| すいませ〜ん。とっても、暗いです>出だし(汗) その割には、事件おきません。並行して書いてるヤツに必要なんで書き始めたものの違 う方向に行っちゃうんで、軌道修正してるうちに長くなりそう・・・ でも、PCの調子が悪くなってきたので見切りUPしちゃいます(苦笑) ともかく、休み中に終らせる予定。
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静まった薄暗い一室。絶望感だけが支配していた。目の前のカプセルに取りすがって いる手を、誰かが優しく引き剥がそうとする。
―――――もう一度、会わせて
掠れた自分の声。身体が微かに震えてる。
―――――こいつはクラッシャーの宿命だ。一度はこの世界に身を置いたんだ、あん も判ってるはずだ。
聞き覚えのある低い声。諭すような口調で、悲しみを押し殺すように。
―――――なんで、いなくなったんだよ?兄貴の事、忘れられなかったんだろ?
もう一つの懐かしい声が聞えた。責めるというより、もどかし気に。
だが。一番聞きたい彼の声が、聞こえてこない。
カプセルが開かれた。 震える両手を握り締めて中を覗き込む。 横たわっているのは―――彼。もう二度と開く事のない瞳と、唇。 静かに手を伸ばし、彼の頬に手を当てる。 そして。顔を近づけ、そっと唇を合わせた。初めて触れる唇は。
―――――冷たい
呟くと同時に声も無く、止めど無く流れ出す涙。 誰かに先程より強い力で、再び手を引き剥がされる。閉じられたカプセル。
―――――いや
心の中で、何かが崩れ落ちる。装ってた強気は消えた。自分の気持を偽り切れなかっ た。離れる事で無くせる分けではなかった思い。
―――――もう、離れたくない。傍にいさせて
気配を察し、制止しようとする手を跳ね除け、隠し持っていたレイガンの銃口を胸に 当てる。それから躊躇いも無く、指に力を込め―――
―――――あたしも一緒に行くの。だから、待っていて
「―――お願い!」 自分の叫び声と共にアルフィンは目を開いた。息が上がっている。無意識に大きく息 を吸い込みながら混乱した精神を静めようとした。眼だけを動かし左右を見た。瞳に 映るのは見慣れたミネルバの彼女の部屋。 「・・・ゆ・夢?」 震える声で呟き、安堵の溜息と共に両手で顔を覆った。顔中が涙で濡れている。全身 も汗まみれだ。リアルで、恐ろしい夢に。 アルフィンはのろのろとベッドから這い出し、ドレッサーの所に行って引出しを開け た。中から愛用している香料入りのウエットタオルを取り出す。手が上手く動かせな くて、封を開けらずにもどかしくなる。苦労して取り出したタオルを首筋に当てる。 心地良い冷たさとラヴェンダーの香りに、やっと人心地がついた気になった。 アルフィンは顔や身体をタオルで拭うと、汗に濡れた夜着を取り替えてもう一度休も うとベッドに戻る。しかし、横になる事が出来ない。またあの夢を見るのが怖かった。 思えば、最近嫌な夢を見る事が多い。それも、どんどんエスカレートしていくのだ。 今日の夢は心底恐怖を味わった。身を起こしたまま、彼女は思わず両手を自分の身体 に回し抱き締めた。 彼の顔が幾つも脳裏に浮かぶ。精悍な表情、優しい微笑み、困った顔。そして、夢で みた彼の顔。 「あんなこと、あるわけないわよ」 声に出して言ってみる。でも、不安は拭えない。そうなると居ても立ってもいられな かった。彼に会わなければ。現実の彼と会いたい。そうすれば、こんな事バカげてい ると笑えるだろう。 アルフィンは急いでベッドを降りた。今日のワッチは誰だか思い出せない。いや、き っと彼だ。もし違っても、少しは気が楽になるだろう。とにかく、独りでいるのが耐 えられなかった。時計を見ると、標準時間で夜中の二時だ。こんな時間にうろついて るのは妙だと思われようと構わない。 アルフィンはガウンを羽織ると部屋を出た。
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