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■150 / inTopicNo.1)  Raison Detre
  
□投稿者/ ミルク -(2002/07/20(Sat) 23:19:23)
    早く行かなきゃ・・・・・伝えなくちゃいけない・・・

    急がないと・・・・

    ・・・・すべて、無くしてしまう前に・・・・

    早く・・・君のもとへ・・・・


    −1日目−

    休暇の為に来ていたリゾートホテルで数日をのんびりとビーチで過ごし
    今日あたり、新しくオープンした話題のテーマパークにでも行こうと話を
    していた。
    昨日から着ていく服を決めて、今日は開園時間からジョウを誘って
    遊びに行くつもりだったのに・・・・・

    朝、アルフィンが起きた時にはすでにジョウはいなかった。

    「タロス、ジョウ知らない?」
    アルフィンがリビングのソファーでくつろいでいたタロスに聞いた
    「俺が今朝、起きた時にはもう何処かに出掛けた後だったみたいだが・・・」
    「何処に行ったのかしら、そんな朝はやく・・・」
    「散歩にでも行ったんじゃないの?」
    リッキーがジュースとスナック菓子を持ってきてソファーに座った
    「散歩に行ったとしても、もう帰ってきても良いはずよ」
    「そうだなぁ〜ちょっと時間がたちすぎてるな」
    「そんなに心配しなくても、そのうち帰ってくるんじゃないの?」
    リッキーはスナック菓子を食べながら雑誌に手をのばした
    その時、部屋の電話が鳴った。
    このホテルの電話は内線と外線がベル音で区別されていた
    今回の電話は外線からのベル音であった。
    「もしかしたら、ジョウかも・・・」

    受話器を取り、話し始めたアルフィンの顔色が変わった
    「えっ ジョウが事故?それって本当なんですか?・・・はいっ・・
     すぐに行きます」
    その電話はジョウの事故を知らせる警察からの電話だった。
引用投稿 削除キー/
■161 / inTopicNo.2)  Re[1]: Raison Detre
□投稿者/ ミルク -(2002/08/17(Sat) 20:51:07)
    電話を切った後もアルフィンはその場を動く事ができなかった
    『ジョウが事故・・・・何で・・・ウソ・・よね・・・だって・・・でも
     だったらなぜジョウが自分で連絡してこないの・・・連絡もできないほど
     酷いケガなの・・・・・』
    頭の中は悪い想像でいっぱいだった。
    「・・・・・フィン・・・アルフィン!」
    「兄貴が事故ってなに?今の電話は何ていってたんだよ」
    リッキーがアルフィンに聞くがパニックになっているアルフィンは何も答える事が
    できなかった
    「どうしよう・・・・ジョウが事故にあって病院に運ばれたって・・・ケガ酷いのかな
     ・・・どうしようジョウに何かあったら・・・」
    側にきたタロスにすがりつきアルフィンは不安をぶちまけた
    「アルフィン、落ち着きなさい。ジョウはそう簡単にくたばったりしない。
     大丈夫だから、すぐにアルフィンの側に帰ってくる」
    タロスがアルフィンの肩を優しく抱きながら言った
    そのタロスの言葉と優しい腕にアルフィンは少し落ち着きを取り戻した
    「そうよね、きっとたいしたケガじゃないのよね。大丈夫よね」
    自分に言い聞かせるように言葉を口にする
    それを肯定するようにタロスは肩を抱く腕に力をこめる
    「そうさ、大丈夫・・・それでジョウは何処の病院に運ばれたんだ?」



    それから間もなく警察から言われたジョウの搬送先である病院についた。
    そこでアルフィン達を待っていたのは、ジョウが暴走したエアカーから助けた
    金髪碧眼の10歳位の少女と母親だった
    ジョウが助けた少女はたいしたケガもなく、その面影はどことなくアルフィンに
    似ていた。
引用投稿 削除キー/
■206 / inTopicNo.3)  Re[2]: Raison Detre
□投稿者/ ミルク -(2002/10/09(Wed) 01:07:17)
    「あの・・・ご家族のかたですか?」
    少女の母親がタロス達に気付き話し掛けてきた
    「娘を助けていただいて・・・本当にありがとうございました。
     なんて御礼を言ったらいいか・・・」

    「はいっ あの・・・ジョウは・・・」
    どうなったのかアルフィンが、そう聞こうとした時
    部屋のドアが開きジョウの担当医である
    ドクターガイスが出てきた
    そしてタロス達を見ると安心させるような優しそうな笑みを浮かべた
    「患者のご家族の方ですね。私はガイス。ジョウの担当医です」
    タロスは簡単な自己紹介をすると早速、本題に入った
    「それで、ジョウの怪我の状態はどうなんです?」
    ドクターガイスは部屋に入るように促しながら
    「大丈夫、安心してください。
     あの事故でほとんど無傷に近いなんて本当に運の強い方だ」
    「本当?ジョウは無事なのね?大丈夫なのね?」
    アルフィンはドクターガイスに飛びつくような勢いで聞くと
    そのまま部屋の中に飛び込んでいった

    「やれやれ、兄貴もアルフィンの事になると見境なくなるけど
     アルフィンも兄貴の事になると凄いや」
    ニヤニヤ笑いながらリッキーがそして
    最後にタロスとドクターガイスがゆったりと部屋に入っていった

    そこで3人が見たものは、ジョウに抱きついて泣いているアルフィンと
    真っ赤な顔のジョウだった
    「ははははっ 凄いや」
    茶化すように言ったリッキーに気付いたジョウが発した言葉は
    タロス・リッキーそしてアルフィンを驚かす内容だった

    「リッキー何をのんびり見てるんだ!どうにかしろ!
     いったい誰なんだ?この人は・・・・」


    「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

    「えっ   何の冗談だい兄貴・・・・
     ・・・アルフィンじゃないか」
    悪い冗談はよしてくれ・・・そう言いたかったが
    ジョウは、そんな冗談を言うタイプでは無い

    「アルフィン・・・?俺はしらないぞ・・タロス説明してくれ」

    「何いってるの?ジョウ・・・・私よ、わからないの?」

    アルフィンの身体が小刻みに震えた・・・
    いつもと明らかに違う表情で自分を見るジョウが信じられなかった

    「うそ・・・冗談でしょ?・・私よ、アルフィンよ・・・・
     どうして・・・いや・・・なんでタロスとリッキーはわかるのに
     ・・私だけ知らないなんて・・・ウソよ・・・」

    ジョウにすがりつき、目に涙をためながらもう1度聞く
    「ウソでしょ・・・ジョウ。
     冗談よね・・・お願い、ウソだと言って」

    「・・・・すまない。本当にわかないんだ」
    ジョウの言葉にアルフィンは意識をゆっくりと手放していった。
引用投稿 削除キー/
■343 / inTopicNo.4)  Re[3]: Raison Detre
□投稿者/ ミルク -(2002/12/05(Thu) 00:07:38)
    目を覚ますと真っ白い天井が見えた
    ミネルバでも泊まっていたホテルでもない
    無機質で何も無い空間・・・・

    「目を覚ますとすべて夢だった・・・
     なんて都合の良い展開な訳ないわよね・・・・」

    ゆっくりと体を起こそうとすると暖かい腕が支えてくれた

    「ジョウ・・・」

    「・・・のはず無いわよね・・・」

    まだ期待してる、さっきの出来事すべてが夢だった
    そう思いたい・・・でも現実
    悲しいくらいの現実

    「アルフィン・・・大丈夫かい?」

    私を支えていたリッキーが心配そうに覗き込む
    倒れた私をきっと空き病室に運んだんだろう・・・
    部屋の中にはタロスとリッキーしかいない
    きっとジョウは自分の病室にいるのだろう

    「大丈夫よ、さっきはちょっとビックリしただけ」
    そう言って静かに微笑む

    「あ あのさぁ・・・もう時間も遅いし今日はいったんホテルに帰って
     明日また来ようって思うんだけど・・・アルフィンはどうする?
     まだ体調が悪いなら今晩はこのまま病院に残るかい?」

    リッキーに言われて初めて気づいた・・・窓の外はもう真っ暗だ
    一体どのくらいの時間、私は眠ってたんだろう
    いくら眠っても現実は変わらない・・・・逃げられない
    だったら・・・・

    何も応えず、じっと動かない私を怪訝に思ったのかタロスも近づいてきた

    「どうした、アルフィン
     本当にどこか調子が悪いのか?」

    どうすれば良い・・・私はどうしたら・・・・

    「タロス・・・」


    「なんだ」

    「ジョウの記憶は戻らないの?」

    「分からない・・・明日、戻るかもしれないし・・・・
     このままかもしれない。
     医者もはっきり言えないらしい」


    「・・・そう・・・・」

    だったら・・・・答えはひとつ

    「戻りましょう、ミネルバに」
    「へっ ミネルバ?・・・ホテルじゃなくて?」
    リッキーが不思議そうな顔で私を見る

    「そうよ、ミネルバ。
     パジャマとか着替えもいるし・・・他にも取りに行きたい物があるのよ」


    その日から私の戦いが始まった
引用投稿 削除キー/
■371 / inTopicNo.5)  Re[4]: Raison Detre
□投稿者/ ミルク -(2002/12/14(Sat) 21:11:09)
    ミネルバに帰ってからのアルフィンの行動は凄かった
    まず、兄貴の部屋で着替え、その他入院に必要な物をバックに詰めた
    その次に何をしたかというと部屋中を引っ掻き回し始めたんだ

    「何してるの?」

    「探してるの・・・」


    「何を」

    「写真」

    「「写真?」」

    タロスと俺らは同時に聞いた

    「そうよ、ジョウと一緒に撮った写真・・・・
     あぁ〜ん、こんな事ならいっぱい写しておくんだった」

    イライラとした口調で探し回るアルフィンは鬼気迫る物がある
    兄貴の部屋が無残な状態になっていくのを呆然と見つめる俺ら達に
    鋭い声がかかる

    「何のんびり見てるのよ!
     あんた達も探しなさいよ!!!
     ジョウの記憶を取り戻したくないの?」

    「そりゃ 記憶は戻って欲しいけど」

    「だったら、早くお探し!
     あぁ〜ん、無い!自分の部屋探してこよう」

    アルフィンの言葉に俺ら達は自分の部屋を探し始めたんだけど
    元々、俺ら達は仲良く記念写真撮ったりとかしてる訳じゃないから
    そう簡単に見つかるはずもない

    それでも、兄貴の記憶が戻って欲しいのとアルフィンが怖いってのが
    あったのでしばらくは真面目に探してたんだけど
    2時間もたつとそれもあきてくる
    で、タロスの様子を見に行く事にした

    「どうせ、タロスも見つからないんだろうな・・・・」
引用投稿 削除キー/
■373 / inTopicNo.6)  Re[5]: Raison Detre
□投稿者/ ミルク -(2002/12/16(Mon) 00:29:55)
    「タロス!」
    俺らは声をかけると返事も待たないでドアを開けた
    すると案の定タロスはソファに座ってコーヒーなんか飲んでいやがった

    「なんだよ〜探して無いじゃん」

    「俺はおめえみたいに写真だなんだと持ってないからな
     探しても無駄なんだ」
    タロスはあっさりと言うと再びコーヒーを飲み始めた


    「で、どうするの?」
    「何が?」

    「兄貴とアルフィンの事だよ・・・・このままほっとくの?」

    「しかたないだろ、俺達にはどうする事もできん」

    「そうだけどさぁ〜なんかアルフィンの事見てるのが辛くて・・・」


    「だったら、おめぇのできる事を協力してやればいい」
    「俺らにできる事って・・・・何?」

    「アホ・・・それくらい、てめぇで考えろ」


    「ちょっと、あんた達!!!
     何サボってるのよ〜(怒)」
    いつのまにかアルフィンが入り口に立って
    もの凄い顔で俺ら達を睨んでた。

    「ア アルフィン違うよ、俺らサボってたんじゃないよ
     探しても見つからないから、タロスの様子を見にきただけだよ」

    1歩1歩ゆっくりとアルフィンが俺らに近づいてくる・・・・怖い

    「俺はちょっと前にやった仕事の資料を探してくらぁ
     もしかしたら、何かのキッカケになるかもしれねぇ」
    タロスがサッサッと逃げ出した

    「ひでぇ〜タロス・・見捨てるなよ〜(泣)」
引用投稿 削除キー/
■381 / inTopicNo.7)  Re[6]: Raison Detre
□投稿者/ ミルク -(2002/12/17(Tue) 13:21:54)
    「それで、何してたの?」
    にこやかにアルフィンが聞いてくる
    はっきり言ってもの凄く怖い・・・・


    「ごめんなさい、頑張ってさがします」

    「わかりゃ〜いいのよ フン」


    「あのさぁ・・・アルフィンは何か見つかったのかい?」
    「とりあえず、写真が何枚か見つかったわ
     だから明日それを病院に持って行ってジョウにみせるわ
     だけど・・・ジョウと撮った写真って少ないのよね〜
     もっといっぱい撮っておけば良かった」

    「あの・・・・あんまり落ち込まない方が良いよ
     兄貴の記憶、きっとすぐに戻るよ」

    「何を馬鹿な事言ってるのよ
     あたりまえでしょ、でも 
     なるべく早く元に戻してあげたいじゃない
     だから、こうやって頑張ってるのよ
     分かったら、あんたも もうちょっと役にたちなさい」

    言うだけ言ってアルフィンは部屋を出て行った

    「何だ、思ったより元気じゃん
     これならそんなに心配する事もないかなぁ〜
     さて、もうちょっと探すか・・・・・
     また、どやされるのも嫌だもんなぁ〜」

    アルフィンの表面だけを見て安心していた俺らは
    後から、この考えが間違いだった事を実感する事になる
引用投稿 削除キー/
■633 / inTopicNo.8)  Re[7]: Raison Detre
□投稿者/ ミルク -(2004/01/16(Fri) 00:26:56)
    兄貴の事故からすでに1週間
    アルフィンは毎日いろんな思い出の品をもって兄貴の病室に出かけている。

    「ジョウ、気分はどう?」

    「あぁ・・」

    「今日はね前に一緒に行った映画のパンフを持ってきたのよ
     ほらっこの映画、覚えてる?・・・わけないわよね・・・
     記憶喪失だもんね・・・ははははっ変な事言っちゃった」

    「いや・・・」

    この何日かずっとこんな会話を聞いてる気がする
    辛い・・・はっきり言って辛い
    何か変だよ・・・絶対こんなのおかしい・・・
    あの2人がこんな会話・・・

    100歩ゆずって記憶がまだ戻らない兄貴の態度は仕方ないとしても
    アルフィンの・・・あんなアルフィンの姿
    俺らは知らない、見たくない。

    あの日から徐々にアルフィンがおかしくなってる気がする
    顔は笑ってるけど本当の笑顔じゃない
    無理してるのがよくわかる・・・・

    こんなアルフィン見てるの俺ら辛いよ

    「ジョウお茶飲む?
     それとも庭を散歩してみない?
     気分が変わって記憶が戻るかもしれないし」

    「・・・アルフィン」

    「あっ・・・それとも・・・」

    「アルフィン!
     ちょっと静かにしてくれないか」

    「ごっごめんね、ジョウ
     煩かった?・・・そっそうよね
     あまり周りでいろいろ言ったら迷惑よね・・・」

    「・・・いやっ悪い・・・アルフィンそんなに気を使わないでくれ
     別に俺は病人ってわけじゃないんだから・・・」

    ・・・・・うううううううっ気まずい・・・誰かどうにかしてくれ
    俺ら耐えられないよ〜

    俺らの祈りが天に通じたようにドアが開きタロスが入ってきた
引用投稿 削除キー/



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