| えっと、何処かで聞いたようなタイトルは気にしないでください(笑) これは先月チャットで出たネタを元に書いたモノでございます。 花粉症持ちには憂鬱な季節なので、コレくらいのお間抜けネタが良かろうかと・・・連載(?)中のを放置して書きました。
最後になりましたが、チャットでネタ提供してくれたお二方に感謝! う〜ろんさん、まめこさんに捧げます(えっ、いらない?)
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ジョウはゆっくりした足取りで、砂浜を歩いていた。 彼の視線の先には、大きなパラソルがある。その下には中央に丸いテーブルがあり、その左右にそれより小さなテーブルを挟んだビーチベッドが二つづつ並んでいる。仕事の関係で別行動を取っていたジョウ以外のチームメイトは、みんなそこで寛いでるはずであった。しかし。どう見てもそこにいるのはタロスのみ。リッキーとアルフィンの姿はどこにも見えない。朝早くから買い物に行くと言ってはいたが。不審に思ったジョウの足が僅かに速くなる ジョウは、一番奥のビーチベッドにのんびりと寝そべるタロスの脇に立つ。 「―――タロス、お前だけか?」ジョウが困惑した視線を相手に向ける。 「リッキーとアルフィンはどうした?まだ帰ってきてないのか?」 すると、まどろんでいたタロスは身体を起こして背伸びをする。 「あ、ジョウ。ごくろうさまです。早かったですな」タロスはコキコキと首を鳴らす。 「いや、あの二人なら戻ってますぜ」 そう言いながら、タロスは苦笑をした。 「で?」 「いやぁ、チビをお供に買い物に行ったのは良いんですが・・・」 「なんかあったのか?」 ジョウの顔に一瞬不安げな翳が過ぎる。どうも、二人が居ない理由はアルフィンにあるらしい。密航して押しかけクラッシャーとなった彼女。共に生活するようになって日は浅いが、今までの男所帯での暮らしを一変させてしまった。皆、彼女に振り回されながらも不思議と受け入れてしまっている―――ただ、戸惑うことも多いが。 眉を顰めるジョウに、タロスは肩をすくめて見せた。 「別に買い物行って来ただけでさぁ。えらく、リッキーは引き回されたみたいでしたが」 「―――なんかやらかしたのか?」 ジョウはアルフィンがたまに破壊的行動を取ることを心に思い浮かべた。しかし、タロスは首を振って否定する。 「いや、特にやらかしたって事は無いみたいですぜ。ま、そうとう店回ったみたいで、あのガキが、帰って来てからぐったりしてやした」 「じゃあ、疲れて寝てるのか?」 「リッキーはそうしたいでしょうがね」タロスはタメ息を吐く。 「帰ってきたのは良いんですがねぇ。その後、お披露目会でさぁ。アルフィン、えらくハイテンションでしてね・・・」 「そりゃ、大変だったな」 ジョウは人の悪い笑みを浮かべた。自分は居なくて良かった、と思いながら。タロスは上手く逃れたらしいが、リッキーは後始末にこき使われてるに違いない。タロスは、そんなジョウに恨めしげな視線を送ってから、再びビーチベッドに身体を預けた。 ジョウも横になろうと身体の向きを変えた時、向こうからリッキーが歩いて来るのが目に入った。一人きりだ。リッキーもジョウが居るのに気付き小走りでやってくる。 「あれ、兄貴。戻ってたのかい?」 「あぁ、さっき、な」 「なんだよー、来てくりゃ良かったのにさ」リッキーは口を尖らす。 「―――俺ら、大変だったんだぜ」 「―――らしいな」笑いをかみ殺すジョウ。 「すまん、皆とっくにこっちに来てるかと思って、そのまま来ちまった」 更にリッキーが文句を言おうと口を開きかけると。 プルルルルー パラソルに付いている電話が突然鳴り響く。一番近くに居たジョウが手を伸ばす。 「はい。もしもし?」 「あ、ジョウ!戻ってたのね。良かったー」 ジョウの耳をアルフィンの甲高い声が突き抜けた。確かにテンションが高い。良かった、との言葉は何を意味するのだろうか?声の調子からいって、何か用事がありそうである。ジョウは少し顔を引きつらせ腰が引き気味になる。 「―――どうかしたのか?」 「う〜んとねぇ、お願いがあるの」 案の定、甘えた声でおねだり口調のアルフィン。ジョウの顔が更に強張る。 「お願い?」 「そう、頼みたいことがあるの。だから、こっちに来てくれない?」 これ以上何を頼むつもりなのか。散々、タロスとリッキーを付き合わせていただろうに。困惑を顕わにしたジョウは、ささやかな抵抗を試みる。 「なんだよ、後じゃ駄目なのか。少し、ゆっくりさせてくれよ。君も早くこっちへ来な」 「あによぉ。今じゃないと駄目だから言ってるんじゃない」 アルフィンの声が少し機嫌悪くなる。ジョウはタメ息を吐いてリッキーに視線を向ける。だが、その意図を悟ったリッキーがしきりに首を振って拒否の態度を示した。 すると、相手が黙ってるので焦れたアルフィンが呼びかけてきた。 「ジョウ!」 「あ、あぁ・・・」 「お願いね」 プツリ・・・ 一方的に切られた。無言で暫し佇むジョウ。 「行ってらっしゃーい」ニヤニヤ笑いながらジョウにひらひらと手を振るリッキー。 「ま、兄貴も逃れらん無かったって事で」 「・・・んだよ。お前行って連れてきな」 むっつりとしてジョウが言い放つ。しかし、リッキーも負けていない。 「ダメダメ、なんせ兄貴ご指名だろ?俺らじゃ役不足さ」 「行った方が良いですぜ」タロスもリッキーに加勢する。 「どうせ、水着をどれ着たら良いか決まらないとか、その程度じゃないですか?」 「そんなんで、イチイチ呼びつけんでも・・・」 「ま、それが女心ってヤツですぜ」 「?」 「とにかく、行ってきなよ、兄貴」リッキーがダメ押しをする。 「早くしないと、絶対また電話してくるって」 「そうそう、機嫌損ねたら後々面倒ですぜ」 「うっ、分かったよ」 ジョウは諦めて渋々頷く。そして、仕方無さそうな表情でホテルへと引き返した。
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