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■558 / inTopicNo.1)  ぱられる!蔵氏弥 穣
  
□投稿者/ 柊里音 -(2003/12/01(Mon) 21:00:15)
    時は明治。
    文明開化も足音高く、人々の生活も潤いと活気に満ち溢れ、さまざまな文化を取り入れだした昨今。
    ここに一人の将来有望な若者がおりました。
    先祖伝来の武士道を尊びつつも、父方のゆるぎない血筋により将来も約束されている若者でございます。




    なかなかのお家柄を誇っておりましたこちらのお家の格式は、宮家の血筋もあることから、伯爵の称号をいただいておりました。
    しかしながら、お輿入れには旧くから、勇ましき武家、富に飛ぶ庄家、機知に飛ぶ商家の子女を迎え入れ、他の宮家の皆様方からは宮家にはあるまじき振舞いぞ、との反発も頂いてはおりました。
    それがただの宮家のお血筋にはない、眼光のするどさ、機転の利く所作、聡明な頭脳を導き出し、多くの財をもなす事ができたのでございます。

    この現代、こちらの当主は檀と申します。

    この者なかなかの切れ者で、末期江戸時代に生を受け、未だ鎖国を続けるお国の将来を嘆き、こっそりと亜米利加や阿蘭陀からの書物を取り寄せ、無理難解な現地言葉を訳しては読破しておりました。
    其の甲斐あってか黒船の来襲により開け放たれたときにはすぐさま世界漫遊を決め込み、身一つで外航を試みましてございます。
    十数年いえ、数十年たち、こちらの地に舞い戻りました際には、すぐに新事業をも立ち上げ大成功を収めるという快挙をもなしとげましてございます。
    彼の漫遊暦伝は高貴の人々の中からも高い評価を得、格式にばかり縋りつく他の宮家の方々の失墜をも喰い止めるお働きも成し遂げました。

    ここにこの蔵氏弥家の繁栄は決定付けられたと言いましても、過言ではございません。

    残念ながら、檀様がお戻りになる数年前に蔵氏弥家の先代当主ご夫妻の突然の死によって、多大なる負債を一時抱えることとなりましたが、檀様のお働きにより、それすら有って無きが事実のようになっておりましたこと、ここに改めて記述いたします。


    そして、現代、蔵氏弥家の唯一無二の男君。現当主であられる檀氏の御長男、彼の名を穣と申します。


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■559 / inTopicNo.2)  ぱられる!蔵氏弥 穣
□投稿者/ 柊里音 -(2003/12/01(Mon) 21:02:07)
    名と家柄の驕る事なくすべてを生み出す土を忘れずに、そして常に実り多かれとつけられたすばらしい名前にございます。
    このお名をつけられた檀さまの奥様であられる百合阿様は、他諸国にご訪問の際、檀様がお助けになられた事のある方だとお伺い致しました。
    その後も檀様の事をお忘れになる事ができず、と或る日にふらり、と我が屋敷をご訪問なられたのでございます。

    もちろん檀様も、百合阿様をお忘れになる事がおできにはならなかったのでございます。
    すぐに二人は祝言を挙げ、蔵氏弥家におきまして、新たなる歴史が踏み出されたのでございます。
    この百合阿様は、御当主の檀様とは親子ほどの歳の開きをお持ちではございましたが、檀様がお認めになられ、お忘れになる事ができなかった御方という事は、すぐに皆が理解できるほどの聡明な御方でございました。
    素性は明らかにされる事はありませんでした。が、通常の宮家のように格式を重んずる事よりも、其の人の品格、明晰な頭脳、何よりもお互いを思いやる愛情を重んずる蔵氏弥家におきましては、なんに障害もなかったこと、重ねて記述申し上げます。
    其の愛を睦みあった結果、素晴らしき男子が誕生いたしました。
    残念ながら百合阿様は、お名をつけられたお稚児殿の成長を見ることなく、産後のお肥立ちの悪化によって短い生涯を終えられました。
    その際の檀様のお嘆きの様は、喩えようもなかった事だと云われることでございます。
    百合阿様がお命を掛けて産み落とされた新しい生命は、側近でいらっしゃる太鷺須様、雁尾乃様を筆頭に、たくさんの強面といわれる屈強な男どもにより手厚く、しかしながら時には厳しく愛情に満ち溢れた教育を受けてこられました。
    父親である檀様は、其の前に蔵氏弥家の当主であるという事を誇りとしておりました故、政治外交、または商談にと海の向こうの諸国歴訪も欠かせない日々を送っておりました。
    お戻りになられるたびに、成長目覚しい穣様の事は目に入れても痛くないほどの愛しさに溢れてはおりましたが、表立ってそれをあらわす事もなく、側近の方々に委ね、我が処遇を邁進するのみとばかりに、傍目にはやや突き放したものも有ったやもしれません。

    しかしならば、それは穣様への深い愛情、そして側近となられている方々への深い信頼のほか何ものでもないということは、お判り頂ける事と存じております。


    皆々さまの愛情と期待を一身に受け、見事大きく羽ばたこうとするまでに成長された蔵氏弥 穣様。

    牽かれたレールはございません。
    これこそが蔵氏弥家の趣き。信ずる道を突き進み、それを我が成長の糧とする。
    それをいまや実行に移そうとする程に成長された、穣様でございました。


    「太鷺須!雁尾乃!」
    太く大きなお声で、彼らを呼び、旅立ちの時を、知らしめたのでございました。

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■560 / inTopicNo.3)  ぱられる!蔵氏弥 穣
□投稿者/ 柊里音 -(2003/12/01(Mon) 21:03:09)
    時をやや同じくして、北の雪降る大地のとある王国に、一人の美しい姫君がおりました。
    名前はアルフィン。
    素晴らしく美しい姫は近隣諸国からも呼び声高く、聡明で雪の妖精を思わせる可憐な仕草に、見るものすべてを虜にしていると云われておりました。
    この王国も平和で、豊かで、独自の政治学によるものと高く評価を受け、争いに巻き込まれる事もなく、皆幸せに静かに暮らしておりました。
    他諸国の王女と違い、アルフィン王女は生れ落ちた時よりすでに結婚相手を決められている、ということもなく、皆からの愛情を一身に受け、のびのびと天真爛漫で気さくで心優しい姫君として、国民からの親愛をも余りあるほどでありました。
    王女としての嗜みもさることながら、其の聡明さゆえ自国の政り事だけではなく、他諸国における諸行事やそれぞれにおける言葉にも精通し、外交的にも優れる真に以って稀にある姫君よと謳われることも記述いたしましょう。


    ただ・・・・・・。


    深窓の姫様ではなかった、という事はどうぞお留め置きいただければ、と存じます。



    「姫様〜〜〜!!ひめさまああ〜!!!」
    「全く、困ったものね〜。また脱走なさったのかしら?」
    「今から、ダンスのレッスンだと判っていながらどちらにいかれたのかしら?」
    「あなた、城外にいってくださる?4人体制でね。どこに出られているかわからないから」
    「では、私たちは城内を・・・」

    ばたばたと足音も高く姿を隠した貴人を探す宮廷内のお付きの女官たち。
    これは珍しいことではなかった。

    外に漏れる噂は、彼女の姿見、人当たりのすばらしさ、誠にもってありがたいことばかりではあったものの、実際そこまで聡明で溌剌とした姫君が、城の奥深く閉じ込められて満足するわけがなく・・・・。

    ひめさまあ〜アルフィンさまあ〜〜〜



    女官たちの騒々しいまでの声を彼女はとある所から聞いていた。



    「こんにちわ〜。今日も元気ね。また見にきちゃった・・。うわあああ。かわいい!!!」
    誰かに話しかけているのかと思いきや、それはついこの前卵からかえった小さな小鳥の雛。
    この親鳥が雛のとき。怪我をして庭で苦しんでいたところを助けた。
    それから、言葉を超えた交流とでもいうのか、普通雛に人間が近寄るともうその雛の面倒を親鳥が見なくなったりするものだが、この親鳥は助けられた彼女の事を忘れず、彼女の部屋近くの木の枝奥に巣をつくり、みつけたつがいと共にそこで暮らしていた。
    もちろんそこに生まれた雛を彼女が見にやってくることなど、全く問題がない。
    彼女は時間があれば部屋からその木に乗り移り、枝まで移動して雛を見にやってくる。
    今回は外交のため3日間城を空けていたための4日ぶりの対面だった。
    その4日でワタボコリのようだった雛が、見た目も愛らしく成長している。


    「いずれはあなたたちも飛び立っていくのよね・・・・」
    餌をついばむような仕草をアルフィンに向ける雛たちの頭を指でなでるようにしながら、ふとした言葉を呟いた。
    「あ〜〜。私も思い切って、この世界以外に飛び立ってしまいたいな・・・」
    それはきっと、彼女の心からの願いだったのだろう。






    全く接点をもたないこの2人が出会い、そして恋に堕ちる。
    それはすでに宿命として決められている自然の摂理のように。
    愛し合う者同士の再会。
    星が定めた未来。

    はるか昔の物語。




引用投稿 削除キー/
■561 / inTopicNo.4)   ぱられる!蔵氏弥 穣
□投稿者/ 柊里音 -(2003/12/01(Mon) 21:03:53)
    はい。ごめんなさい。完璧。パラレルパラレルロリポップン♪
    ああ。石投げないで〜〜〜| | | | | |   〜゛(ノ><)ノ ダッソウ!
fin.
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