今にも飛び掛りそうな勢いに、ジョウが釘を刺す。
    「やめろ!喧嘩するなら外に行け」
    時が経つにしたがって、ジョウの機嫌もどんどん悪くなるのが分かる。
    だが、他の三人にはその不機嫌の理由が分からない。
    実をいうとジョウ本人もこの気持ちを持て余していた。
    最近身に付ける様になった大人の女性を意識させるドレスは、アルフィンの身体のラインを忠実に再現していた。
    胸元は豊かな胸の谷間がくっきりと見える。
    細い肩紐だけのデザインは、肩から背中にかけては大きく開いており腰の辺りまで白い陶磁の様な素肌が晒されている。
    黒のサテン地のロングドレスは光沢が光に反射して、艶やかさが一層引き立てられる。
    申し訳程度に、オーガンジーのショールが肩から掛けられているものの、透ける素材は見る者を欲情させる雰囲気を持っていた。
    そんな彼女を他の男達が見逃すはずもなく、彼女が語りかける傍にいるジョウに嫉妬の視線を送りつけた。
    中には視線だけでは飽き足らず、図々しくもジョウ達がいるテーブルにアルフィンを誘いにやって来る男達もいた。
    だが、アルフィンは意に介さずやんわりと断り続けていた。
    「ねえ、ジョウ。もうすぐチークタイムだけど一緒に踊らない?」
    アルフィンがジョウの腕に自分の腕を絡ませてねだる。
    ――― む、胸が・・・。
    柔らかな感触と沸き起こる淫らな気持ちに、ジョウは慌てて腕を引き離す。
    「やめろって、踊るなら誰か他の奴を誘えよ。俺はいいから」
    「あたしはジョウがいいの」
    「俺はいい!」
    恥ずかしさと淫らな気持ちの後ろめたさに、アルフィンを冷たくあしらうとジョウはウィスキーを飲み干した。
    そんなジョウの態度にアルフィンは碧眼に涙を浮かべた。
    「何か悪いことした?そんなにあたしが嫌い?」
    「そんなんじゃない・・・」
    「じゃあ、なんであたしの方を見てくれないの?」
    アルフィンの言葉にジョウはグラスを黙って握り締めた。
    酒の酔いも手伝ってか、二人とも感情が高ぶるのが早い。
    黙っていても空気が痛い程伝わってくる。
    それを見ていたタロスとリッキーは互いに肩を寄せる。
    交わす目線は恐怖に怯えていた。
    やっと始まった久しぶりの休暇の初日にしてこの状態とは、先が思いやられる。
    「あのぉ、もしよろしければ一緒に踊りませんか?」
    そんなタロスとリッキーの後ろから、若い女性三人が声を掛けた。
    「お、おいら踊りに行くよ。な、タロス」
    「ああ、折角のお誘いだ。ジョウ、ちょっとあっちで踊ってきますからしばらく二人で飲んでてくだせえ」
    立ち上がるタロスとリッキーに女性達は不服の声を上げる。
    「あたし達三人だから、そこの人も一緒にいきましょうよ」
    その声にアルフィンの顔がすーっと白くなるのが分かる。
    怒りで酔いも飛んでしまったようだ。
    ジョウもその場にいたたまれずに顔を背ける。
    「ま、ま、この二人は置いといておいら達と踊ろうよ」
    「そうそう」
    タロスとリッキーは素早くテーブルを離れるべく彼女達の背を押した。
    「だめよぉ」
    そんな声にジョウが立ち上がった。
    「・・・分かった・・・行くよ」
    「本当?嬉しい!」
    彼女達の一人が立ち上がったジョウの腕に自分の腕を回した。
    ギクシャクしたこの場から離れられるならどんな方法でもよかった。
    ジョウは見向きもせずアルフィンを置いて二人の後に続いた。
    アルフィンはあまりの事に言葉を失った。
    暫くその姿を呆然と見ていたアルフィンは小声で一言だけ呟いた。
    「ジョウのばかぁ・・・」
    涙を零しながら立ち上がるとそのまま黙ってテーブルを離れた。
    チークタイムを踊るジョウの目の端にそんなアルフィンの姿が過ぎ去ってゆく。
    一曲だけ踊り終え彼女と別れるとすぐにテーブルに戻ってウィスキーを呑み始めた。
    そんなジョウにタロスが傍に来て酒を持つその手を止めた。
    「自棄酒ですかい?」
    「離せ、タロス」
    力を込めて逆らおうとするがびくともしない。
    「アルフィンに捨てられてこんな所で飲んでるなんて、ジ・エンドにはまだ早い。夜はまだ長いんだ」
    「煩い、離せ」
    「アルフィンが綺麗で男を魅了するのは、アルフィンのせいじゃありませんぜ」
    タロスの言葉にジョウはグラスを持つ手の力を抜いた。
    「分かってる。ただ、自分でも何だか分からない気持ちが込み上げてきて、思わず冷たく当たっちまった」
    「分かってませんな」
    「タロス!」
    「ジョウ、その気持ちは焼きもちって言うんですぜ」
    「な、そんなこと・・・」
    ジョウの顔が真っ赤に染まる。
    そんなジョウをタロスは同じ男として、人生の先輩として息子のような愛しさを感じて苦笑した。
    女性に対して免疫のないジョウは、自分の気持ちすらも旨くコントロール出来ない。
    こちらが見ていて歯がゆくなる程に。
    「男なら、綺麗で淫靡な女に欲情するのは当然のことでさあ。まして、好きな女が欲情した男どもの視線を浴び続けるとなると腕の中に閉じ込めて独占したくなる。それが男ってもんです」
    「でも・・・俺にはそんなことはできない」
    ジョウは小声で答える。
    「理性を保ち続けることが、時として女には残酷なこともある。時に女って生き物は男が思ってるより強くて、男は女が思うほど強くないってことです」
    「それは、どういうことだ?」
    「言葉のとおりでさあ。ジョウは自分の気持ちを一度でも正直にアルフィンにぶつけた事があるんですかい?」
    「い、いや・・・ない」
    「あの娘は、いつでも正直なほど自分の気持ちにストレートだ。たまにエスカレートして少々問題が起きる時もありますけれど。いいじゃないですか、若さのままに突っ走ってみるのもたまには?」
    タロスがニヤリと笑った。
    「若さのままにか・・・」
    タロスの言葉にジョウは立ち上がった。
    「サンキュー、タロス」
    「あっし達は今夜ホテルには戻りませんから」
    「分かった」
    ジョウはタロスに爽やかな笑顔を残してバーを後にした。
    「兄貴、行った?」
    リッキーが彼女達と別れてテーブルに戻ってきた。
    「ああ、今出て行った」
    「おいら、見ていて歯がゆくなるよ。あの二人」
    「ああ。でも・・・そんな恋があってもかまわねんじゃねえか。とんでもなく遠回りの恋ってやつがさ」
    「言うねえ。ご老体に恋を語る口がおありとは・・・」
    「ガキが!悔しかったら早く女を口説ける男になってみな」
    二人は笑って軽口をたたく。
    「今夜の二人の恋の成就を願って・・・」
    「そうだね」
    バーボンとオレンジジュースのグラスで乾杯した。


引用投稿 削除キー/
■540 / inTopicNo.3)  Re[2]: 欲しいのはただ一つだけ
□投稿者/ 璃鈴 -(2003/10/19(Sun) 21:46:15)
    アルフィンは一人暗い夜の海を見ていた。
    大きな通りからはすぐの人気のない夜のビーチ。
    波打ち際の傍で腰を下ろしていた。
    打ち寄せる波の音だけが、優しくアルフィンを包む。
    バーを出てから泣きながら走ったから、どうやってここに来たかもあまり覚えていない。
    黒のドレスはあちらこちらが砂にまみれており、ハイヒールも片方が無くなっている。
    言われようのない寂しさと、時折吹き抜ける海辺の夜風にアルフィンは膝を抱えた。
    碧の瞳は果てない泉のごとくに涙が溢れて止まらない。
    ジョウに拒絶されることがこんなに身を引き裂かれるような痛みを伴うとは思わなかった。
    この痛みから立ち直れることができるのか、今の自分には自信がなかった。
    アルフィンの心の中で全てが崩されて、暗闇に落ちてゆく。
    「ジョウの・・・ばか・・・」
    もう何度呟いただろうか、とうとう泣き疲れてアルフィンは自分の意識を眠りの海に手放した。

引用投稿 削除キー/
■541 / inTopicNo.4)  Re[3]: 欲しいのはただ一つだけ
□投稿者/ 璃鈴 -(2003/10/19(Sun) 21:47:35)
    「さて、どこへ行ったんだアルフィンは」
    ジョウはワイシャツの第一ボタンを外し、ジャケットを脱いだ。
    どうも着慣れない服は肩が凝る。
    バーのある高層タワーホテルを出て、ビーチ沿いの海岸通りはまだ賑やかさが残っている。
    もう、深夜零時が近い。
    だが、リゾート惑星だけあって思ったより人通りが多かった。
    立ち止まっていても拉致があかない。
    通りがかりの幾人かを捕まえて金髪美女の行方を聞くと、ある男が印象に残っていたのか即答した。
    泣きながら、右手のビーチの方へ走っていったと。
    ジョウは礼を言いつつ、もう身体はビーチに向かって走り出していた。
    昼間の賑やかさと違い、暗闇のビーチは人影が殆どなかった。
    街の喧騒が少しずつ遠ざかり、波音と踏みしめる砂の音だけが辺りに響く。
    空は満天の星が降るように輝いている。
    ビーチの中ほどまで来た所で、波打ち際に星の光に反射して、金の髪が美しく煌いていた。
    ――― アルフィン!
    ジョウは金の髪に惹かれるように、ゆっくりと近づく。
    「・・・んっ」
    砂を踏みしめて何かが近づく音にアルフィンは目を覚ました。
    誰かがこちらに向かってくる気配に恐怖を感じ、音がする方に顔を向けた。
    暗闇に誰かが動いているのが分かる。
    アルフィンは反射的に飛び起きて反対の方向に走り出した。
    「あ、おい」
    低い男の声がかけられたが、振り向かずそのまま走る。
    誰もいない夜の海でこんな姿のまま知らない男に捕らえられたらどうなるか、恐ろしさに身体が竦みそうになる。
    そんなアルフィンを男は追いかけきて、やがて右腕を捕まえた。
    「いやあ、離して!」
    アルフィンは必死でもがく。ここで捕らえられたら最後とばかり強固に抵抗する。
    「ま・・・まて、アルフィン。やめろって俺だ」
    その声にアルフィンは抗うのを止めた。
    薄っすらとした星明りの中、息が荒い男の顔を見るとそれは愛する男の顔だった。
    「なんで・・・こんな所に・・・いるのよ」
    答えるアルフィンも息が上がっている。
    「・・・それは、こっちが聞きたい」
    アルフィンの顔を見ると泣きはらしたのか、目が赤く髪は解けて風に乱れていた。
    「ジョウはあたしが・・・嫌いなんでしょう。ほっといてよ」
    「嫌いなんて言ってない」
    「じゃあ、なんであたしを無視してあんな女と踊ったのよ」
    「それは・・・」
    ジョウはやっと気づいた自分の気持ちをうまく言い表せる言葉が出てこない。
    仕事では超一流と言われるジョウも恋愛はからっきしだ。
    今更ながらに自分のボキャブラリーのなさに苦笑する。
    「ジョウはいつも何も言わないのね・・・」
    「アルフィン・・・」
    「言い訳だって何だっていいから、少しは何か言ってよ。何か言ってくれなきゃ分かんない」
    アルフィンは両手を握り締めた。
    歯がゆさと苛立ちについ言葉がきつくなる。
    「ジョウのことなら何でも分かりたいの、知りたいの。貴方が好きだから」
    「俺は・・・」
    「服も、宝石もいらない。おいしい食事や楽しい遊びもみんないらない。あたしが欲しいのはジョウだけよ。他に何もいらないわ。でもそれすらも望んじゃいけないの?」
    まっすぐな想いはアルフィンの心そのものだ。
    碧の瞳が痛いほど鋭くジョウを射抜く。
    ジョウはアルフィンのまっすぐな想いをどう受け止めていいか分からずに困った顔をした。
    しばらくの沈黙に、アルフィンは止まっていた涙が溢れ出す。
    「アルフィン・・・」
    ――― 泣かせたくないのにまた泣かせてしまった。
    ジョウはアルフィンの方へ手を伸ばそうと右腕を動かしたが、痺れを切らしたアルフィンの方が先にジョウに背を向けまた走り出した。
    「待て、アルフィン!」
    今度はアルフィンが砂に足をとられてよろめいたのですぐに捕まえることができた。
    「きゃあ!」
    「わっつ・・・痛ってえ」
    しかし、ジョウもつられて砂浜に二人で転がった。
    腕の中のアルフィンがジョウに背を向けて嗚咽を漏らす。
    「どこか・・・打ったのか?」
    「・・・ばかあ」
    ジョウの鈍感さにアルフィンは思わず呟いた。
    細い肩を震わせて泣いているアルフィンにジョウは愛しさがこみ上げてきた。
    誰もいない今なら、自分の気持ちに正直に行動できるかもしれない。
    ジョウは何も言わずに、アルフィンをそっと後ろから抱きしめた。
    自らの腕に閉じ込めるように。
    抱きしめられる腕の強さに言葉にしないジョウの思いを感じてアルフィンの心が満たされてゆく。
    髪に耳朶に触れられるジョウの口付けが甘美な誘惑となって身体中を駆け巡る。
    思いがけないジョウの行動にアルフィンは戸惑っていた。
    かわりに心臓が早鐘を打つように早くなった。
    「ジョウ・・・」
    甘いアルフィンの声にジョウは口付けるのを止めて、自分の方へ振り向かせた。
    瞳に一杯の涙を溜めてアルフィンはジョウの胸に顔を埋めた。
    「泣かないでくれ。アルフィンに泣かれると辛い」
    髪を撫でる優しい手が心地よい。
    しばらくそのままでいると不意にジョウが言葉を紡ぎ始めた。
    「・・・俺が悪かった、ごめん。アルフィンが・・・その・・・あんまり綺麗で、他の男達に・・・見られるのが嫌だったんだ」
    「えっ」
    無口なジョウの口から伝えられる心のままの言葉に、アルフィンは驚いてジョウを見た。
    薄暗がりでも真っ赤になっているのが分かる。
    すぐジョウが気が付き、恥ずかしいのかアルフィンの頭を自分の胸に寄せた。
    「アルフィンを泣かすつもりはなかった」
    ジョウの声が頭の上から降るように囁く。
    その言葉にアルフィンは腕の中で首を振った。
    「・・・もういいわ」
    小声でジョウに呟いた。
    拙い言葉だが想いは十分伝わってくる。
    それがアルフィンにとっては暖かく嬉しい。
    「愛してるわ、ジョウ」
    アルフィンはジョウの広い胸に頬を摺り寄せて呟く。
    「俺も・・・アルフィンを・・・愛してる」
    やっと自分の気持ちを口にすることができた。
    ジョウは腕の中の愛しい女を宝物のように抱きよせる。
    ジョウのその言葉にアルフィンは幸せでまた涙が溢れそうになった。
    「頼むから・・・泣かないでくれ」
    途方に暮れるジョウにアルフィンはクスリと笑った。
    ――― どんなに冷たくあしらわれても、結局・・・最後には許しちゃうのよね
    アルフィンの心の内をよそにジョウは腕をアルフィンの身体から離し、その顔の傍に腕を置いた。
    砂にまみれた金髪を優しく梳かす。
    腕の中に閉じ込めて逃がさないように。
    アルフィンの紅い唇がジョウを誘うように濡れて輝く。
    その誘惑にジョウは軽い眩暈を覚えた。
    緩やかな呪縛は何時の間にか抗う術を失わす。
    ジョウの優しい瞳とあってアルフィンは顔を赤らめた。
    そんなアルフィンの顔にそっとジョウが近づき、二人は唇を重ねた。
    始めはそっと触れるだけ。
    それでも触れた所が熱く感じる。
    やがて熱に浮かれるように互いを求め激しく口付ける。
    想像以上の柔らかい甘美な感触に、ジョウは身体が溶けるような錯覚に陥った。
    愛する女との口付けがこんなに気持ちのいいものとは思わなかった。
    やがて、唇を離すとアルフィンが微笑んで呟いた。
    「ジョウがくれる幸せで溺れそうよ」
    その微笑みはジョウを虜にして離さない。
    「俺の方がもうとっくにアルフィンに溺れてる」
    ジョウはもう一度アルフィンに口付けた。
    恋人達の夜はまだ終わらない。
    今まさに始まったばかりなのだから。
    「欲しいのはただ一つだけ。ジョウ、貴方さえいれば他に何もいらない」
    アルフィンの言葉がジョウに届いたかどうかは空に輝く星と打ち寄せる波だけが知っている。

fin.
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